「押しかけ会談」で何を話し合うのか。

<第一印象は非常に大切だ。11月17日(日本時間18日)にニューヨークで会談をする予定の安倍晋三首相と次期米大統領のドナルド・トランプ氏についても、同じことが言える。ただし、2人が本当に会うことができるのならば、だが。

ロイターによると、「日本のある高官」の話では、会談を翌日に控えた16日時点でも、いつ、どこで2人が会い、誰が会談に同席するのか最終的に決まっていないようだ。会談は間違いなく開かれるだろうが、日本の高官らが直面しているバタバタは、いかにトランプ氏の政権移行チーム内が揉めているのかを表している。

筆者も、今回の「安倍・トランプ会談」についてトランプ氏側に何度も問い合わせたのだが、詳細はわからなかった。

「事前の打ち合わせ」も行われていない

恐ろしいことに今回の会談は、通常のトップ会談では当たり前の「事前の打ち合わせ」や擦り合わせがまったく行われていない状態で開かれる可能性がある。そもそも、集中力が持続しないことで知られるトランプ氏。そのほかにも決めなければいけないことが目の前に山積している状況で安倍首相との会談に集中できるかどうかさえわからない。

現時点でハッキリしているのは、トランプ氏の政権移行チーム内には公式なアジア戦略アドバイザーがいないことだ。これまで安全保障問題を担当していたマイク・ロジャース元上院議員は、トランプ氏の娘婿でホワイトハウス入りが有望視されているジャレッド・クシュナー氏と、ニュージャージー州のクリス・クリスティ州知事の権力闘争に巻き込まれ、今週前半に移行チームから「除名」されている。ロジャース氏はクリスティ氏と親しかったためだ。

トランプ氏は、今のところ国務長官および、国家安全保障担当補佐官は指名していない。複数の国務省幹部によると、今回の会談について、同省アジア専門家にはトランプ氏側から連絡が来ていないという。それどころか、高官らによるとトランプ氏側は、ホワイトハウスやジョン・ケリー国務長官から紹介された専門家にも、まったくコンタクトをとっていないようだ>(以上「東洋経済NET」より引用)

 トランプ氏の周辺に日本通はおろか、アジア情勢に精通している人物すら見当たらないという。いや、そもそも国防を司る国務長官すら決まっていない。だから4000人も入れ替わるといわれるワシントンの官僚たちも何も決まっていない。
 そうしたドタバタのトランプ氏を訪問して、トランプ氏と何かを話したところで、だれが政権移行後の政府で実務に反映させるというのだろうか。むしろ忠犬さながらに日本から駆け付けた「首相」を珍しいモノでも見るように眺めるだけで終わるのではないだろうか。

 成功者の周囲に群がる「取り巻き」の一人として安倍氏が認識されるなら、それは日本にとってマイナスだ。いうまでもなくトランプ氏は選挙演説で度々「アメリカ・ファースト」と叫び、中国や日本を「アメリカへ失業を輸出する国」として批判していた。
 交易をそうした目で見るのはあながち的外れではない。だから関税自主権があるのだ。国内産業を保護するのを以て「保護貿易」だと批判するのは新自由主義の妄想に過ぎない。「国民の生活が第一」の政治を行うには、まず国民すべてに職を用意し、国民すべてから「貧困」を追放しなければならない。そうした決意なしに「自由貿易」が国を富ます、というのは一握りの企業家や投機家たちを富ますだけだ、という結論は最近の三十年間の「構造改革」政治で日本国民はイヤというほど知ったはずだ。アベノミクスで「トリクルダウン」が起きる、と無責任に発言していた竹中氏たち「構造改革」論者たちの論理が破綻しているのは格差が拡大し貧困層が増加した日本の現状を見れば明らかだ。

 そうした病理は米国でもっと拡大されている。1%による99%からの富の収奪は1929年の大恐慌当時と同程度まで進んでいる。もはや新自由謝儀者たちが口先で夢を語るのに付き合ってはいられない状態にある、というのが政治家として無経験なトランプ氏に大統領を任せよう、という結果を導いたのだ。
 しかしトランプ氏は政治家として無経験だ。政治的に未知数というよりも無知だ。しかも70才という高齢者だ。しかも不動産王として実業界での成功体験を持つ。かなり頑固な人生哲学を持っているとみるべきだ。安倍氏が「日米同盟が東アジアの安定の基軸」だとか「TPPが中国包囲網として有効だ」とかレクチャーをすると、出発前に息巻いていたが、アジア人の小僧に意見されて素直に耳を傾けるだろうか。

 安倍氏が政府専用機に乗ってニューヨークに乗り込んでも、トランプ氏は日常的に個人専用機を乗り回している。日本の首相として安倍氏をトランプ氏に認識して頂くには、相手も日本に関して精通している、というのが最低必要条件だ。
 トランプ氏と誰が同席して安倍氏と会談するのか。トランプ氏の日本に関する無知を誰が補うのか。東アジアの米国のプレゼンスを、誰がトランプ氏にレクチャーするのか。そうしたことも何も解らないで、闇雲にトランプ氏との早期面会を求めた安倍氏は政治家として無知というしかない。無知同士が面会して「象」の体を撫で回すような会談を行うのは百害あって一利なしだ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。