国会でTPPに賛成した「売国」政治家を決して忘れてはならない。

<12カ国が署名したTPPが発効するには、域内の国内総生産(GDP)合計の6割を占める米国の議会承認が必須条件となる。オバマ大統領は、来週開く「レームダック(死に体)議会」にTPP実施法案を提出し、来年1月までの任期中に批准したい考えだが、上院共和党トップのマコネル院内総務は9日、年内審議は「確実にない」と表明した。

 米国の承認が困難になり、安倍政権による「日本が率先して承認し、早期発効の機運を高める」という意気込みは空回りで終わりそうだ。米ブルッキングス研究所の専門家は9日、「TPPがその名前のまま生き残るのは難しい」と指摘。トランプ氏が掲げた保護主義的な政策が米経済活動を損なうと懸念を示した。

 ベトナムやチリ、オーストラリアなどは、トランプ次期政権の正式な対応を見極める見通し。マレーシアは年初に議会が承認したものの、批准に必要な関連法の整備はさらに遅れる公算が大きい。

 メキシコとニュージーランドは日本に続き、年内に議会手続きを終えるとみられていたが、状況は不透明さを増した。特にメキシコは、トランプ氏が「不公正貿易」を批判しており、摩擦が懸念される。

 議会承認が不要なシンガポールのリー・シェンロン首相は8月に「米国が速やかにTPPを批准しなければ、域内での信頼を失う」と警告しており、それが現実になる恐れが高まってきた>(以上「時事通信」より引用)

 いかに日本が異常にTPP批准を急いだか、上記の記事からお解りだろう。他の真っ当な国々は米国の新大統領の政策動向を見極めようとしている。しかし日本の安倍自公政権はオバマ氏との約束を優先して、6000ページに及ぶTPPの全項目を審議することもなく、さっさと衆議院で承認を可決してしまった。
 彼らは非関税障壁までも含めた関税なき「交易」を国益に資すものと評している。しかし実態はISD条項が象徴するように、国家主権に外国企業家や投機家たちが介入する条約だ。日本はTPPにより米国のハゲ鷹たちにより食い物にされることは火を見るよりも明らかだ。

 なぜ安倍自公政権と巨大与党とその仲間たちは慎重審議を尽くして、米国の動向を見極めようともしなかったのだろうか。国を米国の1%に売り渡すことにそれほど急がなければならない事情が何かあるのだろうか。
 あるとすれば二期八年間に殆どの政策が失敗に帰して「レガシー」を残せなかったオバマ氏への退陣の餞とするためとしか考えられない。だが、国を売り渡すTPPの承認をオバマ氏退陣の選別に呉れてやるほど安倍氏とその仲間の政治家たちは愚かなのだろうか。

 TPPは日本を農業程度の産業しかない「後進国」に抑え込もう、というのが終戦直後の米国の対日政策だった。しかし朝鮮戦争が起こって、その戦争遂行に必要な物資の製造を日本に頼るしかなく、米国は日本の工業復興を容認し、併せて朝鮮戦争の拡大に備えて自衛隊の前身「警察予備隊」の創設を容認せざるを得なかった。
 しかし米国の終戦直後の対日政策はジャパンハンドラーたちの共通認識に「レガシー」として存続していた。日本の経済力を削ぎ落し、後進国並みの存在に貶めるために「構造改革」を日本政府に実施させて、日本型経営を徹底して破壊した。その手先になったのが小泉首相と竹中平蔵氏だ。

 今は直径の安倍氏に引き継がれ、小泉ジュニアは農協破壊に勤しんでいる。その日本の後進国化の総仕上げがTPPを梃子とした米国のハゲ鷹たちによる日本支配だ。
 こうした簡単な構図がなぜ日本の多くの政治家たちに解らないのだろうか。既にEUではグローバル化が決して域内諸国すべての国と国民のためにはならない、という共通認識が急速に広がっている。英国のEU離脱やドイツの移民政策反対がその顕著な例だ。

「ヒト、モノ、カネ」の国境なき自由な往来を保障するグローバル化が何をもたらすのか。一握りの投機家たちや多国籍大企業経営者たちにとってこれほど好都合な環境はないだろうが、日本国民にとって良いことは何もない。
 トランプ氏がなぜ大統領に当選したのか。大量移民によりプアーホワイトが増大し、堅牢な中間層が貧困化したからだ。格差社会の格差がさらに広がり、上位10%の所得総額が他の90%の国民の所得総額と等しいという現状は到底容認できない、と多くの有権者が感じたからだ。

 TPPにより貿易が増大すれば日本経済成長に資すことになる、などと的外れな論評を掲げるマスメディアが多いのには驚く。日本のGDPに占める貿易割合は14%ほどでしかなく、むしろ日本経済は内需型に変貌している現実を見るべきだ。
 その内需型の経済大国日本の成長エンジンはGDPの六割を占める個人消費の刺激策でしかないことを認識すべきだ。TPPにより貿易が増大する、という幻想を国民に刷り込もうとする政府やマスメディアは製造業の多くが生産拠点を海外へ移転させていることを故意に隠している。

 日本の経済が空洞化しているからこそ、私はUターン投資減税をすべきとこのブログで何度も主張してきた。奇しくもトランプ新大統領も選挙期間中に「外国へ移転した米国企業を米国内に呼び戻す」と主張していた。彼は決してトリッキーな目立ちたがり屋ではない。彼は反グローバリズムの申し子だ。
 米国が「内向き」になると評している連中は政治の一義的な使命が「国民の生活が第一」にあることを失念している。国民生活を富ませることこそが政治家の最優先の使命だ。トランプ氏は政治家として極めて当たり前のことを主張しているに過ぎない。

 TPPを推進している日本の政治家は「売国」政治家だ。「国民の生活が第一」よりも米国の1%に奉仕するのを優先する売国奴だ。そのことを次の選挙まで日本国民は決して忘れてはならない。


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