政治が目指すべきは「核なき世界」ではなく「戦争なき世界」だ。

<米紙ウォールストリート・ジャーナル電子版は12日、オバマ政権が検討している核兵器の「先制不使用」政策について、7月の閣僚会議でケリー国務長官やカーター国防長官、モニズ・エネルギー長官がそろって反対したと報じた。

 同紙によると、同盟国の日本、韓国、英国、フランス、ドイツが先制不使用の採用に対する疑問や懸念を示しているという。ホワイトハウス関係者は同紙に対し「重要閣僚と同盟国の反対によって、政策変更の可能性は低くなった」と指摘した。

 関係者らによると、閣僚会議では、ケリー氏が同盟国の懸念について説明。カーター氏は、北朝鮮の核開発進展やウクライナ危機などでのロシアの行動を踏まえ、先制不使用を宣言すれば同盟国に米国の核抑止力に対する不安を与え、独自に核開発に走る国が出てくる可能性があると反対した。オバマ氏は会議で結論を示さなかったという。>(以上「共同通信」より引用)

 核先制攻撃不使用の宣言をオバマ氏は見送るという。何のためのオバマ氏へのノーベル平和賞授与だったのだろうか。結局八年前のオバマ氏就任以前と今と、「戦争大好き国家・米国」は何も変わっていない。
 確かに核兵器や化学兵器は「人道的」でない。しかし通常兵器と呼ばれる兵器は人道的だというのだろうか。人を大量殺害する仕掛けや爆薬の大量使用は悲惨な結果をもたらすことにおいて、核兵器や化学兵器と少しも異ならない。

 シリアでは政府軍と反政府軍とが泥沼の戦いを今も繰り広げている。そこで塩素ガス兵器が使用され四人死亡したとして、世界はシリア政府を非難している。しかしシリア内戦では通常兵器で既に27万人も亡くなっているという。
 悲惨でない戦争などない。人殺しでない戦争などない。高々百年足らずの生涯でしかない人が、意匠を凝らして巧みな仕掛けを競い合って殺人兵器を開発し保有している現実はまさしく「狂気」ではないだろうか。

 地球上に存在した動物で、人類ほど好戦的で殺戮に大義を見出す動物はいなかった。この業というべき好戦性を克服するために「国連」は存在しているのではない。
 国連は先の大戦の戦勝国と自称する五か国が先の大戦で手にした「利権」を維持する機関として設立された。だから国連は常任五か国の利益にならない「戦争の永久放棄」宣言など間違っても宣誓しない。

 日本の愚かな政治家たちも米国の「同盟国」として米国の核先制攻撃不使用宣言に反対したクチなのだろう。先の大戦で米国の非戦闘員大虐殺を一切批判しない日本政府はまた日本も非戦闘員を虐殺する権利を留保しているとでもいうのだろうか。
 核は先制にせよ先制以外であるにせよ、使用してはならない兵器だ。いや、戦争そのものをなくすべく人類は立ち上がるべきだ。戦争を主導する政治家を「追放」する権利を持つ国際機関を設置し、現在の常任理事五か国であろうとも、国の内外を問わず戦争につながる好戦的な行為を行えば、政権の座から追放する権利と機能を持たせるべきだ。

 有史以来、もう十分に人類は人類を殺害しただろう。戦争など飽き飽きし辟易してもいい頃合ではないか。そろそろ世界平和について真剣に話し合う場を持っても罰は当たらない。兵器開発や戦争準備維持にどれほどの無用な予算を大量消費していることか。
 軍需産業擁護論者たちは恥ずべきだ。世界平和を希求する場を設置すべく、日本が先頭に立つべきであって、米国の戦争のお先棒を担いで戦陣の先頭に立つのはお門違いだ。まずは日本の政治家とマスメディアの「反戦」の質を高めるべきだ。


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