英国のEU離脱を「リグレット」と伝える日本のマスメディア。

<週明け27日午前のニューヨーク株式相場は、英国の欧州連合(EU)離脱決定で世界経済の先行き不透明感が強まる中、売りが先行して大幅続落し、優良株で構成するダウ工業株30種平均の下げ幅は前週末終値比で一時300ドルを超えた。午前10時50分現在は、ダウが306.97ドル安の1万7093.78ドル。ハイテク株中心のナスダック総合指数が116.82ポイント安の4591.16。
 英国のEU離脱決定を受けて、スコットランド自治政府のスタージョン首相が2014年に続く2度目のスコットランド独立を問う住民投票実施に向けた法制化の作業を開始すると表明するなど、英国内の政局不安も一段と強まっている。これを受けて、欧州をはじめ世界経済全体への影響に対する懸念も広がり、欧米株が前週末に続き売り込まれている>(以上「時事通信」より引用)

 EU欧州共同体が事実上GDP世界一だったが、その構想がもろくも瓦解し始めた。EUの求心力が弱まり、むしろ遠心力が働こうとしている。その顕著なのがデンマークやフィンランドの北欧、そしてイタリーやスペインなどの南欧などの諸国だ。
 しかし、そうした「グローバリズム」に反する「分離・独立」の動きを封じるかのように日本のマスメディアは分離を支持した英国民の間に「後悔(リグレット)」が広がっている、と繰り返し報道している。本当にそうなのだろうか。一体どのようにして日本のマスメディアがそうした「動き」をキャッチしたというのだろうか。

 日本のマスメディアは概ね小泉・竹中の構造改革「グローバリズム」に賛同し、それを推進してきた。そのグローバリズムに反するEUの解体につながる英国の分離は日本のマスメディアの推進してきた「構造改革」の否定そのものだ。
 今朝(6/28)もテレビなどでは英国民が「リグレット」していると伝えている。ロンドンでは17万人の市民がロンドンだけEUに残留すべきとするネットに署名したと報じている。

 しかし英国の住民投票でEU残留派が多かったのはスコットランドやアイルランドだった。それらの地域は伝統的に大英帝国から分離独立を求める地域だ。つまり、元々英国的な文化・伝統に対して地域どくどくの文化・伝統を重視する住民の多い地域だ。
 大英帝国の影響力を削ぐには英国がEUの一員に残留してEU連邦により英国の主権が制限されれば、相対的に地域主権が回復される、という考えがある。それに対して大英帝国の地域に分離派が多かったのは英国の文化や伝統がEUにより踏み躙られると危惧する人たちが多かったからだ。

 若者たちの多くが残留を支持したという報道が多いが、若者たちの多くはEUに参加する前の英国を知らない。60歳以上に分離派が多かったのは英国が孤高を貫いていた時代を知っているからだ。
 英国はGDP世界一位のEUの一員から離脱するが、GDP第五位の英国を取り戻す。英国離脱が否定的なニュースとして日本のマスメディアは伝え、米国のダウが300ドルも値を下げたと「悪いニュース」として伝えている。

 しかし株式市場は本来の「資本調達」の場から「投機資金」の博奕場に変貌している。儲かりさえすれば、法に抵触していなければ、何をやっても良い、というのが彼らの生き方だ。まさしく禿鷹たちの論理だ。
 グローバリズムは先進諸国の経済成長を削ぐ。なぜなら先進諸国の労働価格が高いからといって企業が後進国へ移転させる。投資が先進国から後進国へと移るが、それで後進国が先進国へとテイクオフするかというとそうではない。

 あくまでも多くの労働力を必要とする組立工場を移転させるだけだ。企業は開発・研究本部の多くを本社のある先進国内に残している。後進国の労働費が高騰すれば「焼き畑農業」のように安い労働力を求めて他国へ移転させる。
 外国企業が去って行った後進国には何も残らない。その間に失われた農業や伝統産業は回復させるのは困難だ。そして先進国も生産工場を後進国へ移転させることにより技術開発の速度が落ち、国内労働雇用力が低下して国民所得が減少する。つまりグローバリズムは短期的な企業利益の最大化をもたらすだけで、長期的には世界経済にとって良いことは何もない。

 巨額な資金投機している1%の連中が短期利益を手にするだけだ。その彼らが丁半博奕の張り方を「残留」として間違えて悲鳴を上げているだけだ。
 英国の日本企業の1300社余りが投資しているという。総額10兆円ほどだというが、彼らはグローバリズムを信奉して国内から生産工場を移転させることにより利益の最大化を目論んだ。だから英国の住民投票に一喜一憂しなければならなくない。「リグレット」しているのは構造改革(グローバリズム)を推進してきた日本のマスメディアに他ならない。米国の1%の走り使いを、そろそろ安倍自公政権も日本のマスメディアもやめたらどうだろうか。


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