8%のままに据え置くのは「軽減税率」ではなく、据え置き税率だ。

<政府は消費税率10%への引き上げを2年半延期しても、増税と同時に軽減税率を導入する。安倍晋三首相と公明党の山口那津男代表が30日の会談で確認した。野党からは延期に伴い軽減税率の導入を白紙に戻すよう求める声があるが、引き続き軽減税率による負担感の緩和を目指す。【工藤昭久】

 軽減税率は、消費税率を10%に引き上げる際に、酒類・外食を除く飲食料品や新聞の定期購読料の税率を8%に据え置く制度。昨年までの与党の税制協議で公明党が導入を強く主張し、最終的には官邸主導で導入が決まった経緯がある。3月に成立した16年度税制改正関連法で17年4月の消費税増税と同時の導入が正式に決まっていた>(以上「毎日新聞」より引用)

 飲食料品と新聞の定期購読だけを8%に据え置く「軽減税率」とはマヤカシ以外の何物でもない。欧州諸国の消費税率と比較しても、日本の消費税は生活必需品に対する限り既に高税率にあるといえる。
 定期新聞購読が8%に据え置かれるのなら、なぜ書籍販売全般の消費税率も8%のままとしなかったのだろうか。いや、世界の潮流と比較するなら、日本も食料品や教育費に対しては5%に戻すべきではないだろうか。欧州諸国には生活必需品や教育費などに対しては消費税を課していない国も珍しくない。

 二年半後に10%にするとした安倍自公政権は二年半後に日本がどれほどの経済状況にあると想定しているのだろうか。それとも、いかなる経済状況にあろうと10%に消費税を上げるというのだろうか。
 そうした説明や消費税10%導入の条件提示なくして、闇雲に二年半後に10%というのは説得力を欠く。しかし日本のマスメディアは政府広報の通り無批判に「二年半後に10%」と垂れ流すばかりだ。

 二年半後の日本経済は安倍自公政権が続く限り現状と大して変化ないと思わざるを得ない。なぜなら国内の需要喚起と称して財政出動するにしても公共事業拡大による財政出動は限界に達して消化不良を起こしている。保育士や介護士などに対する所得補償に関しては国内需要喚起し不足する保育士や介護士の有資格者を職場復帰させる程のものではない。
 保育士や介護士の有資格者を職場復帰させるには最低でも平均勤労者所得にまで引き上げなければ到底無理ではないだろうか。それなら現行の月額10万円ほども乖離している所得の穴を埋めて、それでやっと対抗できるものになる、という認識がなければならない。

 国内需要の喚起を行うには勤労者所得を含めて、国民所得が改善されなければ個人消費は拡大せず、したがって国内需要は拡大しない。そうした簡明なことすら実施できないで、むしろ派遣業法を徹底して破壊して非正規社員や派遣社員を増やして、短期的な企業収益には寄与するが、国民の所得増には寄与しない政策を採り続けている安倍自公政権に二年半後に消費増税を実施できる経済状況に改善できる過程が全く見えないのは私だけだろうか。

 「確実に実施する」「二年後に2%のインフレを達成する」「勤労者所得を2%増加させる」などと、一体どこの誰が二年前に叫んでいたのだろうか。安倍氏は口先だけで景気の良い数字をポンポン叫べば、自然と世間がそうなると勘違いしているようだ。
 10年後600兆円のGDP計画は一体どうなったのだろうか。そのためにこの一年間いかなる政策を実施したというのだろうか。それに対して日本のマスメディアは実態不明なアベノミクスという言葉を報道して、国民に実体のない期待を板かせてきた責任をどう取るつもりだろうか。

 批判なき定期購読新聞に据え置き税率を適用する、というのは明らかな政権と新聞業界との癒着を示すものだ。文化と出版会に寄与する、というのなら学術書籍や文学書籍に関しても消費税を据え置くべきではないだろうか。
 晩餐の相伴に与かるのが名誉だと考えている言論人は速やかに辞表を出して業界から去るべきだ。彼らの存在は言論界の健全な批判精神をゆがめるだけでなく、国民の利益を損なうものに他ならない。


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