英国のEU離脱は英連邦崩壊の始まりだ。
<英国の国民投票で欧州連合(EU)からの離脱が決定したことを受け、2014年の住民投票で英国からの独立を否決したスコットランドでは独立機運が再燃している。北アイルランドでも英国からの離脱を求める声が強まっており、英連合王国崩壊への懸念さえ出始めている。
スコットランド自治政府のスタージョン首相はEU残留を呼び掛ける一方、国民投票で離脱派が勝利すれば「再度、独立を問う住民投票を実施する」と強調してきた。スコットランドでは残留支持が62%に上り、英国全体と逆の結果となった。首相は24日、「EUに残るためなら何でもする。住民投票の用意をすべきだ」との声明を発表。住民投票を実施し、独立が支持されれば、スコットランド単独でEUに加わる可能性をにじませた。
北アイルランドでは、アイルランドとの統合を主張する野党シン・フェイン党などがEU残留を訴えてきた。離脱となれば、EUに属するアイルランドとの関係が疎遠になるためだ。北アイルランドでも残留支持が56%で全体と逆の結果になり、AFP通信によると同党のデクラン・キアニー幹事長は24日、「(南北)アイルランド統一に向けた住民投票を今こそ実施すべきだ」と述べ、英国からの離脱を呼び掛けた。
英国のメージャー元首相は国民投票前、「連合王国が分裂してしまう」と残留を呼び掛けていた。住民投票の動きが広がれば、この懸念が現実化しかねない>(以上「毎日新聞」より引用)
英国民は国民投票でEU離脱を選択した。その結果を受けてキャメロン首相は辞任の意向を表明した。EU諸国はEUそのものが崩壊しかねないと危機感を抱いている。
経済でEUの16.8%を占める英国の離脱はEUを経済でリード゛して来たドイツの負担をさらに重くするとしてメリケル氏に対するドイツ国内の反発は強まるだろう。第一位といえどもドイツがEUに占める割合は19.4%で、英国と大して変わらない。
様々な文化と経済状況を抱えた諸国が欧州という地域により「統合」して、戦乱の巣窟だった欧州に平和をもたらそう、とする試みがEU統合だった。しかしEUはそれぞれのEU参加国の政治主権を認めた上での統合のため、等しく繁栄し等しく貧困化する、ということはなく、EU参加国の中で格差が広がることとなっている。
しかも英国民の中に英国はドイツと並んでEUに年間1兆数千億円も拠出しながら、EUから英国への見返りが拠出金に到底見合わないほど少なかったという不満が鬱積していた。
全体と地域、という問題は何処にでも存在する。日本国内を見ても平成の大合併を地政学的な見地や歴史的な見地を無視して推進したため、市民個々人が観念できないほど広域な市が誕生し、市の中心部と周辺部との格差が拡大化した。
それは合併する以前から存在していた格差と、合併後に生じた格差とを識別して議論すべきだが、同じ市民となった人たちにとって「格差」は同じものとして認識されている。
英国はEUの中でドイツと並んで貧困・周辺諸国を牽引すべき立場にあった。しかし津波のように押し寄せてきた東欧を中心とする移民が英国民に危機感をもたらした。EU参加は英国民に何をもたらしたのか、という懐疑がEU離脱の原動力となったようだ。
国と国との関係にあったEU離脱騒動は、英国内の地域・民族間の問題を再燃させることになる。北アイルランドとスコットランドは英連邦から独立すべきという「地域主義」が強まり、英連邦は解体へと向かいかねない。
欧州連合により人口5億8千万人経済規模GDP16兆ドルの疑似国家EUが成立した。もちろんGDPでEUは世界一だ。
しかし、そうした疑似国家の姿が個々の国家にいかなる関係があるのか、さらに個々の国家の国民生活といかなる関係があるのか。ギリシャなどの怠惰な国民の享楽費のツケを、なぜ英国民が支払わなければならないのか、という不満が勤勉な英国民に鬱積していた。
関税を撤廃し通貨を統合し、移動の自由や居住の自由をEU諸国内で保障する反面、それぞれの国の統治権を認めるという「いいとこ取り」の奥州連合は瓦解すべき萌芽により瓦解するしかないだろう。個々と全体という古くて新しい問題が巨大なEUでも噴出して、欧州連合をまとめようとする意志よりも勝ってしまった。
これはTPPを批准しようとする安倍自公政権と民主党などの一部は他山の石とすべきだ。TPPは欧州連合を「貿易」を梃にして米国基準で環太平洋諸国を統合しようとする陰謀でしかない。いや、端的に言えば日本を米国の州の一つにしようとする企みに他ならない。英国は明日の日本の姿だ。ただ、英国内にEUの駐留軍はいないが、日本には首都圏を瞬時に制圧できる米軍が駐留している。日本が米国の役に立たないと判断すれば、ワシントンはいつでも日本の主権を排除できる。そうした危うい日本の現状を日本国民の何割が理解しているだろうか。
スコットランド自治政府のスタージョン首相はEU残留を呼び掛ける一方、国民投票で離脱派が勝利すれば「再度、独立を問う住民投票を実施する」と強調してきた。スコットランドでは残留支持が62%に上り、英国全体と逆の結果となった。首相は24日、「EUに残るためなら何でもする。住民投票の用意をすべきだ」との声明を発表。住民投票を実施し、独立が支持されれば、スコットランド単独でEUに加わる可能性をにじませた。
北アイルランドでは、アイルランドとの統合を主張する野党シン・フェイン党などがEU残留を訴えてきた。離脱となれば、EUに属するアイルランドとの関係が疎遠になるためだ。北アイルランドでも残留支持が56%で全体と逆の結果になり、AFP通信によると同党のデクラン・キアニー幹事長は24日、「(南北)アイルランド統一に向けた住民投票を今こそ実施すべきだ」と述べ、英国からの離脱を呼び掛けた。
英国のメージャー元首相は国民投票前、「連合王国が分裂してしまう」と残留を呼び掛けていた。住民投票の動きが広がれば、この懸念が現実化しかねない>(以上「毎日新聞」より引用)
英国民は国民投票でEU離脱を選択した。その結果を受けてキャメロン首相は辞任の意向を表明した。EU諸国はEUそのものが崩壊しかねないと危機感を抱いている。
経済でEUの16.8%を占める英国の離脱はEUを経済でリード゛して来たドイツの負担をさらに重くするとしてメリケル氏に対するドイツ国内の反発は強まるだろう。第一位といえどもドイツがEUに占める割合は19.4%で、英国と大して変わらない。
様々な文化と経済状況を抱えた諸国が欧州という地域により「統合」して、戦乱の巣窟だった欧州に平和をもたらそう、とする試みがEU統合だった。しかしEUはそれぞれのEU参加国の政治主権を認めた上での統合のため、等しく繁栄し等しく貧困化する、ということはなく、EU参加国の中で格差が広がることとなっている。
しかも英国民の中に英国はドイツと並んでEUに年間1兆数千億円も拠出しながら、EUから英国への見返りが拠出金に到底見合わないほど少なかったという不満が鬱積していた。
全体と地域、という問題は何処にでも存在する。日本国内を見ても平成の大合併を地政学的な見地や歴史的な見地を無視して推進したため、市民個々人が観念できないほど広域な市が誕生し、市の中心部と周辺部との格差が拡大化した。
それは合併する以前から存在していた格差と、合併後に生じた格差とを識別して議論すべきだが、同じ市民となった人たちにとって「格差」は同じものとして認識されている。
英国はEUの中でドイツと並んで貧困・周辺諸国を牽引すべき立場にあった。しかし津波のように押し寄せてきた東欧を中心とする移民が英国民に危機感をもたらした。EU参加は英国民に何をもたらしたのか、という懐疑がEU離脱の原動力となったようだ。
国と国との関係にあったEU離脱騒動は、英国内の地域・民族間の問題を再燃させることになる。北アイルランドとスコットランドは英連邦から独立すべきという「地域主義」が強まり、英連邦は解体へと向かいかねない。
欧州連合により人口5億8千万人経済規模GDP16兆ドルの疑似国家EUが成立した。もちろんGDPでEUは世界一だ。
しかし、そうした疑似国家の姿が個々の国家にいかなる関係があるのか、さらに個々の国家の国民生活といかなる関係があるのか。ギリシャなどの怠惰な国民の享楽費のツケを、なぜ英国民が支払わなければならないのか、という不満が勤勉な英国民に鬱積していた。
関税を撤廃し通貨を統合し、移動の自由や居住の自由をEU諸国内で保障する反面、それぞれの国の統治権を認めるという「いいとこ取り」の奥州連合は瓦解すべき萌芽により瓦解するしかないだろう。個々と全体という古くて新しい問題が巨大なEUでも噴出して、欧州連合をまとめようとする意志よりも勝ってしまった。
これはTPPを批准しようとする安倍自公政権と民主党などの一部は他山の石とすべきだ。TPPは欧州連合を「貿易」を梃にして米国基準で環太平洋諸国を統合しようとする陰謀でしかない。いや、端的に言えば日本を米国の州の一つにしようとする企みに他ならない。英国は明日の日本の姿だ。ただ、英国内にEUの駐留軍はいないが、日本には首都圏を瞬時に制圧できる米軍が駐留している。日本が米国の役に立たないと判断すれば、ワシントンはいつでも日本の主権を排除できる。そうした危うい日本の現状を日本国民の何割が理解しているだろうか。