英国のEU離脱は英国の主権を取り戻すためだ。

<英北部スコットランド行政府のスタージョン首相は、欧州連合(EU)残留を目指し、29日にブリュッセルで欧州議会の指導部と会談すると明らかにした。

 先週の国民投票では、英国全体ではEU離脱への支持が残留を上回ったが、スコットランドでは残留が多数を占めた。スタージョン首相は英国からの独立の是非を問う住民投票の再実施も含め、あらゆる手段を活用しEU離脱を阻止するとしている。

 29日のブリュッセル訪問では、欧州議会のシュルツ議長や主要政党の代表に対し、スコットランドの立場を説明するとしている。

 ただ、トゥスクEU大統領とは会談しない見込み。EU大統領の報道官は適切な時期ではないとして、大統領は会談しない意向と説明した>(以上「朝日新聞」より引用)

 グローバリズムを推してきた日本のマスメディアはEU離脱を選択した英国はリグレット(後悔)している、との印象報道を繰り返している。それはTPP参加に暴走する安倍自公政権を推す日本のマスメディアの姿そのものだ。
 EU参加により欧州の関税なき共同体という、実質的に巨大経済圏を形成し良いこと尽くめのようだが、物事には必ず裏と表がある。表の良いことはEU圏が非関税のため、英国に生産拠点を設ければEUの何処へも関税なしで輸出できる、として日本からだけでも約1300社、総額10兆円もの外国からの投資があったことだ。それが英国病といわれた低成長を克服する原動力になっていた。

 裏の悪いことは関税だけが撤廃されたのではなく、参加国の主権も通貨も国境も制限されることだ。独立国家の要件とされる「関税自主権」「軍事統帥権」そして「税徴収権」の三権のうち、前出の二つまで制限されて何が独立国家だという思いを抱くのは英国だけではないだろう。
 しかしここ数世紀も戦争の巣窟といわれてきた欧州大陸と英国は戦争を克服するためにEUを形成することは悲願だった。国境なき世界を信奉する「世界国家」構想を提唱する人たちも日本にいる。しかし国境の障壁が低くなれば貧困国から移民がドッと流れ込むのは避けられない。そうした事態を当然予測しておくべきだったが、EU参加を推進する人たちは表裏一体の物事の「裏」まで検討し、国民に情報提供するのを避ける。

 EU離脱を決めた英国に日本企業の多くは止まる利益を見出せないだろう。関税なき英国に進出した外国企業が英国から撤退するのは当然のことだ。表裏一体の関係にある離脱と撤退の関係にあるから、外国企業の撤退も離脱派は離脱支持者に教えておかなければならなかった。
 TPPに参加すれば米国の農・畜産メジャーが農産物をドッと輸出するのは目に見えている。その反面、日本の工業製品がドッと米国に輸出できるのかというと、米国は米国の関税撤廃は、例えば自動車では30年後に撤廃するという。TPPは米国の「良いとこ取り」というジャイアン状態を認めた不平等条約だということを安倍自公政権は日本国民に報せなければならない。

 EUは域内の格差を固定する働きがある、ことも見逃してはならない。それは国際分業論を決定的に実現する手法に他ならないからだ。農業国は農業に特化した産業育成しか効果がないことになり、工業生産国は移民などにより安い労働力の流入により生産拠点の優位性がさらに補強される。
 それによりそれぞれの国民が幸せになるのかというとそうでもない。農業国は貿易を牛耳るメジャーがいよいよ立場を強くして農業従事者の利益まで掠め取るようになる。工業生産国では安い労働力の流入により労働賃金が上がらず、国民は貧困にあえぐことになる。それは英国だけのことではない、TPPに参加したなら明日の日本の姿でもある。現に安倍自公政権は向こう10年間に200万人の労働移民を受け容れると宣言しているではないか。それでも日本国民の過半数の有権者は安倍自公政権を支持するのだろうか。


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