環境省は誰のためにあるのか。

<東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た汚染土を巡り、環境省の検討会が再利用の方針を決めた際、法定の安全基準まで放射能濃度が減るのに170年かかるとの試算を非公開会合で示されながら、長期管理の可否判断を先送りしていたことが分かった。環境省は汚染土を道路の盛り土などに再利用し、コンクリートで覆うことなどで放射線を遮蔽(しゃへい)するとしているが、非公開会合では盛り土の耐用年数を70年と提示。道路の供用終了後も100年間の管理が必要で、専門家は「隔離もせずに計170年もの管理をできるはずがない」と厳しく批判している。

 この非公開会合は「放射線影響安全性評価検討ワーキンググループ(WG)」。汚染土の減容や再利用を図るため環境省が設置した「中間貯蔵除去土壌等の減容・再生利用技術開発戦略検討会」の下部組織で、メンバーは一部重なる。

 毎日新聞が入手したWGの内部資料によると、1~5月に6回開かれ、放射線の専門家ら委員8人と環境省や日本原子力研究開発機構(JAEA)の担当者ら計20人余が出席した。原子炉等規制法は原発解体で生じる金属などの「安全に再利用できる基準」(クリアランスレベル)を放射性セシウム1キロ当たり100ベクレル以下と定める一方、事故後成立した放射性物質汚染対処特別措置法は8000ベクレル超を指定廃棄物とし、同ベクレル以下を「問題なく廃棄処理できる基準」と規定。WGはこの8000ベクレルを汚染土再利用の上限値とするための「理論武装」(WG委員長の佐藤努北海道大教授)の場となった。

 環境省は汚染土をコンクリートで覆うことなどで「放射線量はクリアランスレベルと同程度に抑えられる」として道路の盛り土や防潮堤など公共工事に再利用する計画を発案。1月27日の第2回WG会合で、委員から「問題は(道路などの)供用後。自由に掘り返していいとなると(再利用の上限は)厳しい値になる」との指摘が出た。JAEAの担当者は「例えば5000ベクレル(の汚染土)を再利用すれば100ベクレルまで減衰するのに170年。盛り土の耐用年数は70年という指標があり、供用中と供用後で170年管理することになる」との試算を提示した。

 その後、管理期間を巡る議論は深まらないまま、上部組織の戦略検討会は8000ベクレルを上限として、コンクリートで覆う場合は6000ベクレル以下、植栽した盛り土の場合は5000ベクレル以下など用途ごとに目安を示して再利用を今月7日に了承した。

 環境省は年内にも福島県内の仮置き場で濃度の異なる汚染土を使って盛り土を作り、線量を測る実証実験を始めるとしている。

 戦略検討会の委員を兼ねるWGの佐藤委員長は管理期間170年の試算を認めた上で、「議論はしたが何も決まっていない。今回は再利用の入り口の考え方を示したもので、(170年の管理が)現実的かどうかは今後検討する」とした>(以上「毎日新聞」より引用)

 なぜ環境省の除染土の管理に関する会議を非公開としているのか、理解に苦しむ。福一原発放射能漏れ事故以来、国は飛散した放射能に関するあらゆるデータを隠し、放射能汚染の資料を隠蔽してきた。
 そして環境省は除染土を安全確認の上で公共事業で使用する、と宣言した。なんということだろうか。安全と判断した基準がいかなるもので、それがいかなる使用基準かで「安全」と判断されたのか、国民は知らされないままだ。

 コンクリートで覆えば「安全」な放射能レベルだとか、盛土で覆えば「安全」な放射能レベルだとか、様々なケースを決めて全国に除染土を拡散する危険性を国民は何も知らされていない。
 たとえば、あなたの家の前の道路の路床に放射能汚染土が使用されていて、その上を厚さ何センチかのコンクリートで覆われているから「安全」基準をクリアしているとしたらどうだろうか。それが170年も持続して放射能を遮蔽するに十分なコンクリートで覆われ続け、放射能漏れを起こさない確約を一体誰がするというのだろうか。

 環境省は国民の環境保全のためにある省ではないのか。それとも原発を稼働させる環境を保全するために存在しているのだろうか。環境省が管掌する「環境」とはいかなる人に対するいかなる環境なのか、もう一度問い質す必要がある。
 日本の国土全体に放射能汚染土をばら撒くことが国民の「安全」に繋がるとは決して思えない。しかし黒いビニール袋に入れたまま野積みし続けるのもいかがなものだろうか。なぜ巨大なコンクリート箱を建設して、その中に除染土を集約・管理しようとしないのだろうか。

 当然、巨大なコンクリート箱を建設する場所は福一原発で放射能汚染され、帰還困難場所で、その土地を国が買い取ることで帰還困難者に対する国家賠償の支払いとすることができるだろう。
 そして放射能汚染物質の拡散よりも、集約管理する方が「安全」だと環境省の官僚たちは思わないのだろうか。専門家を交えた会議を非公開とする環境省は国民のための環境を少しも考えていない。これほど危険な連中に放射能物質の扱いを委ねていて良いのだろうか。


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