あらゆる「陣取り合戦」に反対する。

<欧州連合(EU)は29日の首脳会議で、国民投票で離脱を決めた英国以外の27カ国の首脳を集めた非公式会議を開き、英国がEUの単一市場にとどまることを希望した場合、移民を含め労働者の自由移動など除外事項を設けないことを盛り込んだ共同声明を発表した。また英国からEU基本条約に沿った正式な離脱の通告を受けるまで、非公式を含めた交渉に応じない方針を確認した。

 会議後に記者会見した欧州理事会のトゥスク常任議長(EU大統領)は「単一市場にアラカルトはない」と述べ、英国が離脱後もEU域内の単一市場に残る場合は「人、モノ、資本、サービス」の移動の自由がセットであることが条件と強調した。英国民投票では、離脱派が東欧などからの移民の規制を主張して支持を広げた。EU側は「将来的にも英国とは近い関係を望む」としながらも、人の自由移動以外は単一市場にとどまりたい英国側のえり好みには応じない姿勢を明確にした。

 また共同声明では域内で反EU感情が広がっていることを意識し、「多くの人が欧州や国家の情勢に不満を持っている」と言及し、EUの改革を進めると明言。「現在の状況から生じるあらゆる困難に立ち向かう準備ができている」と英国抜きでの結束を強調した>(以上「毎日新聞」より引用)

 テレビ番組に登場するコメンテータたちの「英国のEU離脱」に対する見解を聞いていると「構造主義」者たちの見解が良く解る。彼らは世界経済にとって英国離脱はマイナスであり、それを喜んでいるのはロシアだけだ、という。
 そもそもEUはクリミア半島併合などに対してロシアに経済制裁を課していた。その足並みが乱れるし、ロシアが東欧諸国やインドや中国までも巻き込んだ「ユーラシア大陸経済圏」を呼び掛けている動きを加速するものでしかない、という。

 クリミア半島を併合したロシアは戦後の世界で公然と行われた「侵略」以外の何ものでもない。それが許されるなら、世界各国は移民制限を行わなければならないだろう。
 元々ウクライナやその一部だったクリミア半島はタタール人の地だった。そこに帝政ロシア時代から数百年の長きに亘ってロシア人が「入植」して、ついにクリミア半島の全人口の六割をロシア人が占めるに到った。そこで「住民投票」を実施して「ロシアへの帰属」を求める人たちが過半数を占めたから「民主的」に併合したのだ、というのがロシアの言い分だ。

 それが通用するのなら、各国は移民の人数制限を行うか、それとも移民の入国の際に国家への忠誠を誓わせなければならない。そうでなければ日本の場合、隣国に14億人もの人口を抱える中国があるため大変危険だ。津波のように1億人ほどの中国移民が日本にやって来て棲みつけば、何年か後に日本は「住民投票」により中国の一つの「省」になってしまいかねない。
 かつてロシアは「ソ連」だった。ロシア人を中心とする国が他民族の隣国諸国を併合して「ソ連」と称していた。しかし「民族独立の風」がソ連を崩壊させ、東欧に雨後の筍のように独立国が出現した。そうした国々の一部がEUに加入しているため、ロシアは危機感を深めた。

 そこでプーチンは再びソ連を形成し、併せてインドや中国までも一つの経済圏としたなら世界の全人口の半分を占める巨大市場を形成できると踏んだようだ。そう考えるのは自由だが、これまで戦闘を何度か繰り返してきた中国とロシアが本当に「和解」できるのだろうか。
 それなら道理としてウラジオストックを中心地とする「沿海州」を中国に返還しなければならないだろう。なぜなら帝政ロシア時代に太平洋への出口を求めてシベリアを超えて東進し侵略した地だからだ。しかし先の大戦終結直後に火事場泥棒を働いて日本から掠め取った北方領土すら返還しようとしないロシアにそうしたことは不可能だ。

 しかもロシアの経済力は日本の1/3ほどでしかなく、国家財政は極端に資源輸出に頼っている。原油価格低下により経済危機にあるロシアが他国を巻き込んで「経済圏」を形成しようとするのは、金融危機にある中国がAIIBを創設したのと動機が酷似している。
 世界はEUにより欧州経済圏が一つの国家であるかのように振る舞うのを見てきた。しかしそれは意外と早く綻びを露呈している。綻びとは英国の離脱だ。その原因はEU参加各国の経済格差にある。水は高き所から低き所へ流れるように、制限が無くなれば人は貧困の地を捨てて豊かな地へと移る。当然の結果として、英国の東欧からの移民が殺到した。そのうちイラク難民が殺到してイスラム対キリストの文化対立が起こるのは火を見るよりも明らかだ。

 国家は「民族自決」を旨とすべき、だ。それを超えて世界国家を形成しようとするのはユートピアに過ぎないか、もしくは「世界平和」を隠れ蓑に、世界の富を一手に集めようとする企みに過ぎない。
 グローバリズムはまさしく世界を一つの経済圏として、そこの富をすべて奪い取ろうとする米国の1%の陰謀だ。日本でそれに手を貸してきたのが竹中・小泉「構造改革」であり、手を貸しているのが安倍自公政権だ。安倍自公政権を陰で操っているのが米国の1%の小僧たちジャパン・ハンドラーたちだ。もちろんTPPはそうしたグローバリズムの権化の条約だ。

 安倍氏の言う「この道」はグローバリズムへの途だ。決して歩んではならない。それは1%が利すだけで、、日本国民は貧困層に叩き落されるだけだ。EU離脱を選択した英国民の苦悩を見れば明らかだ。
 その「英国離脱」を「英国民は後悔している」と反グローバリズムの動きを批判するだけのテレビに登場するコメンテータたちが誰の味方か明らかだろう。それだけでは足りないと思ったのか、ロシアは英国離脱を喜んでいる、と主張するコメンテータまでも登場させた。バカバカしいにも程がある。

 国家は「民族自決」を大原則としている。それを無視して他国に内政干渉したり軍事侵攻すると碌なことはない。中東の現状を見れば明らかだ。その真理はいつの時代になっても変わらないし、それが各種文化や宗教や民族が存在し、百年に満たない寿命の人類の限界だ。そうした観点に立ち、他国を尊重する「文化」を人類は共有すべきだ。「みんな違って みんないい」という金子みすずの詩の一節を肝に銘じて。


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