日本の金融危機の分散化は出来るのか。

<国際通貨基金(IMF)は4日発表した世界金融安定報告で「新興国の動向が国際金融市場で株価や為替相場を動かす引き金になっている」と分析し、景気減速が止まらない中国を震源とする市場混乱の再発に警戒感を示した。中国に対しては、経済政策の内容や意図を他の国の当局者や市場関係者に明確に説明するよう重ねて要請した。

 報告書は、世界全体の経済規模に占める中国やインド、ブラジルなどの新興国の割合が38%に高まり、国際的な金融システムにも組み込まれたことで、新興国が市場を左右するようになったと指摘。「株価と為替変動の3分の1以上は新興国に起因する」と推計した。
 中国に関しては、昨年8月に人民元の対ドル相場を突然、切り下げたことで世界同時株安になったことを紹介。「今後数年間、中国が国際金融市場に与える影響力はかなり強まる」と予想した>(以上「共同」より引用)

 IMFが発表した内容は既に私たちは承知している。以前は巨大金融大国米国を中心として国際金融は動いていた。全世界の経済の50%を握っていた米国の影響力は圧倒的だった。
 そこに割って入ったのが日本だった。最大時には米国の50%にまで迫った。そこで米国は慌ててプラザ合意で日本に円切上げの圧力をかけた記憶をお持ちのはずだ。欧州も日・米に対抗すべく欧州共同経済圏ユーロに結集した。米国の力は相対的に衰え、巨大米国と日本の円と欧州のユーロによる国際金融構造が成立した。

 三大経済圏の成立は一時的な国際金融の安定をもたらしたが、それも長くは続かなかった。中国やインド、ブラジルなどの経済成長により「新興国」という経済圏のグループが台頭してきたからだ。
 ことに中国の経済成長により、国際金融構造は大きく変貌した。日本を追い抜いた経済大国は基軸通貨ドルに対抗しようと、元を国際通貨にすべく野心的な構想を発表した。それがAIIBだ。

 しかし中国は内需拡大に失敗していた。確かにGDPは巨大化したが、それに相応しい成果を中国民は手にしていなかった。社会主義国にして貧弱な社会保障は国家存続の意義さえ国民自身に自問自答させる結果になる。
 中国が社会主義の中共政府に支配されている意味はあるのだろうか、と中国民が自問自答し始める時、中共政府は崩壊する。中国民は自分たちの生存に必要な政権を支持し、必要と思わなくなると政権を崩壊させてきた。それが中国四千年の歴史だ。中国民を飢えさせず平和な暮らしを約束するなら、異民族支配を持受け容れてきたのが中国民だ。

 中国の政権は中国民が選択している。中共政府は中国を経済大国に育て上げたが、同時に中国民に世界の豊かな暮らしを報せてしまった。中共政府が世界第二位の経済大国だと中共政府の実績を自画自賛して中国民の支持を繋いでいるが、言葉だけの経済大国の幻想に中国民はいつまで夢中になれるだろうか。
 集団催眠が覚めて、中共政府が主張していた経済大国は「張子の虎」でしかないことに気付き、社会主義国にして貧弱な社会保障に懐疑を抱いた時、中共政府は瓦解し始める。中国は世界の工場だと比喩されてきたが、それは「製造工場」という意味ではなく「組み立て工場」だという実態を知ったなら、製品の輸出から部品の輸入を差し引いたものが中国の付加価値所得だということは自明の理だ。つまり構造的に輸入部品価格だけ、中国経済は底上げされている。

 既に世界一位の原油輸入大国になっている中国は原油代金決済のドルを必要としている。そのドル依存を止めるには元を国際通貨にするのが唯一の道だ。しかし中共政府の目論みは成功する前に息切れし、崩壊しようとしている。
 経済大国を演じるために無理を重ねた国内投資は鬼城を全国各地に産み、鉄鋼の製造規模は国内需要の二倍の8億トンにまで肥大化して手の付けられないモンスターになっていた。百社を超える自動車製造企業の製造供給量は狂気の沙汰になっている。いずれも国営企業でその背後に人民解放軍が後ろ盾になっているため、中共政府は安易に製造工場廃棄を打ち出せないでいる。

 2億人ともいわれる都会になじんだ農民工はもはや田舎に帰ることは出来ない。彼らの二世代目も都会で生まれて育っている。中共政府は農民工にも都会の戸籍を与えて、農民との差別を緩和し始めたが、それが新たな差別を生むことになる。
 矛盾を解決するには社会主義を放棄して民主化するのが最善の方法だが、中共政府は余りに支配する利権に浴してきたため、それを手放すことができない。最終的にはこれまでの中国四千年の歴史と同じく、中国民によって政権は座から追放されることになるしかないのではないだろうか。


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