事前に国民に情報開示できない国と国とのいかなる「条約」も結ぶべきではない。

<環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案の衆院特別委員会での審議をめぐり、自民党は5日、民進党が求めていた政府の交渉資料を、特別委の理事懇談会に提出した。ただ、全て黒塗りされ、内容は分からない状態だった。

 民進は、情報開示がないと十分な審議ができないとして、甘利明・前TPP相とフロマン米通商代表部代表の会談記録の提出を要求。自民は5日、首相官邸への報告用に論点をまとめた資料を提出したが、全て黒塗りされ、「TPPブルネイ交渉会合 平成25年9月」などというタイトルだけが上から貼り付けられていた。

 自民の佐藤勉国会対策委員長は記者団に「公開しないという国と国との約束は絶対に逸脱できない。それ(黒塗り)でもという話があった」と説明。民進の近藤洋介・特別委筆頭理事は「ここまで黒いと思っていなかった。政府の説明を徹底的に求める」と述べた>(以上「朝日新聞」より引用)

 国家主権者たる国民に開示出来ない国家間のいかなる「条約」も締結してはならない。憲法に定める「主権在民」を否定する法行為は無効だ。
 しかも安倍氏がTPP締結が「国家百年の計だ」と主張するのなら、なおさら未来の国民に対しても現在の国民はTPPが何であるのか子細に知らなければならない。TPP交渉をしている政府・官僚等の関係者たちのバカげたほどの思い上がった国民無視の行為は断じて許せない。

 条約締結・批准まで内容は開示できない、という国家間の条約をいかにして国会は審議できるというのだろうか。審議しないで「承認」して、しかる後に問題が生じた場合、一体誰が責任を取るというのだろうか。
 しかも安倍氏をして「国家百年の計」と言わしめるほど、重大な内容があるとしたら、なおさら内容を開示して頂かなければ審議できないのが筋ではないか。そして米国との約束で批准まで内容は開示できない、というのなら、そのようなTPPに参加すべきではない。

 安倍氏は勘違いしていないだろうか。「主権在民」は日本国憲法の神髄だ。いかなる権力もすべて国民により負託されたものだ、というのが日本国憲法の成り立つ原理だ。その国民に知らしめず国際条約を締結するなどという権利は政府にない。
 国会で野党は「それなら質問する形で審議しよう」ということらしいが、私は反対だ。質問する形で条約のすべての事項を網羅できるとは思えないからだ。審議から漏れた事項に重大な「約束」があったなら、それは審議不足ということで済ますことは出来ないはずだ。国会が国民に責任を負えない形で審議入りするのには反対だ。

 この国の政治家たちはいつから国民に対して傲慢不遜になったのだろうか。自分たちが国家を仕切るから国民は黙って従え、というのは余りに国民をバカにしていないだろうか。それこそが戦前の戦争へと傾斜していった陸軍指導者たちの愚かな独善性と重ならないだろうか。「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というが、経験にすら学ばない安倍自公政権とその官僚たちを何と評すれば良いのだろうか。
 そしてその思い上がった、国家のよって立つ仕組みさえ理解していない独善安倍自公政権に「質問で審議とする」という愚かな政治家たちもまた経験に学ばない「愚者」以下の人たちだ。この国の最高機関は愚者以下の人たちによって占拠されている。

 劇場型の選挙やタレント人気投票型の選挙を繰り返しているうちに、政治家たちの資質が「主権在民」を失念してもなんとも思わないほど劣化してしまったようだ。この国の危機は「劇場型選挙」や「タレント人気投票型の選挙」を厳しく批判しないマスメディア・言論界に責任がある。
 〇〇チルドレンなどと評して悦に入っている間に、政治家たちの資質は何が日本国憲法で許容され、何が憲法規定に反するかも判断できない政治家たちを大量に創り出してしまった。しかし政治家たちの資質の低下は主権者たる国民の資質低下でもあることを肝に銘じなければならない。政治の結果が必ず国民の身の上に降りかかってくる「経験」を忘れてはならない。国民は愚者であっても、愚者以下であってはならない。


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