国民の多くは「景気回復している」とは思っていない。

<内閣府は9日、国民の社会意識を調べる「社会意識に関する世論調査」を公表した。日本社会で「悪い方向に向かっている」と感じる分野については、「国の財政」「景気」「地域格差」を挙げる人の割合が多かった。

 「悪い方向に向かっている分野」を複数回答で尋ねると、「国の財政」が38%(前年比1・0ポイント減)、「景気」が29・5%(同0・8ポイント減)、「地域格差」が27・9%(同1・7ポイント減)の順で高かった。

 特に「景気」については、「良い方向に向かっている分野」(複数回答)で挙げた人の割合が7・3%(同3・1ポイント減)で、全ての選択肢の中で減少幅が最も大きかった。

 「良い方向」として挙がった分野では、「医療・福祉」(29・2%)、「科学技術」(29・1%)、「治安」(19・8%)の順で高かった。伸び率では、「外交」(13・4%)が前年比3・8ポイント増、「防衛」(10・3%)で同2・4ポイント増と目立った。内閣府の担当者は「近隣国との関係改善を受けたものではないか」と指摘する。

 「社会で満足していない点」(複数回答)では、「経済的なゆとりと見通しが持てない」(44・4%)、「若者が社会での自立を目指しにくい」(37・1%)、「家庭が子育てしにくい」(28・5%)の順だった。

 「国を愛する気持ち」が他人に比べて強いかどうかを尋ねた項目では、「強い」が55・5%(前年比0・1ポイント増)、「弱い」が6・1%(同0・5ポイント減)だった。

 調査は1月28日~2月14日、全国の20歳以上の1万人を対象に調査員による面接方式で実施。5877人(回収率58・8%)から回答を得た>(以上「朝日新聞」より引用)

 内閣府の調査らしく「財政悪化」を感じているとする国民が「良くなっていない」と感じている事柄のトップになっている。普段話し合っている私の身の回りの人たちの会話で「国の財政悪化が心配だネー」と財政を話題にしている奇特な話はまず聞かない。
 しかし内閣府の調査では「悪化している」事柄のトップが「財政」で38%もいるという。国民の三人に一人以上という勘定だ。

 それならなぜ国家財政を司る内閣・政府に対して「対前年比増の予算」を組み続ける放漫財政運営を叱る声が国民から聞かれないのだろうか。税収がいかに伸びようと、対前年比増の予算を組み続けていては「財政」が改善されることはまずないだろう。
 国民に対しては単式簿記で「発行済み国債残高」のみを示して、「ほら、これほど増加しているだろう、大変だゾー」とマスメディアを通じて広報に専念し、それが国民にうまく浸透している成果だ。なぜ諸外国のように「連結決算」を複式簿記の会計基準に従って作成・開示しないのだろうか。そうすれば「純・国債発行残高」は250兆円ほどでしかないのが簡単に解る。だからドル安になって「国際的に安定した通貨」の円が買われて「円高」局面に入っているのが理解できるだろう。

 日本の国家財政が財務省の発表通りにマスメディアが垂れ流し広報する「財政破綻国家」なら、日本の円は国際的に信任を失って大暴落しているはずだ。しかし利に聡いはずの世界の投機家たちは「国際的に安定した」円を買っている、という現実に関しては日本のマスメディアはスルーしている。
 かくもアカラサマな矛盾を日本国民は誰も感じていないと思っているのは内閣・政府員だけだ。国民の多くは「おかしいゾ」と思っている。なぜGDPの二倍以上もの国債残高を抱える日本の通貨が国際的に「安定している」として買われて「円高」へ振れているのか、疑問に思わない国民はまずいない。しかし明確な回答を用意できないでいるのが殆どの国民の実情ではないだろうか。

 そうした意味で、国民の多くは日本の財政当局とマスメディアを信用していない。彼らが騒ぎ立てている「国家財政破綻の危機」と国際的な円が「安定的な通貨」という評価のギャップはなんだろうか、と素直な疑問を抱いている。
 素直な疑問を氷解させるのが「複式簿記」で国家財政を表現し、各種特別会計や基金や日銀会計に分離してバラバラに発表している「国家財政」の全体像を連結決算」により表現すれば一目瞭然で理解できるはずだ。しかしそうしたら財務官僚は日本国民が全体像を理解して、今後は国民を「世論で操作」できなくなるから困るのだろう。

 アベノミクスで「まっすぐに景気回復」と謳った前回選挙のスローガンは「景気が悪化している」と感じている国民が29.5%もいるのに、「景気が良くなっている」と感じている国民は7.3%でしかないというのは内閣府調査としては気まづい結果ではないだろうか。
 しかし国民の実感はそんなものではない。ことに勤労世代では過半数の国民が「景気は悪化している」と感じているはずだ。実質所得が改善されないうちに物価がジワジワと高くなっているのに、景気が良くなっていると感じている能天気な国民はまずいない。身に迫る貧困化に、国民の多くはこの国の未来に漠然とした危機を感じている。

 近隣諸国との関係が改善された、と感じている国民がいることに驚いた。安倍自公政権になってから近隣のどの国と関係改善されたのだろうか。太平洋を隔てた米国に最大限の尻尾を振っているだけの安倍自公ポチ政権に対して、危機感を抱いていない国民がいるのだろうか。
 米国の戦争に「御付き合いします」と宣言している安倍自公政権に国民は追従し、心中するつもりなのだろうか。米国の1%のために自衛隊員が世界各地へと武装して出掛けて、敵を殺し敵に殺されるのを日本国民は望んでいるのだろうか。それも「国際紛争の解決手段に武力を用いない」とした日本国憲法の規定内だと思っているのだろうか。

 プロパガンダを仕掛けるつもりの内閣府調査が反対に国の矛盾をさらけ出す結果になっている。国民の貧困化や格差拡大こそが国民の最大関心事だということに、内閣府は危機感を抱くべきだ。それはつまり安倍自公政権が国民にとってマイナスの存在でしかないと気付いている証拠に他ならないからだ。


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