民主主義が危ない。

 黒田日銀総裁は就任時に「二年後に物価を2%上げる」と公約した。その公約実現のために異次元金融緩和を行い、円の価値を人為的に引き下げた。相対的に価格が下落した株式に海外投資資金が流入して株価は上がったが、それは本来の景気回復の指標とは別物だと、少しでも経済に造詣のある者なら分かっていたはずだ。
 しかしマスメディアはアベノミクスだと持ち上げ、安倍氏が奇跡的に日本経済を復活させたと宣伝に一役買った。それのみならず誘導報道と思われる以上に高い内閣支持率を報じ続けて、安倍自公政権に「戦争法」を強行させる根拠を与えた。

 本来なら「戦争法」はそれのみで国会を解散して直ちに国民に信を問うべき重大事だ。しかし安倍氏は既に先の選挙で信任されているから改めて国民に問う必要はないと居座り、それのみならず昨年末に臨時国会を開かないで国民が「戦争法」を忘れることをひたすら願っているようだ。
 野党も第一党と第二党が合併だ合流だ、いや新党だとバカな数合わせごっこを演じている。いずれも第二自民党と自民党補完政党だ。次期政権を担う意思のない政党は消え去る運命にある。消え去る運命にある政党同士がどうなろうと知ったことではないが、国民の目を「戦争法」から逸らす効果はある。

 本来なら国民に信を問うべき重大な解釈改憲をやって、その騒動が消え去るのを待って選挙を行うとは民主主義の危機以外の何物でもない。それを報じないマスメディアは政権の宣伝機関だと批判されても仕方ないだろう。 
 民主主義が危ないの国会だけではない。地方議会でも「住民投票の直接請求」を求める議案が否決された。それはこの22日に周南市議会であったことだ。駅ビルにツタヤ図書館を設置するのに反対する住民団体が地方自治法74条に基づく署名活動を行って、法定数の三倍以上の署名を集めたにもかかわらず、市長が「代表民主主義により進めている事業だから、今更住民投票する必要はない」という理屈を述べ、議会も圧倒的多数がそれを是認したという。

 この国の国民ならだれもが「主権在民」が民主主義の基本原理だと義務教育で習ったはずだ。ただ物理的にすべての主権者が集まって議論するのは困難だ、ということから代議制を採用しているに過ぎない。
 だから住民から異議の申し立てが直接できるように地方自治法74条に直接請求が定められている。国会も解釈改憲を行った段階で安倍自公政権は国民に信を問うべきだった。そのことをマスメディアは強く政権に民主主義の原理として解散総選挙を行うべきと論陣を張るべきだった。しかし言論界は解散総選挙を求めず、安倍自公政権が「戦争法」を強行するのを手を拱いて傍観するだけだった。

 民主主義が危ない。国民生活に大きな影響を与える経済政策が破綻しているにも拘らず、マスメディアは他人事のように解散は四月だ、いや同時選挙だ、と評論家に徹している。その陰で緊急事態法などの成立に安倍自公政権は躍起となり、防衛省では制服組が主導権を奪取ろうとしている。
 賢者は歴史に学び愚者は経験に学ぶという。先の大戦という悲惨な経験に学ばないこの国の指導者たちは愚者以下だ。その愚者以下の連中の跋扈を許すマスメディアも同類項だ。国民は本気で怒らなければならない。主権在民まで安倍自公政権は解釈改憲で変えてしまったのか、と。民主主義が危ない。


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