文官統制は戦前の軍部暴走の反省から生まれた制度だ。

<集団的自衛権行使を含み、今年3月施行される安全保障関連法を初めて全面的に反映させる自衛隊最高レベルの作戦計画策定に当たり、防衛省内で制服組自衛官を中心とする統合幕僚監部が、背広組防衛官僚が中心の内部部局(内局)に権限の大幅移譲を要求していることが21日、複数の防衛省・自衛隊関係者の証言で分かった。内局は拒否、調整が続いている。

 昨年6月の改正防衛省設置法成立で防衛省は、防衛官僚が自衛官より優位な立場から大臣を補佐する「文官統制」制度を全廃、内局と統幕が対等になった。統幕の要求が認められれば、軍事専門家である制服組主導となる可能性もあり、危惧する声は多い>
【以上「共同通信」より引用】

 これほど国家の仕組みの根本にかかわる重要な変更の流れを日本の全国紙やテレビが報じないのはどうしてだろうか。日本のマスメディアは国民の知る権利にこたえているだろうか。
 報道の自由はマスメディアが恣意的に報道する題材を取捨選択する自由ではなく、国民の知る権利に応えるための取材の自由を確保するための憲法規定だ。報道の自由がなければ権力による「翼賛報道」が甦るからだ。しかしこの国の愚かなマスメディアは自ら報道の自由を放棄して、権力に擦り寄っている。

 安倍自公政権による戦争法の強行は確実にこの国を戦前の体制に戻している。秘密保護法という悪法を成立させ、さらに戦前の国家総動員法にも等しい緊急事態法を成立させようとしている。
 軍部の暴走により大陸で前線が拡大し、泥沼の戦争に国民が巻き込まれていった悲劇を忘れたのだろうか。より強力な兵器を装備したがるのは世界のどの国の軍隊も同じだ。そして装備した兵器の有効性を過信して戦争をしたがるのも、世界各国の軍隊に共通した性向だ。だからこそ、防衛庁は文官統制を旨として戦後一貫してやって来た。

 文官と武官とを対等な立場にすればどうなるのか。軍隊を直接把握している武官の方が優越するのは火を見るよりも明らかだ。文官は軍隊の圧力に簡単に屈してしまうのは戦前の歴史が教えている。
 「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」が安倍自公政権は愚者の集団以下のようだ。経験にも学ぼうとしないとは非常識というしかない。日本国民の何割が武官統制を望んでいるだろうか。

 たとえは不適切だが「基地外に刃物」という言葉がある。いかに見識ある常識人でも特殊な環境下で暮らし、高性能兵器の操作に熟達していれば、いつの日にかそれを実戦で試してみたい誘惑にかられかねない。
 国民の命に係わる緊急事態に備えるのはもちろん大事だが、そうした事態を招かないようにするのも政権・権力の責任だ。北朝鮮の脅威をマスメディアは頻りと煽るが、北朝鮮の核兵器開発を放置したのは米国や中国だし、ミサイル開発と発射に手を拱いていたのは米国だ。日本に対する脅威が肥大化するのを米国は放置し続けてきた。そしてついに自国本土に脅威が到達する段階を迎えて慌てている。

 安倍自公政権は日本国民の安全のために働いているのだろうか。それとも米軍と一緒に訓練し、日常的に情報交換などの現場で米軍と協力関係にある武官が日本国民の多少の犠牲があってでも「国際平和」を謳い文句に海外の戦争に突入しないとも限らない。
 戦前の軍部が大陸で戦線を拡大したのも「東亜の平和構築」が謳い文句だった。政権にある者は賢者なくても、せめては経験に学ぶ愚者であって欲しいと願う。


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