欧米は素晴らしかったのか。

<世界が、中国を恐れるべき最大の理由は、「専制的な発展途上国が『世界の盟主』となる可能性」だと思う。

 ヨーロッパが世界を征服する過程で、誤りも犯したが、英国やフランス、米国は、政治・経済・文化・社会的に最先進国であって、大きな方向としては「世界人類の幸福」に寄与したと思う。

 日本人も含めて世界の人々が、西洋文明の価値観を是としている。国際化や環境、人権の重視、女性やマイノリティーの権利拡大、情報公開といった新しい方向性も、相変わらず欧米から発信され続けている。

 私は自著『本当は誤解だらけの「日本近現代史」~世界から賞賛される栄光の時代』(ソフトバンク新書)で、近代日本は、世界史で西洋文明の普遍化を体現した国として、褒めたたえられるだろうと位置付けた。

 明治には、文明開化や富国強兵、憲政の樹立で、近代国家が西洋人でなくても実現できることを実証した。戦後日本は世界革命を起こさなくとも経済成長で豊かな国になれることを証明した。

 先端的なインテリだけでなく、初代内閣総理大臣の伊藤博文を代表とするリーダーたちも、拙速を避けつつも先進文明国となることを目標とした。ただ、その道を外れて大やけどをしたのが昭和前半だ。

 一方、中国は「中体西用(ちゅうたいせいよう)」といって、西洋文明の精神は学ばず、技術だけを借用しようとして失敗した。いま、習近平国家主席は、専制主義、自由主義、ソ連東欧型の社会主義をいろいろ経験して、行き着いたのが「中国の特色のある社会主義」だと言っている。

 つまり、永遠に先進民主国家になるつもりはないらしい>(以上『八幡和郎氏の論評』より引用)

 中国がいかなる政治体制を選択していようと、それは中国民の是認の上にある。反対なら反体制運動を展開して共産党一党独裁政権を滅ぼせば良いだけだ。しかし中国民はそうした選択をしていない。
 中国民を餓死させず食わせてくれる政権なら、中国民は受け容れる。かつての歴史がそうだった。一方、啓蒙思想を逸早く普及させた欧米は自国内のみの文化を謳歌し、肌色の異なる人類の人権を無視した植民地政策を欧米を除く世界全域で展開していた。

 言い方を変えるなら、欧米の文化は有色人種の搾取の上に花開いたものでしかない。辛くも日本だけが欧米の魔の手に侵略されなかったため、八幡氏のような欧米万歳と平気で言える天真爛漫な社会評論家が出て来る。
 先の大戦は有色人種で唯一欧米帝国主義に侵略されなかった日本を懲らしめる欧米列強のブロック経済にまんまと嵌められたというべきだ。そして圧倒的な国力の差により戦前の日本は瓦解した。すると俄か文化人が欧米派に転向して日本の伝統文化や慣習を徹底して自己批判した。中には日本語を追放してローマ字表記にすべきだと主張する大馬鹿者の学者まで出てくる始末だった。

 そして今、欧米崇拝者はかくのごとく存在している。米国の東部にまで北朝鮮のミサイルが飛翔する事態になって、やっと米国は本気で「制裁」を叫びだした。日本はもっと早くから全国が北朝鮮の照準下に入っている。今度は日本にとって新しい事態ではない。何を安倍氏は「制裁だ」と叫んでいるのか、不思議でならない。
 中国には数千のミサイルが日本の各都市に照準を合わせて配備されている。それを米国は何ら問題にしていない。日本政府も「中国制裁」とは叫ばない。ダブルスタンダードを「おかしい」と感じない報道機関や評論家たちを「おかしい」と思わなければならない。それと同様に、欧米がつい先ほどの20世紀過ぎまで世界の有色人種に何をしていたか、歴史を見れば明らかだ。

 中国は確かに信用ならないし傲岸不遜だが、少なくともアフリカの人たちを捕まえて奴隷として売っていないし、東南アジアの人たちの女性を凌辱したり、幼い男の子の両手を切り落としたりしていない。粗悪な製品を売りつけはするが、アヘンを売りつけはしない。反日プロパガンダを繰り返す中共政府の中国は鼻持ちならないが、中国民とは一衣帯水の関係にあることは素直に認めるべきだ。無用に恐れてはならないし、不用意に信用してもならない、それが中国だ。


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