<不正会計問題で業績不振が続く東芝の2016年3月期の純損益が、5千億円規模の赤字となる見通しであることが19日わかった。赤字の家電部門で工場の売却や人員削減をするため、多額のリストラ費用を計上する。赤字額はリーマン・ショックがあった09年3月期の3988億円を上回り、過去最大となる。

 家電のリストラでは、テレビやパソコンの開発を手がける青梅事業所(東京都青梅市)の縮小や、インドネシアのテレビ工場の売却などを盛り込む方針。従業員削減に伴う割増退職金を計上するほか、利益があがることを前提に税金の前払い分を資産に計上する「繰り延べ税金資産」も大幅に取り崩す方針で、純損益の赤字は5千億円規模にふくらみそうだ。本業のもうけを示す営業損益も、利益の大半を稼ぐメモリーの価格が下落しており、2千億円規模の赤字となる見通し。不正会計で08年4月~14年12月に税引き前損益ベースで計2248億円の利益を水増しし、業績をよく見せかけていたツケが回った形だ>(以上「朝日新聞」より引用)

 東芝を監査していたのは新日本有限責任監査法人という監査法人だ。本来なら監査法人の監査で東芝の不正経理を指摘して何期にも渡る粉飾決算を許してはならなかった。それは投資家を守るのみならず、東芝に関わるすべての下請けや販売会社に対する信用を担保するものでもあるからだ。
 現実に東芝は5000億円規模の純損益を計上し、企業利益も2248億円もの損失を計上することになった。粉飾経理は企業経営者として万死に値する行為であり、企業の社会的責任を顧みない自己満足だけの愚かの極みだと批判するしかない。

 しかし監査がどれほど無力だというのだろうか。監査法人監査以外にSEC監査もあったはずだ。それらの厳格な監査を実施しても粉飾決算を見抜けなかったということなのだろうか。
 監査法人による監査が不正経理を見抜けなかったのなら、最後の手段は「内部告発」の奨励しかないのだろうか。労働者が自らの職場を守るために不正経理を重ねることが結局は「負けの込んだ博奕」のように破産を招く愚行だと認識して、内部告発を積極的に行うような社会慣行を定着させるしかないだろう。

 外部監査を実施しても東芝のような例が後を絶たないが、内部監査しか実施していない国や地方自治体は大丈夫だろうか。長年実施して効果の上がっていない事業や着工から四半世紀も立っているダム建設など、完成時には基礎の部分で耐用年数を迎えている、などという笑い話のような実話すら存在する。
 そうした歳出に対して適正経理と適正処理がなされているのだろうか。国の事業に対する会計検査院による監査は所詮官僚による「内部監査」だ。どれほどの不正全体に対する割合の指摘がなされているのか、政策そのものの不正に対する指摘がどれほどなされているのか。

 たとえば赤字国債を発行してはならない、というのは会計規則に定めてあるが「特例措置」との取り決めで延々と続けられている。それを国会議員が指摘するのではなく、積極的に国会で可決しているのだから世話はない。厳しく歳入の範囲で歳出予算を議決すべき、との議論もなく、対前年増の予算が漫然と組み続けられている現状に政治家諸氏は厳して危機感を抱かないのだろうか。いや、国会議員の資質そのものに対して「監査」すべきなのかもしれない。


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