外資を呼び込むために自由化を演出しなければならなくなった習主席の窮状。

<中国の習近平共産党総書記(国家主席)は20日、1980年代の改革派指導者で、87年に学生の民主化デモに理解を示して失脚した胡耀邦元総書記の生誕100周年の記念座談会を北京で開催し、自ら出席した。その死去に伴う追悼が89年6月の天安門事件につながったため、胡氏の再評価は慎重に進められてきたが、近年の前向きな再評価が固まった形だ。
 座談会には最高指導部の政治局常務委員7人が全員参加。新華社電によると、習主席は講話で「中国の特色ある社会主義を探求し、切り開くため不朽の功績を打ち立てた」と述べ、改革・開放などで胡氏の功績を高く称賛し、「彼の革命精神と崇高な態度はわれわれが永遠に学ぶに値するものだ」と呼び掛けた。
 しかし、習主席は胡氏失脚の際の「重大な政治原則問題で誤りを犯した」という評価を変えず、天安門事件にも言及しておらず、再評価は同事件などと切り離して行われた>(以上「時事通信」より引用)

 天安門事件は中共政府が決して触れない「自国民虐殺・自由化弾圧事件」だ。しかも1987年と当時を知る者がまだたくさん生存している時点での胡耀邦元総書記の再評価は中国共産党にとって危険なことだろう。しかし習近平氏は胡耀邦元総書記生誕100周年記念座談会を北京で開催して、自ら出席した。
 決して天安門事件に触れることはなかったようだが、多くの中国民は天安門に集った自由化を求める学生たちに理解を示したために失脚した胡耀邦元総書記のことを知っている。そして中国民以上に海外メディアは「自由化を容認した胡耀邦元総書記」のことを知っている。

 中共政府はバブル崩壊を少しでも先延ばししようと情報統制だけでなく、株式売買統制や銀行金融緩和に反する元為替相場維持の強制など、自由化とは反対の政策を次々と打ち出している。しかし自由化と反するそれらの政策に嫌気がさして、外国資本は中国から撤退している。
 中共政府は自由化を容認さぜるを得ない事態に迫られている。中共政府に都合の悪い歴史を封印して国民の目から遠ざけてきたが、そうした動きが経済統制を強める中共政府の動きと相俟って、欧米基準の社会と中共政府とは異質なものだと印象付けることとなり、投資すべき相手国ではない判断されることを恐れている。

 投資とは単なる「金融」のことではない。中国へ投資するのは外国企業で、外国企業が中国へ進出すると新しい産業技術や先端技術が中国内に移転されることになる。それを中共政府は求めている。
 しかし外国企業投資意欲が急速に後退し、さらに外国企業が撤退すれば中国内に残るのは基幹産業を担っているローテクの国営企業だけになってしまう。それでは今後の中国経済の強力な製造業エンジンが衰退してしまうことになる。それも急速に衰退して、決して短期間に回復することはない。中共政府にとってそれ以上の悪夢があるだろうか。

 しかし自由化は中共政府にとって諸刃の刃だ。中国が貧しく国民の欲望が抑圧されていた時代は自由への渇望が連れほど強くないが、国家が富み、国民が海外情報を普通に手に入れられる時代になると、海外事情と国内事情とを比較して不満を増殖させる。そこにバブル崩壊が重なり、リセッションが起こると収拾不能な社会不安が広がる可能性が高くなる。
 そうした政府瓦解のシナリオが現実になることを中共政府は恐れている。外国が敵なら対応は国家国民が一丸となるようにプロパガンダを宣伝すれば良い。しかし経済環境悪化による国内不安を鎮圧するのは困難だ。そうした困難な状況に直面していることが胡耀邦元総書記の復権に現れている。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。