シリア空爆のロシアの意図。

<チェチェンはグルジアに隣接する人口約80万、日本の四国ほどの大きさのイスラム系住民が中心の共和国。首都はグロズヌイ。旧ソ連時代には石油を年間400万tほど産出し、交通、運輸、地政学上の要衝の地にある。チェチェン人は19世紀以来ロシアの支配に対して激しく抵抗した。1922年にチェチェン自治州、36年にチェチェン・イングーシ自治共和国が成立、43〜44年にはドイツ軍に協力したとしてスターリンによって民族ごと中央アジアに強制移住させられ、57年に帰国が許され自治共和国が再建された。91年11月に独立国家を宣言しドゥダエフが大統領に就任したが、モスクワはこれを認めなかった。92年6月にイングーシ共和国が分離独立。94年12月、ロシア軍の攻撃で内戦状態に発展し、96年4月にドゥダエフは戦死。同年8月に和平合意が成立し、選挙で穏健独立派のアスラン・マスハドフが大統領に選ばれた。97年1月、ロシア軍はチェチェンから撤退した。モスクワが最大限の自治を保証するタタルスタン方式を主張しているのに対して、独立派はあくまで完全独立を主張、やがて独立運動は激化した。99年9月にロシア軍は空爆を開始、再び内戦化して、プーチン政権は2000年6月に臨時行政府を設置、マスハドフ大統領を追放し、イスラム教指導者で親ロシア派のアフマト・カドイロフを行政長官に任命した。03年10月の共和国大統領選挙で、カドイロフが大統領に選ばれたが、04年5月のテロで倒れた。同年8月29日に大統領選挙が実施され、共和国内相のアル・アルハノフが当選したが、独立派はモスクワの傀儡(かいらい)政権として認めていない。元大統領のマスハドフ司令官は05年3月にロシアとの戦闘で死亡した。強硬な独立派で対ロシアテロ活動の指導者シャミル・バサエフ野戦司令官も06年7月にロシア連邦保安局の作戦で死亡した>(以上「ブリタニカ国際辞典」より引用)

 上記チェチェン紛争を引用したのにはわけがある。チェチェン紛争に敗れたチェチェン人戦士たちは一部シリアへ逃れて戦闘員として活躍している。その数千数百人といわれ、彼らが祖国の地へ戻ってテロなどを始める前に叩いておこうというのがロシアの意図だといわれている。
 ロシアには旧ソ連の版図を復活させようとする野望がある。旧ソ連が崩壊して軍事力が後退した時期に、周辺諸国が相次いで独立したのに懲りて、ロシアは再び軍事力で周辺民族の独立志向を弾圧し服従させている。チェチェンもそうだしウクライナもそうだ。日本の北方領土もロシアが軍事力で制圧し、一万五千人いた日本住民は島外へ追放されたままだ。

 つい先日、安倍氏はニューヨークでプーチン氏と再会したが、その際の有り様は一体なんだろうか。イソイソと駆け寄る安倍氏の余りの軽さに絶句した。日本は決してロシアに駆け寄る立場ではない。毅然として、憮然として、「北方領土を即時無条件に返還せよ」と要求する立場だ。
 経済協力を求めるプーチンに対しては「北方領土返還」後に平和条約を締結してからのことだ、と突っ撥ねるだけで良い。不愛想にしていればそれで良いのだ。なぜならロシアは経済困窮のどん底にあるからだ。

 ロシアという国の実態は原油や天然ガスなどの資源輸出だけが貿易品目という中近東諸国と大して変わらない。国民生活は社会主義国とはにつかわない程の格差社会だ。資源権益を握る一部のマフィアが国家利益の大半を懐に入れている。そうした体制は国営大企業と外国資本企業しか存在しない中国と似通っている。
 中国の場合は国営大木々用の経営主体の多くは人民解放軍だ。つまり軍閥が地方経済も牛耳っている後進国家体制そのものだ。ロシアはマフィアがプーチンを操っている、という点では1%が大統領選挙を仕切り大統領を操っている米国と酷似している。だから中国もロシアも米国も世界の資源利権に敏感で、権益獲得競争に血眼になっているのだ。

 チェチェン人の土地はチェチェン人のものだ。それを否定する形でプーチンはソチでロシアの五輪大会を開いた。なぜならソチはカフカス首長国の領域内に位置しているからだ。つまり国家としての実体はないがカフカス首長国、チェチェン人の地で敵であるロシアの国威発揚イベントが行なわれたからだ。
 だから西側諸国の首脳はソチ五輪の開会式に出席しなかった。しかし安倍氏はノコノコと出掛けてプーチンのご機嫌伺いをした。なんという愚かな人物だろうか。今度もイソイソと駆けつけるバカな態度を各国記者たちの前で示した。西側諸国がウクライナ制裁をやっている最中に、だ。バカにつける薬はないというが、これほど国益を毀損する日本の首相は日本史上空前絶後だろう。

 プーチンを年内にも日本に招待するというが、すでにロシア国内で賞味期限の切れた大統領を招いてどうするのだろうか。話し合うべきはロシアの資源マフィアの連中だ。それも安倍首相ではなく、もっとタフネゴシエーターの日本の民間人だ。経済支援と引き換えに北方四島を日本に返還するという「取引」を話し合うのだ。
 かつてロシアはアラスカを米国に売っている。その例に倣えば取引で北方四島を経済支援と引き換えに返還することもあり得る。それが嫌なら何人ロシア国民が凍死しようと、日本は一切援助しないことだ。万が一困窮しても北方領土の住むロシア人への支援など決してやってはならず、ロシア本国に引き揚げる手助けならやっても良い。それくらいの冷血漢でなければ領土交渉など出来るものではない。

 ちょっと脅されたら関税自主権も放り出し、自衛隊も米軍の弾運びに差し出すような腰抜け政権ではプーチンも腹の底では笑っていることだろう。シリア空爆するロシアを日本政府も非難すべきだ。そしてチェチェン人を励ますことだ。「民族自決」は国際的な合意事項だ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。