「おかしいだろ、これ」は正常な法曹界の反応だ。

<安全保障関連法の成立を受け、新潟県弁護士会の平哲也会長は19日、強行採決を批判する「おかしいだろ、これ。」との一言のみの異例のコメントを発表。安倍晋三首相や中谷元防衛相ら宛てにファクスと郵送で送った。コメントは同会のホームページにも掲載した。
 同時に出した声明では「採決強行は立憲主義、民主主義を真っ向から否定する暴挙だ」として、安保関連法の廃止を求めている。平会長は同日、毎日新聞の取材に「安保関連法が違憲であるとの思いを伝えたかった。声明を分かりやすく表すと、結局この一言に尽きる」と説明した>(以上「毎日新聞」より引用)

 憲法と法を熟知する人たちは一様に「おかしいだろ、これ」と思っている。安倍自公政権とその仲間たちが成立を強行した「戦争法」のことだ。
 憲法を素直に読めば「自衛隊」すら違憲とせざるを得ないが、「自衛権」は記載されていなくても自然人に正当防衛が認められているように国家にも主権を他国から軍事力で侵害された場合には「自衛の武力行使が容認されている」と憲法を拡大解釈して自衛隊の存在を合憲としてきた。
 ただし、「自衛権」の行使だから自衛隊の行動範囲は「周辺事態」だと限定してきたのは当然のことだ。それが「拡大解釈」の限界だとの認識を歴代内閣は踏襲してきた。

 安倍自公内閣はたった一代の内閣で「解釈」を「自衛権は世界各地に及ぶ」と変更して、それを「戦争法」として法制定してしまった。なんとも自己中心的にして性急な「憲法破壊」だろうか。
 これにより日本の国家と国民の危険は格段に高まることになる。「自衛隊員のリスクは増えない」と強弁した安倍氏とその関連閣僚たちはオリンピック招致国際会議で「福一原発の放射能漏洩は完全にブロックされコントロールるされている」と断言した安倍氏は永久に保存される国会の議事録に載る場でも断言した。彼らは歴史に残る大嘘をついても全く恥じない連中のようだ。

 そして彼らの眼中にあるのは日本国民ではなく、米国政府だということは明らかだ。米国は一千発以上もの核兵器を保有する超大国だが、兵器は製造すれば終わりではない。当然だが使用に耐える耐用年数が限られ、耐用年数の間もメンテナンスが必要とされる。耐用年数を過ぎて廃棄される際には莫大な解体処理費がかかるのはいうまでもない。
 一発あたり数百億円ともいわれる核爆弾や核弾頭を千発以上も保有することだけで日本なら防衛予算を超過する。その他にも米国は空母を旗艦とする艦隊を七群保有する。一艦隊だけで年間保持費は数千億円といわれるが、その上に一万人近い兵員も必要とされる。軍隊とは莫大な費用を喰らう金食い虫だ。そのため、米国では日本で実施されている国民皆保険の医療保険制度はない。

 安倍氏は「戦争法」さえ通せば米国政府と約束した日米ガイドラインが実施できると考えているようだが、「戦争法」にはコストがかかることを国民に説明していない。政府と国会は国民に行政コストをしっかりと説明する義務がある。
 一体自衛隊をどうやって戦地へ運ぶつもりだろうか。長距離輸送機や大型輸送艦を制作や建造しなければならないのはいうまでもなく、自衛隊員を裸で送り出すことは出来ない。自衛隊員各自の装備や野戦で寝泊まりする施設もこれまでのような戦闘を前提としないものでは役に立たない。そうした「戦争法」制定に関連する議論の全体の概要でも国民に説明する必要があったはずだ。軍事行動には莫大な費用が掛かることだという現実を無視した「カッコ良い国・日本」という夢想に酔っている安倍自公政権とその支持者のネトウヨたちの頭脳から現実が抜け落ちている。

 日本国憲法を蹴散らして「戦争法」を制定した安倍自公政権とその仲間たちは関連法案を次々と国会に提出しなければ「戦争法」の実行は出来ない。今後とも違憲の誹りを浴び続けながら、安倍自公政権とその仲間たちは国会を数の論理だけで乗り切るつもりだろうが、理のない暴論をいつまでも主張することは出来ない。
 日本は防衛予算GDP1%という枠を嵌めてきたが、その箍も外さなければならなくなるのは目に見えている。米国が軍事予算で国家財政が破綻しそうなことから防衛は予算にこそある、と世界戦略を変更している。その撤退する米国の政府「予算」を、日本が穴埋めするとしたら数兆円もの防衛予算が必要となるのは当然の論理だ。それを日本国民は容認するのだろうか。社会保障費を削減するために、既に日本政府は国民皆保険を破壊する「混合診療」を容認しているが、本格的に医療保険制度を破壊しなければ「戦争法」を維持する軍費の調達は困難だ。

 そうした当たり前の検証や議論もなく、憲法を無視してでも自衛隊を世界に展開することが「カッコ良い」と自己陶酔するバカなネトウヨと安倍自公政権とその仲間たちのお粗末な頭脳には呆れ果てるしかない。
 そもそも日本は先の大戦により「軍事大国」を放棄した国家と国民のはずだ。現行憲法で容認される最大限の軍事力が自衛隊であり、その行動範囲は周辺事態だと限定することが憲法遵守の箍だったはずだ。それを外してしまえば日本は軍事帝国主義の「安保理常任理事国」と何ら変わらない。それでは軍事力による支配を否定した未来の世界平和の主導者にはなり得ない。国家予算の面でも、政治理念ても、日本の採るべき道を否定する「戦争法」を次期選挙では否定する国会議員を選出して、「戦争法」廃棄法案を国会で成立させなければならない。


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