日本が侵害されてからでは遅いとは。

<安全保障関連法案の早期成立を求める集会が、9日、国会内で開かれ、与党の国会議員40人以上が参加した。
 ジャーナリストの桜井 よしこさんや、森本 敏元防衛相らが呼びかけたもので、桜井さんは「全ての国会議員にお願いしたい。日本国民の命と日本国を守るために、1日も早く、安保法制を成立させてほしい」と訴えた。
 そして、衛藤首相補佐官や自民党の稲田政調会長らに、法案の早期成立を求める要望書を手渡した。
 稲田氏は、中国や北朝鮮の脅威に触れ、「侵害されてからでは遅い」と述べ、法案の早期成立に向け、力を尽くす考えを示した>(以上「FNSデジタル」なり引用)

 他の参加者の発言内容にも仰天だが、稲田政調会長の発言には驚くしかない。「日本が侵害されてからでは遅い」と「戦争法案」の早期成立を求めるという。一体日本が何処をどの国から侵害されるというのだろうか。
 中国が尖閣諸島を侵害する、というのなら、それは現状ではあり得ない。なぜなら日本は米国と「日米安保条約」を締結し、米国が日本の尖閣諸島における施政権を認めているからだ。中国が日本と米国を相手に回して、東シナ海の小島のいくつかを占領するとは思えない。

 なぜなら、中国の最大の貿易相手国は米国だ。そして米国に輸出する工業製品の主要部品を購入している最大の相手国は日本だ。つまり組立工場に過ぎない中国の部品供給国と製品販売国を同時に失いかねない愚かな行為を仕掛けるとは思えないからだ。
 中国経済は国内投資と貿易が双璧をなして支えている。その国内投資が限界に来て、不動産はバブル崩壊の憂き目にあい、生産過剰の製品は在庫の山になっている。ここで貿易に関して日米を刺激して経済制裁を受ければ忽ち中国経済は立ち行かなくなる。

 そうした現状認識もなく中国脅威論を煽るのはいかがなものだろうか。先の中国の大軍事パレードにしても、欧米諸国では噴飯ものだそうだ。時代遅れの装備と、時代遅れの大陸間弾道弾を曳山のようにパレードさせ、あまつさえ米軍のプレデターをそっくりコピーしたとしか思えない無人偵察機を引き出すに及んでは腹を抱えて笑ったという。
 中国軍が日本を侵略するには海・空軍が主力となるのは自明の理だ。なぜなら中国と日本の間には海があるからだ。しかも日本は「ひまわり」という、いつでも軍事偵察衛星に転用可能な監視衛星を打ち上げている。中国軍がいかなる動きをしているか、米国はもとより日本も適宜承知しているのだ。

 桜井氏は「全ての国会議員にお願いしたい。日本国民の命と日本国を守るために、1日も早く、安保法制を成立させてほしい」と訴えた、というが、「戦争法案」が守るのは日本と日本国民ではなく、米軍と米国兵士ではないだろうか。それも日本の安全とは関わりの薄い、遠い中東の地ではないだろうか。
 日本国憲法を彼らは精読しているのだろうか。そこに何と書かれているのか、それを知れば「戦争法案」成立に躍起となっている国会議員諸氏に対して、憲法を率先して守るべき立場の国会議員が一体何を血迷っているのか、と叱るべきではないだろうか。そしてどうしても地域に関わりなく集団的自衛権の行使が自衛隊に必要だというのなら、然るべき憲法規定を改正してから法律制定に臨むべきが順序というものではないか。立憲主義のイロハから説き起こさなければならないほど、この国に危機が差し迫っているとは思えない。


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