法案成立以前に「審議中の法律を前提とした資料を作成」するのはいかがなものか。

 昨日参議院特別委員会審議が中断したという。
<11日の質疑で共産党の小池晃氏は、防衛省統合幕僚監部が5月末に作成したとみられる内部資料を提示。その中に審議中の安全保障関連法案の8月成立、年明けの施行を前提としたスケジュール表が掲載されていると指摘した。
 7日に期間延長が閣議決定されたばかりの南スーダンの国連平和維持活動(PKO)についても、派遣延長を前提に自衛隊の具体的な部隊編成や、来年3月からの「新法制に基づく運用」が明記されており、小池氏は「軍部の独走だ。絶対に許されない」と追及した。
 これに対し、防衛相は「(資料の)真贋(しんがん)や位置付けを即答するのは困難だ」と答弁を避け、審議が中断。再開後、防衛相は資料の存在を認め、内容についても「法案成立後に検討すべきことだ」と釈明したが、小池氏は納得せず、法案の撤回を要求。「これ以上議論できない」と質問を取りやめた>(以上「時事通信」より引用)

 公務員は法に基づいて公的予算により雇用され、法律遵守の上で職務を遂行している。当然、防衛省統合幕僚監部も公務員として法に基づいて職務を遂行していると思われる。
 それが成立してもいない法律案を基にして、今年8月から来年に及ぶスケジュールと行動指針を策定していたとは由々しき問題だ、と考えるのは小池氏と私だけなのだろうか。そう思ったのは朝のテレビで「公務員が審議中の法律案を前提として行動予定を立てたとしても当たり前でしょう」と御用評論家の宮家某氏が発言したのを聞いて、ふと疑問にとらわれた。

 審議中の法律案を前提とした来年二月の「スーダンへの駆けつけ防護」などを検討したのは正しいことなのだろうか。勿論、自衛隊が駆けつけ防護にスーダンへ派遣されたとして、その活動費用は既に予算化されているわけではないだろう。
 法案が国会を安倍自公政権の目論み通りに通過したとして、その実施法たる施行令が国会で成立するのは来年二月ごろと見られている。その二月に「駆けつけ防護」にスーダンへ自衛隊がゆくのは実際にはできない相談だ。それを可能ならしめるためには事前に予算を獲得しておかなければならない。あるいは「予備費」や「予算流用」で賄うつもりかもしれないが、それなら出動する隊の装備や支援体制はどのように構築するつもりだろうか。

 どうやらこの国の官僚たちには軍部も含めた官僚の暴走が先の大戦を招いたという痛切な反省がないようだ。前出の宮家某も元は外務官僚だ。退任後に御用評論家となり私大の客員教授になっている。どうやら政府を擁護する御用評論家たちは優先的に私大の客員教授の椅子が用意されるようだ。レイの辛坊某氏もどこかの客員教授だったような気がするし、キャスター上がりの御用評論家も私大の客員教授だ。
 この国はどうかしている。御用評論家が優遇されてテレビ出演などで官僚たちや与党政権を擁護してギャラを頂戴し、痛烈に世相を批判する評論家は清貧に甘んじて在野のまま朽ち果てる。それをヨシとするマスメディアはとことん腐り切っているとしか言いようがない。

 ともあれ、官僚たちの暴走を許すのは政治家たちの責任だ。それは与野党を問わない、深刻な問題だ。議会制民主主義の根幹に関わることだが、法律の根幹に関わる憲法を蔑にする安倍自公政権にモノ申しても馬の耳に念仏、ということなのだろうか。

宮家 邦彦(みやけ くにひこ、1953年(昭和28年) - )は、日本の元外交官、評論家、研究 者。キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、立命館大学客員


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