習主席の危険な賭け。

<中国共産党は20日、習近平総書記(国家主席)が主宰する政治局会議を開き、胡錦濤前国家主席の元側近だった令計画氏を巨額収賄などの容疑で党籍剥奪と公職追放の処分とした。国営通信の新華社が伝えた。これを受けて最高人民検察院は令氏を収賄の容疑で逮捕すると発表した。
 新華社電は令氏について、職権を利用して多くの人に便宜を図ったほか、大量の国家機密の不正入手、多数の女性との不適切な関係など複数の容疑を列挙した。それぞれの具体的な内容は明らかにしていない。令氏は胡政権では党総書記を支える要職の党中央弁公庁主任を務めていた。胡氏の出身母体である共産主義青年団(共青団)の中心人物でもあった。
 習近平指導部は腐敗に厳しい姿勢を示して求心力維持を図る一方、立場にかかわらず汚職を厳しく追及することで中国の「法治」を強調する思惑があるようだ。2年後の2017年党大会での人事を見据え、胡氏や共青団をけん制する思惑もうかがえる>(以上「日経新聞」より引用)

 中国の政権争いが激化している。これまでタブーだった政治局員逮捕を行った習近平氏が今度は前主席の側近を逮捕した。職権を利用したとして令氏を逮捕したのだが、贈収賄などで摘発すれば腐敗しきった中国共産党の幹部は誰一人として脛に傷のない者はいないといわれている。
 もちろん習近平氏も無傷ではない。米国政府が亡命中国人の調査に習近平氏の命令で中国から訪れた習近平氏の側近の不正送金を暴露したことは記憶に新しい。習近平氏の子供たちも米国留学中にフェラーリなどの高級車を乗り回していた事実もある。主席の報酬でそうした贅沢を家族にさせられるほどの対価は得ていないのは明らかだ。習近平氏の身に火の粉が降りかかって来るのも敢えて承知の上で、それでも党内で政権基盤を強くするために習近平氏は共産党幹部を粛清せざるを得ないところまで追い込まれている。

 習近平氏を追い込んでいるのはバブル崩壊段階の中国経済だ。暴落過程にある株式市場をなんとかしようと、中共政府は主要銀行に呼び掛けて20兆円以上の資金を出させて、株式市場を安定化させようと躍起になっている。それが功を奏して上海と深セン株式市場は持ちこたえているが、自由市場とは言い難い措置により外国投資家たちは撤退し下落要因は一層強まっている。
 経済成長も年率7%を目指すとしていたものの、党中央が発表するGDPも捏造した数字ではないか、というのは世界の常識となり、英国のシンクタンクなどは6%も割り込んでいるのではないかと指摘している。中国国内生産も過剰在庫に苦しんでいる鉄鋼やセメントなどの在庫調整は一向に進んでいない。

 実体経済の減速はここに来て国民生活に大きく影を落としてきた。それは失業率の急上昇だ。中共政府は一桁の失業率だと発表しているが、国内外の誰もその数字を信用していない。実際には十数パーセントに達し、大学新卒者の失業率は20%近いのではないかと推測されている。
 それらが深刻な社会不安を招いている。これまでは反日政策を強めて国民の不満を日本への敵対心に振り向けようとしてきたが、その反作用で中国の貿易相手国として一位の対日貿易の低下を招き、かえって中国にマイナスが大きくなって路線変更せざるを得なくなった。それが日中首脳会談開催のシグナルとなって表れている。

 習近平氏は経済でも政治でも危機的な状況に追い込まれている。これまで手を付けないと暗黙の了解のあった共産党幹部にも犯罪立件に動いているのは諸刃の刃だ。政府幹部の絶対的権力により13億国民を強権支配してきた政治基盤が権威失墜により揺らぐことになれば、かえって民主化運動が一気に噴出して収拾不能な社会状態に陥らないとも限らない。
 習近平氏は危険な賭けに打って出た。しかし権力闘争に勝利したとして、根本的な社会不安の原因たる減速する経済を改善しない限り何も解決したことにはならない。

 ここに来てジェトロは中国の投機家たちに日本市場に投資するように呼び掛けている。かつては中国へ生産拠点を移転させるように日本企業に働きかけたジェトロだ。それにより国内産業は空洞化して就職氷河期により日本の若者たちを貧困層へと落とし込んだ。今度は中国企業(多くは国営企業だ)に日本への投資を呼びかけている。徹底した日本のモノ造り工業技術を中国に売渡そうとしているかのようだ。
 ジェトロは誰のために働いているのだろうか。今後邦人や日本企業が中国バブル崩壊に巻き込まれ損害を被ったらジェトロは保証するのだろうか。なぜここに到っても日本企業の国内回帰を促進すべく中共政府に日本企業の撤退阻害行為をやめるように働きかけないのだろうか。ジェトロは誰の利益のために存在しているのか、不明な団体だ。
 ともあれ、習近平氏の中国は崩壊の危険水域に達している。この難局を打開する根本的な打開策は残念ながら習氏にはない。本来なら国民に分配すべき国富を共産党幹部と人民解放軍幹部が収奪し食い潰してしまい、労働分配率は低いままで社会主義国家であるにも拘らず社会保障制度は貧弱なまま国民は放置されている。その巨大化したツケが国民の手により中共政府に突き付けられる日は近いと見なければならないだろう。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。