私は左派ではありませんが「戦争法案」という表現を用います。

 言葉は正確に使いたい。自衛隊が海外へノコノコと武器を携行して出掛け、友軍が攻撃されていれば駆けつけて応援する、というのを「戦争法案」といわずして、何と表現すれば良いのだろうか。高村副総裁は「憲法の字面に拘泥してはならない」と詩人か文学者のようなことを仰った。
 確かに俳諧師なら「古池や蛙飛びこむ水の音」を字面通りに解釈しては味気ないことになる。そこに松尾芭蕉のワビサビの世界は存在しなくなる。単に古ぼけて荒れ果てた池に飛び込む蛙しかいない。それでは俳諧の体をなさない。

 しかし高村氏は弁護士資格をお持ちのはずだ。弁護士が紙背や行間を「解釈」しては法廷闘争は成り立たない。あくまでも字面に拘るのが法律家であり、憲法学者の基本姿勢のはずだ。
 朝日新聞は「戦争法案」と「安保法制改革案」を呼称してはならないと論じている。実態を端的に表現する字句で表すのは新聞記者の真骨頂ではないだろうか。「バカ野郎解散」とか歴史に残る呼称を新聞記者は紙面で競った。

 それをどうしたことだろうか。「戦争法案」は左派の戯言だというのだ。私は左派ではないが、当初から「戦争法案」と切って捨てていた。日本が普通に戦争大好き国家・米国と歩調を合わせて世界の何処でも何時でも戦争が出来る国に日本を変えようとする法案を「戦争法案」と呼ばずして何と表現すれば良いだろうか。
 ところで朝日新聞は当初から゛戦争法案」を憲法違反と断じていただろうか。むしろ「戦争法案」を批判しつつも、国会審議が進むようにチマチマとした字句の遣り取りを紙面に掲載するだけではなかっただろうか。それでは目安とする審議時間80時間をこなすだけの出来レースに乗っかっていたことになる。野党のフリをした与党確信犯というところだ。

 朝日新聞だけではない。この国のマスメディアは腐り切っている。憲法は文学作品ではなく、キッチリと字面を読み解く「解釈」の入り込む余地のないのが原則だ。
 しかし防衛に関してだけは自然人の有り様から「認められる」という解釈が成り立つとされていた。しかし、それはあくまでも「拡大解釈」であって、それが基礎となって更に解釈の幅が広がる類のものではない。高村氏が憲法学者が「字面に拘泥する」のは困ったものだ、と発言したのが憲法と文学作品とをごちゃまぜにするような程度の低い弁護士がこの国に存在して自民党の副総裁にまで立身出世するという無茶苦茶な政界の有り様こそが困ったものだ。有権者はもっと候補者を吟味して投票すべきだ。


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