ギリシャ発の国際金融不安が世界に広まるか。

<欧州連合(EU)ユーロ圏19カ国は27日、ギリシャへの金融支援をめぐり緊急の財務相会合を開き、現行支援を延長せず、6月末で終了させることを決めた。支援継続の道を断たれたギリシャはデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が濃厚となった>(以上「時事通信」より引用)

 今月末までにIMFに対してギリシャは15億ユーロの支払期限を控えて、ユーロ各国はギリシャ支援策を協議していたが、ギリシャが緊縮策を履行しないなどから協議会場から退出し、ギリシャは支払い不能に陥る可能性が高くなった。
 ギリシャに関してはユーロ加入当初からユーロが定めた財政基準を満たしていないのを粉飾していたとの疑惑が強く、ユーロ加入以後もギリシャは財政再建の道筋を絶てないまま大量の公務員を雇用し続け、さらに高額年金を支払い続けていたため、デフォルトに陥るのは時間の問題だとされていた。

 ただギリシャ支援の協議を開始する以前から、今回支援したとしてもギリシャが財政基調を改善しない限りデフォルトを先送りしただけに過ぎず、金融支援する効果を疑問視する声はドイツ等から出されていた。しかしそうしたユーロ各国の態度を見透かすかのようにロシアや中国がギリシャに支援の用意があることを表明して近づき、ユーロの足並みを乱そうとしている。
 現在の世界の経済圏は米国とユーロと日本の三大金融圏から成り立っている。そこに中国とロシアが接近して二ヶ国が新経済圏を形成しようとしているかのようだ。ただロシアは原油や天然ガスなどの資源輸出依存経済から脱却できないでいるし、中国はさらに厳しい経済崩壊の危機に直面している。だからユーロ各国はギリシャにちょっかいを出しているロシアと中国の動きは「チョッカイ」を出しているに過ぎず、本気でギリシャを抱え込んで支援する用意はないと判断したようだ。

 ただ、ギリシャ破綻の影響はギリシャ一国にとどまらず、共通通貨を用いているユーロ圏全体の問題となる。ユーロそのものの信用度が低下してユーロ圏内の金利上昇も懸念される事態に陥るのは避けたいというのがユーロ参加国全体の共通した懸念だ。
 しかしギリシャのGDPは約20兆円程度と日本の兵庫県と同程度の規模でしかない。ユーロ圏の対応としてギリシャへの直接支援は避けるものの、IMFへの返済はユーロ参加国で行い、ギリシャに対する債権をユーロ参加国でギリシャに履行を求める構図になるのではないだろうか。

 だからギリシャがデフォルトに陥る事態に変わりはないものの、その負債はユーロ圏で代位弁済を行うことでユーロそのものの信用を失墜させるのを避けようということだ。だがギリシャに対してはデフォルトに陥った国としてユーロ圏各国は厳しく債務履行を求めるものと思われる。
 それに対して「アリとキリギリス」のキリギリス体質のギリシャ国民が耐えられるのか、という問題がある。空になったギリシャ国庫が改善される見通しはないため、野放図な公務員採用や潤沢な年金支給などが許されなくなるのは明らかで、ギリシャ国民がアリへと変貌して勤勉に働き始め、年金支給開始年齢を70才に突如として引き揚げられる事態に耐えられるかという問題がある。

 ユーロ圏はギリシャの他にも放漫財政から危機的状況にあるイタリアやポルトガルやスペインを抱えている。それらを今後どうするのかという前例になり得るため、ユーロ参加国のギリシャに対する対応に関心がもたれている。
 共通通貨から同一経済圏を形成する、という試みはこれで頓挫するのか、それともある程度まで国家の行政権や統帥権に干渉するのを許す体制へ移行するのか。言語や文化の異なる国々が「自由主義」という共通政治形態だけで連携を強めた欧州の実験が大きな局面に差し掛かっている。


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