総額2000億円を超える新国立競技場は誰が使うのか。

 新国立競技場を巡って喧々諤々たる議論が続いている。斬新なデザインを採用した当局側に対して、一対のキールを持つ巨大な新国立競技場はキール構造だけで製作に1600億円を超えるという。しかも時間的に建設が間に合わない可能性が高いという。
 キール構造の新国立競技場を建設するバカバカしさはこのブログで以前書いた。つまり橋を作る構造体を陸上に造って、支柱なしの巨大空間を出現させようというのだから、橋を架けるのと同等の巨額予算がかかるのは当たり前のことだ。その上で、観客席や壁などの構造体を橋の骨格に貼りつけるのだから更に1000億円程度の予算がかかるのだ。

 建設するだけなら国費を投じれば造れるだろう。馬鹿な文科省の役人が無責任にゴーサインを出したようだが、造ってしまえば終わりではない。たとえ期間内に造れたとしても、毎年の維持・管理費がかかるのは当たり前のことだ。概ね建設費の7%前後の維持・管理費が毎年必要となるのは経験から解っている。
 しかし新国立競技場は見積もりで年間維持・管理費が35億円程度かかるという。それも特殊なキール構造に所以するようだ。するとオリンピック以後の使用料金はいかほどになるのだろうか。単純に35億円を350日使用するとして、一日当たり1千万円になる。使用頻度がその半分程度の年間125日と見込むなら一日使用料を2千万円にしなければ維持・管理費が賄えない。しかし巨大施設の新国立競技場を三日に一度も利用されるとは思えない。

 経営者として自分が投資して、自分が運営するのなら文科省官僚たちがキール構造の巨額予算を投じて新国立競技場を建設するとは思えない。税を投じて多くの役人の天下り先が新国立競技場に出来るのなら複雑にして維持・管理費のかかるモノを建設した方が旨味がある。そう考えるなら世界的に高名な老設計士が提案した1600億円程度で建設出来る従来型の競技場に設計変更する必要はないことになる。
 果たして文科省はキール方式の設計案で建設することに決めたという。巨額使用料を支払ってでも借りようとする団体としてプロスポーツや芸能イベント以外で使用料の支払えるイベントとして何があるというのだろうか。官僚たちにとって巨額施設は造って旨味、後々の維持・管理でまたも旨味のある新国立競技場は未曾有の金食い虫として年間一月も利用されないで朽ち果てていくしかないことになるだろう。それでも税から支出される予算だから官僚たちの懐が痛むわけではない。国庫が空になれば税金を上げれば良いだけだ、ということなのだろうか。


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