小泉氏の「劇場型」に騙され、今度は安倍氏の「演目型」に騙されるのか。

<安倍晋三首相が新たな安全保障法制の関連法案について今夏までの成立を米議会で表明したことをめぐり、自民党の高村正彦副総裁は3日のNHK番組で「強い決意を示したもので、何の問題もない」との認識を示した。夏までに成立させるために採決を強行するかどうかを聞かれ「横暴なことをしたら選挙に負ける」と述べた。
 民主党の長妻昭代表代行は「国会審議が形骸化する」と批判。「法案はまだ閣議決定されていない。会期延長も決まっておらず、越権行為だ」と述べ、審議入りする前に首相発言を撤回するよう求めた>(以上「日経新聞」引用)

 小泉氏は「郵政民営化」という国民にとっては便利にも何にもならない組織改編に血道を上げ、郵政に関わる利権集団との劇場型の政治を展開して高支持率を維持した。安倍氏は寄席の演目のように、次々と小見出しを繰り出して国民の目先を変え、高支持率を維持している。
 安倍氏がこの二年半の間にどれほどの小見出しを繰り出したか御存知だろうか。政権発足当時は「税と社会保障の一体改革」を掲げて、そのための財源として消費増税を断行した。それと同時に日銀に盟友・黒田氏を総裁として送り込み「異次元金融緩和」という円の大増刷を行って市中の日本国債を大量に買い取った。それをアベノミクスと名付けたが、安倍自公政権が実施した経済政策は消費増税というマイナスの経済成長策だけだった。ただ、財政支出として「国土強靭化」策として「財源」の裏付けなき公共事業の大盤振る舞いを行ったが、東北復興事業などとバッティングして資材高騰と建設土木関係の人手不足を招いただけだった。

 それ以降も演目を繰り出した。「経済特区」構想を突如として掲げ、日本の各地に経済特区を設けてそこで強力な経済対策を実行する、とアドバルーンを打ち上げたが、その後は何処で何を審議しているのかすら国民には解らない。
 次に打ち出したのは統一地方選挙を意識してか「地方創生」だ。ただ花火は派手だったが、実質的な予算は数千億円と1兆円にも満たない規模で、何がどのようになって地方が創生されるのか国民には何も解らない政策だ。実際の「地方創生」事業のメニュー作りは「地方の自主性に任せる」として、地方自治体に要望を出させて中央官僚が査定する、という官僚の権限拡大策の類に過ぎなかった。それがいかに愚策かは「復興事業」が遅々として進まないことで、政治家たちは懲りたはずではなかっただろうか。

 果たして「地方創生」策の実態が「正体見たり枯れ尾花」であったことが国民にバレだすと、今度は勇ましくも「安保法制改正」を与党協議の場に繰り出して、国民の関心を安倍自公政権に引き付け続けた。そうして演目を出すモノの、その演目に国民が倦み始めたと解ると、次々と目新しい演目を繰り出すことにより国民の関心を引き付け続けている。
 しかし安倍自公政権の実態は「税と社会保障の一体改革」演目すら実態は消費増税しかなかったことがバレたし、アベノミクスは消化不良を起こした公共事業の大盤振る舞いだけの「経済政策」と日銀の金融政策の自律性を放棄したかのような180兆円にも及ぶ大量日本国債購入による金融緩和策だけだったことも国民にバレつつある。

 去年の年末から今年にかけて「農協改革」と称する全農の権限収奪は単に農協への政府関与権限を拡大するものでしかなく、農協の全国的な支配権限の一部が全農から官僚に移るだけで、農民や国民にはほとんど影響のないものだ。ただ、TPP導入時に全国的な反対運動が全農を中心として展開しにくくなっただけだ。
 農業を本気で改革しようとするのなら、農地法を改正しなければ実効性のある農地の流動性は確保できない。農業法人化などを推進するにも、その前提となる農地の流動性が確保されなければ事業として資本を農業に投下するのを投資家たちは躊躇うだろう。そうした実効性のある政策は皆無で、ただただ権限の委譲を全農に求めただけの騒動に過ぎず、それはTPP導入への地均しとしか見えない。

 寄席の演目捲りを国民に見せて、関心を引き付け続けるのが安倍自公政権の実態だ。それは政治を行うというよりも、政権を長々と維持するためだけの装置として「政策」が繰り出されているだけだ。それも芸に長けた名人芸の落語を拝聴するようなものではなく、舌っ足らずの早口の、何処となくオドオドしている政治家の独演会を聴かされている寄席のようだ。
 そして大喜利として「安保法制改正」を持ち出そうとして、その予告編として与党協議という茶番劇を演じてマスメディアに報道させて何となく国民に周知させたと勘違いしたのか、米国議会で「この夏までに仕上げる」と公約してしまった。それを高村氏は「希望を述べただけで問題はない」などと言い繕っているが、国会審議が始まる前から法案の仕上がる時期を海外の国会で約束するなどという政治家として軽率な暴挙を、高村氏が政治家として何年赤絨毯を歩いているか知らないが、問題が大有りなのは陣笠程度の新米政治家でも解るはずだ。彼も日本の政治家の一人なら「オイオイ、まずは日本の国会で改正案を仕上げてから日米ガイドラインに盛り込めよ」と注意くらいしてはどうだろうか。

 日銀の自律性を無視する異次元金融緩和によっても「二年後2%インフレ」の公約は果たせなかった。安倍氏がいかに「賃金は上がった」とブチ上げようが、彼がやっている政策は「派遣業法緩和」や「残業代無料化」などと「賃金引き下げ」策ばかりで、企業の労働分配率を引き下げる方向のものだ。そして賃金の実態は連続して実質減少を続けている。
 アベノミクスは完全に失敗したし、異次元金融緩和の副作用・消費者物価高が国民生活を直撃している。安倍氏がやっている政策はハゲ鷹投機家たちと企業経営者たちのための政策で、国民の生活が第一の政治はすっかり影をひそめている。そして安保法制改正というデッドロックに乗り上げて暴走が止まる、というのでなければ、自衛隊員は世界の何処でノタレ死ぬのかも判らず、国民は何時自爆テロに襲われるかも判らないという国に変貌させられる。演目型の安倍自公政権の政権運営の観客で拍手喝采を浴びせていたら、いつの間にか子供たちが地球の裏側の戦場へ送られている事態になりかねない。


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