日本食の美味さを海外に余り知らせるな。

 ミラノ万博で山口県の知事たちが出掛けて「フグ」の刺身を振舞ったようだ。EUではフグは毒のある魚として輸入禁止にしているという。今回は特別ということで集まったミラノ市民にフグサシを試食させたようだが、飛んでもないことだ。
 なぜ日本人はこうもお人好しなのだろうか。魚を生食する習慣のなかった欧州諸国民に刺身の美味しさを教えたり、マグロのトロの至上の美味さを教えるから刺身が全世界に広まり、とりわけマグロが食されるようになってクロマグロが絶滅危惧種に指定される事態に到っている。

 今回は毒魚のフグだ。本場山口県でも季節に大皿に盛られた刺身を注文すると1万円を超える。なかなか庶民の口に入らないというのに、ミラノへ出掛けて毒魚のフグの輸入を禁じているEUに無理をいってフグサシを振舞うとは何事だろうか。
 試食したミラノ市民は臭みのない美味いフグサシに驚嘆しているではないか。なぜフグの美味しさを日本国民だけがひっそりと独占していよう、という智慧が働かないのだろうか。美味しさを教えればフグは日本の食卓からさらに遠のくというのに。

 そして事もあろうに岩国市周東町三瀬川の「獺祭」を振舞っていた。地元民ですら醸造元の朝日酒造に出向いても長々と小一時間ばかり並んでも窓口で一本しか売ってもらえないほど品薄だというのに。それをミラノで振舞ってどうするというのだろうか。
 美味しい酒は日本国民だけが味わっていれば良い。美味しいフグサシは日本国民だけが知っていれば良い。それを世界に広めて、日本の国益にどれほど資するというのだろうか。

 そもそもフグサシは春帆楼で伊藤博文が食して「美味い」と膝を打ち、日本で最初にフグ調理の官許を与えたという曰く付だ。ちなみに春帆楼は高杉晋作が創設した奇兵隊の屯所のあった阿弥陀寺の跡地に建つ料亭で、伊藤博文の希望で日清戦争の戦後交渉を李鴻章と行った場所でもある。それほど伊藤博文は高杉晋作を尊敬していた。
 獺祭は蔵付の麹を桜井氏が精魂込めて育成させた結晶だ。その獺祭が世界的な評価を得て輸出されるのは喜ばしいことだが、地元でも手に入りにくくなっているのも現実で、長年購入して支援していた者としては忸怩たるものがあるのも事実だ。岩国の酒は清流・錦川の水を使っていて、どれも美味しい。出来れば「五橋」も飲んでみて頂きたい。ちなみに五橋とは五つの反り橋により構成される錦帯橋のことである。

 日本国民は特許というものに疎いきらいがある。誰かが「コシヒカリ」の種モミを海外へ持ち出し、カリフォルニアのコシヒカリなどといったブランドが日本に入ってくるなどといったバカなことが起こっている。日本の酒麹が海外へ持ち出されて、海外産の日本酒が製造されないとも限らない。
 フグサシで一献傾けて、シメにフグ雑炊をサラサラと掻き込む醍醐味は日本国民だけの楽しみにとっておきたい。外国人に日本食の美味しさを教えるのは程々にしておくように。


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