TPPへの参加は米国への属国化だ。

 TPPに反対なのはそれが単に自由貿易の範疇だけにとどまらないからだ。関税を引き下げて「自由貿易」を担保する国際的な協議機関には既にガットがある。それはお互いに相手国の「主権」を尊重した上で、出来る限り関税を引き下げて「自由貿易」を行おうとするものだ。
 しかしTPPは根本的に異なる。関税を撤廃して国家としての産業政策が貿易に入り込む余地をなくすだけでは足らず、「非関税障壁」と認定する日本独自の制度までも「関税」の一種に過ぎないとして、貿易に関わる投機家たちからの提訴で世界銀行の中の一機関で適否を判定するISDI条項があることだ。

 ISDI条項を発動すれば日本が自動車に課している排気量ごとに課税を段階的に課している「自動車税」も大排気量の自動車に不利な制度で米国社製の自動車を狙い撃ちしているとして「非関税障壁だ」と認定されれば、日本政府はその制度の撤廃を求められるだけでなく、米国の自動車産業に対して莫大な損害賠償金を支払わなければならなくなる。そのISDI条項の発動を事前防止するために「軽基準」としてあった、軽自動車に対する格安の自動車税を増税したと思われる。
 当然のことながら、そうした日本特有の制度に対してISDI条項が発動されることから、日本の農業に対する各種補助金や「減反政策」等もその標的にされるだろう。

 元々製造原価の高い国内の酪農製品に対して行われている各所助成や制度も、米国並みに引き下げなければならなくなるだろう。さらに物品交易だけでなく、保険や医療制度といった日本で定着している各種制度にまでISDI条項が発動されることになる。
 米国の貧困層に厳しい、社会保障制度としては日本よりも劣る医療保険制度が日本に適用されることになりかねない。もちろん混合診療は限定的なものから一般的となり、保健医療の方が限定的となりかねないし、そうなると中間層でも家人の医療費負担により破産する事態が日常化しかねない。そうした社会を日本国民は望んでいるのだろうか。

 米国社会は決して天国ではない。端的に言えば1%の人たちに残りの99%の人たちが奉仕する社会だ。日本も「米国命」の官僚独裁により、TPP加入へと傾斜している。それは日本が貿易だけでなく社会制度までも米国に隷属する国になることを意味する。
 防衛では安保法制改革で自衛隊を米軍の補完軍隊として世界で使おうとするものでしかないし、それは明確に日本国憲法に抵触するものだ。安倍自公政権という米国隷属化を推し進める狂気じみた暴走をいつまで国民は許すつもりだろうか。いつまで日本は米国の属国で行くつもりなのだろうか。

 引き返せない「関税撤廃」貿易協定謎に突き進むのは狂気の沙汰だ。同様に周辺事態に対処する「自衛のための軍隊」を世界の何処でも何時でも、国会承認なしで戦争できるようにする安倍自公政権は日本亡国政権だ。けっして許してはならない。「国際平和支援法」などという新安保法制は危険極まりないものだ。それは自衛隊を米国の戦争に組み込むものでしかない。
 米国は既に世界覇権国家の座から滑り落ちようとしている。台頭してきた中国が新たにその座に就こうとし、欧州各国は敏感に新しい世界のリーダーに擦り寄ろうとしている。しかしそれは中国の実態を知らない愚かな選択だ。

 日本は日本が盟主となる「非戦争国連合」を構築すべきだ。まず東南アジア諸国から始めて、アフリカ諸国へと非戦争国連合を広めるべきだ。各地の何処かで資源や宗教や人種をタネとした戦争が絶え間なく続く世界は異常だ。これまではそうした戦争の中核に米国やロシアがいたが、今後は中国が「戦争請負人」の役を担うのだろうか。
 いかなる目的があろうと、覇権を広げようとする企てのすべてに反対して、非戦を掲げる連合の盟主に日本がなるべきだ。決して米国に隷属する道を選択してはならない。それは覇権の鬩ぎ合う世界を是認するものでしかなく、19世紀的な思考でしかない。日本の官僚はまさしく19世紀的な米国に盲従しようとしている。政治家たちはそれに引き摺られているだけだ。GHQショックから立ち直っていない官僚たちによる政治誘導を断ち切らなければならない。


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