「全国総合開発計画」の総括は。

 1962年に「全国総合活溌計画」なるモノが経産省を中心として策定された。それを第一次として以降、第五次まで策定され、今年2015年が第五次全国総合開発計画の最終年とされている。
 しかし既に「五全総」を口にする官僚や政治家は誰もなく、ましてやマスメディアは「五全総」の存在すら忘却したかのように取り上げない。均衡ある国土開発を旗印に、東京一極集中を是正するために策定された五次に亘る計画を国民すべてが忘れ去ったかのようだ。

<太平洋ベルト地帯「以外」への工業分散を目標として、現実に全国において「工場地帯」の進出がいくつかは進んだが、それらはほとんどが当初は重化学産業であり、その後の石油危機、経済の安定成長、国際競争を経験し、規模・雇用者は当時からは大きく減らしている。40年後の今日、ふりかえって現実をみると、太平洋ベルト地帯の中でも関西圏や北九州の地盤沈下が目立ち、ベルト地帯のその一部に過ぎない首都圏への一極集中(東京一極集中)が進んでいる。
「均衡ある発展」はこの計画の策定当時からの課題であったが、以後、5次にわたる計画においても克服されていない。むしろ、近年では一律に「均衡ある発展」を目指すのは無理があるとの理解のもと、「特色ある発展」と言い換えられるようになっている。なお、地方開発拠点は、工業開発拠点と並んで強調されたものの、その後具体的な施策の進展はみなかった>(<>内は「ウィキペディア」より引用)

 忘れた歌を思い出すかのように「均衡ある国土の発展」を掲げて、安倍自公政権は再び「地方創生」を掲げて荒廃した地方へばら撒きを始めようとしている。しかし「全総」がどうなったかを検証することなく、官僚や政治家たちが何を指針として「ばら撒き」を実施して、いかなる「地方創生」を目指しているというのだろうか。
 全国の均衡ある発展を最も阻害したのはバブル崩壊直後に、中国などへの生産拠点を「海外移転」させるべきとの熱病に多くの経営者が憑りつかれたことだ。それにより全国総合開発計画により進出し、地方経済を支えていた軽工業や部品製造業などの多くの企業が撤退して海外へ移転した。その総数たるや中国へ進出した企業だけで六万社を超えたといわれる。

 一極集中が効率的なのは論を俟たないが、同時に脆弱性を伴うことも忘れてはならない。ことにITが高度に発達した今日、クラウド・データセンターや銀行などの金融会社本社のサーバーなどが災害により破壊したなら、たちまち社会全体が麻痺し混乱に陥るのは火を見るよりも明らかだ。
 災害に強靭な社会を目指すならデータ・センターの分散化と全国の連携が何よりも必要とされるだろう。幸いにして日本はスーパーハイウェイの光回線全国ネットは既に完成の段階に達し、通信速度では世界で一、二を誇る国になっている。高度情報社会は既に日本は手にしている。後はいかにして国民生活に生かすかが課題だ。

 そうした段階に達しているにも拘らず、太陽光発電が過度に普及すると最大発電時に他の発電装置が対処できないなどと荒唐無稽な発言により太陽光発電の普及拡大を阻止しようとする勢力と、無批判にそれを垂れ流すマスメディアに国民は騙されている。火力発電を調整発電装置として利用するなら、太陽光発電の発電量を情報として集約して火力発電を調整すれば良いし、日本より情報ネットの遅れているドイツですら発電量の20%を占める太陽光発電と火力発電とは30分のタイムラグで対応しているという。日本でそうした発電装置のネットワーク化が出来ないはずがない。なぜマスメディアからそうした批判眼が喪失したのか不思議でならない。

 均衡ある国土開発をもう一度、官僚や政治家は掲げるべきだ。「恒産なくして恒心なし」を政治家は肝に銘じて、国民の生活が第一の政治を実現させるべきだ。何も鉄砲を担いで世界各地へ米軍の弾除けに出かけることが国際貢献ではない。
 まずは日本が経済的に力強く立ち直り、国際的な経済貢献を果たす方がいかに世界から歓迎されるかを考えるべきだ。悪夢に憑りつかれたかのように安保法制を拡大させようとする戦争マニアの安倍自公政権に対して、国民はそろそろ本気で「ノー」を突き付けなければ、安倍自公政権は国民生活を破壊して日本を1%の餌食に捧げた上に、自衛隊を世界各地へ派遣して日本の青年を死の淵においやろうと突き進むだけだ。そうした日本を日本国民の大半が望んでいるのだろうか。決してそうは思えないが、安倍自公政権の支持率が過半数を超えているという。私にはマスメディアが報道する数字が現実から遊離しているとしか思えないのだが。


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