子供は親を選べない。

 小学六年の夏まで過ごした島根県隠岐諸島西ノ島の同級生たちが遼太君の報に悲しんでいるという。彼はその一年余り後に移住した川崎市で殺害された。まだ中一の少年だった。
 子供は親を選べない。ましてや住環境を選ぶことは到底かなわない。もしも彼が未だに西ノ島で暮らしていたとしたら、殺害されるようなことはなかったかも知れない。少なくとも川崎市のような大人の目が少年少女の一人一人に注がれていないということはなかっただろう。

 もちろん殺害した少年たちが犯罪者であるし、最も非難されるべきだ。しかし、それでも周囲の大人たちは一体何をしていたのかと思わざるを得ないし残念だ。遼太君は今年の一月から中学校へは殆ど登校していなかったという。担任は33回も母親に接触を試みたという。しかし話が出来たのはたった三回だけで、遼太君の不登校の原因は定かには解らなかったようだという。
 だが、同級生たちや近所の人たちから話を聞けば遼太君の過酷な状況は分かったはずだ。また、顔に痣を作ったような危機的な状況が理解できれば教育委員会や児童相談所などに相談して、行政から警察にまで保護の網を広げることが出来たかもしれない。

 写真を見る限り、遼太君は何処にでもいる快活そうな中学一年生だ。おそらく彼の未来には様々な出会いや感動に満ちた人生があったに違いない。それらのすべてを彼の死が奪い去った。
 少年法という法を犯した未成熟な少年たちを更生させる法律があるが、こと殺人に関しては一人前の人間として裁くべきではないだろうか。それ以外の犯罪は「未成熟な人格が仕出かした犯罪」で大目に見ても良いが、殺人だけは如何に更生が見込まれるとしても許容できない。殺された者の無念さと、他者の人格をいささかも顧みることのない呵責なまでの残忍性は到底、世間を共有できるものではない。

 そして親は子供を全力で守るべきではなかったか。親が守らないで、一体誰が子供を守るというのだろうか。離婚した父親は養育費を一銭も仕送りしていなかったという。五人も子どもいるというのにだ。
 そして行政は母親一人で五人も子育てをしている家庭に対して無関心だったのだろうか。そして警察は地域の悪ガキたちが何処に屯して何をしているかを把握していなかったのだろうか。大人たちの無関心が遼太君の命を奪ったともいえる。それぞれの職務に就いて国民の税で生活しているのなら、国民の命を守るのが最優先のはずだ。ことに子供の命を親や大人たちが守らなくて誰が守るというのだろうか。

 子供は国の宝だ。子供が殺されてもならないし、子供を殺人犯にしてもならない。彼らの未来を奪う愚挙の芽を摘むのは大人の責任だ。


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