報復の連鎖を絶ち、報復を政治利用してはならない。

��ヨルダン軍は5日、過激派「イスラム国」の支配地域で空爆を実施した。ヨルダン軍パイロットのモアズ・カサスベ氏殺害を受けた報復措置とみられ、戦闘機は空爆後、カサスベ氏の出身地上空を飛行した。
 アブドラ国王はこの日、カサスベ氏の遺族を弔問。ロイターが取材した人物によると、国王は戦闘機がイスラム国が支配するラッカから引き返してくる旨をカサスベ氏の父親に伝えた。
 米当局者は匿名を条件に、ヨルダン軍はカサスベ氏が殺害された現場であるラッカ近辺を空爆したと語った。
 国営テレビは、攻撃の詳細は今後明らかになると伝えている。事実なら、米国主導の「有志連合」の枠組み以外でヨルダンがイスラム国への空爆を明らかにする初のケースとなる>(以上『ロイター』引用)

 報復攻撃に国の指導者が立ち上がると、残念ながら国内世論は統一される。それを最も効果的に利用したのが「リメンバー・パールハーバー」の米国だ。
 ヨルダンでも中尉が殺害される以前は「同じイスラムの人たちを攻撃するのはいかがなものか」という有志連合参加に否定的な国民世論もあったという。しかし今では「イスラム国」へ報復攻撃を実行したアブドラ国王への支持が高まっているという。

 日本でもマスメディアの論調を見れば明らかだ。二人の邦人殺害を「テロ行為」と断定して、危険地域へ足を踏み込んだ二人の軽率さを批判する声は掻き消されている。
 それのみならず、千載一遇の好機とばかりに安倍氏は「集団的自衛権」の法制化を一気に実施しようとしている。それも国連決議に基づくモノとした以前の基準を外して、実施に関して日本政府のフリーハンドを確保しておこうとする極めて危険な行動基準になりそうだという。

 報復攻撃を実施したアブドラ国王へ支持が集まっているように、日本でもイスラム国に対して「テロへを許さない」と勇ましく喚く安倍氏に国内世論は賛成一色のようだ。しかし、それはそれで危険な一面を持っていることを国民は理解しなければならない。
 イスラム教信徒で過激な攻撃を実行しているのは「イスラム国」兵士たちだけではない。世界にはアルカイダやタリバンなどイスラム原理主義と呼ばれる過激武装集団が点在する。それらが「イスラム国」に同調して世界各地でテロを仕掛けている。安倍首相が「テロへの報復」を叫ぶことは、日本もそうした予期せぬテロの標的になることを覚悟することだ。

 殺し合いは次の殺し合いを招くだけだ。日本は米国の理不尽な市民虐殺攻撃を「自らの責任」だと受け止めたため、戦後進駐軍に対するテロ事件は皆無だった。それは日本だけが異質なことで、世界では報復攻撃や報復テロが普通に行われている。
 しかし報復の連鎖を誰かが絶たなければ世界は虐殺の19世紀に逆戻りしかねない。人類は充分すぎるぐらい愚かな戦争の歴史を重ねて来たではないか。それでもまだ飽き足らず、戦争史の新たなページを現代史に追加するつもりなのだろうか。国連は一体何をしているのだろうか。

 戦争抑止に役立たない国連は不要だ。一部少数国家による独善的な条項を残したままの国連の運用法が改革されないのなら、日本は新たな世界平和を至上命題とする国際機関の創設を世界各国に呼びかけるべきだ。
 常任理事国だ他の一般多数国だ、という非民主的な運営は平和を希求する国際機関にそぐわない。そして理由や大義の有無に関わらず、「有志連合」なる少数の意思による軍事行動を容認する国際機関も、既に存在意義を失っているといわざるを得ない。ボスと三下たちが圧倒的な軍事力で他者を制圧するのは新たな「報復のテロ」を増長するだけだ。人類は悲惨な歴史から教訓を得て、愚かな歴史を繰り返さないために、知恵を出し合ってきたのではないだろうか。その努力を忘れてはならない。

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