「残業代ゼロ法」案はいかに繕っても残業代を支払わないことに変わりない。

 飛んでもない法律が来年四月から施行されそうだ。いわゆる「残業ゼロ」法案が成立しそうだ。
<働く時間ではなく「成果」で評価する「残業代ゼロ」制度を検討していた厚生労働省の審議会分科会は十三日、年収千七十五万円以上の高度専門職を対象とする新制度の骨格を盛り込んだ報告書をとりまとめた。一定要件の労働者を時間規制から外す初の制度が導入される。管理職を含む働く全員を対象に企業に年五日の有給休暇取得を義務付けることや裁量労働制、フレックスタイム制の見直しも行う。厚労省は関連法改正案を今国会に提出、新制度などは二〇一六年度から実施したい考えだ>(以上『中日新聞』引用)

 労働対価を労働時間ではなく成果により支払う、というのが「残業代を支払わない」政府の説明だが、それは労働者の権利侵害につながらないだろうか。現在の労働法では一日8時間、週で40時間を超えた場合は残業代を支払うように決めている。
 それは労働者の過度な労働や長時間勤務による健康被害を防ぐための労働者の権利だが、政府は労働者に対して「成果」で労働を示せと迫っている。もちろんしごとといっても千差万別で明確な個々人の労働の成果を示せる労働ばかりではない。特に製造業の生産ラインなどでは個々人の「成果」を測定しようがない。

 だから<「残業代ゼロ」制度は、「高度プロフェッショナル制度」と命名。年収要件を満たす高度な職業能力を持つ人を対象とする。年収要件が省令改正で引き下げられて安易に対象者が広がるのを防ぐため、パートも含め全産業の「平均給与額の三倍超」と法律に明記する。労働基準法は残業代の支払いを義務付けているが、新制度は適用除外になる。そのため本人同意が要る
  制度を導入した企業には働き過ぎ防止策として、終業から始業まで一定の休憩を設けることや年百四日の休日取得などのいずれかを義務付ける>(<>内「中日新聞」引用)としている。

 しかし法案を子細に見てみると特定する「業種」や「年俸」は施行令で定めるとしている。法案そのものは国会審議対象だが、施行令は法案審議を必要としない。
 つまり一度決められてしまえばハードルを下げるのは簡単だ。政府はいつまでも「残業ゼロ」法を特定の業種や高い年俸に限定しておくつもりはないようだ。この法律が成立すると派遣業法の規制が順次外され、派遣対象労働が拡大されたように、「残業ゼロ」法の対象業種や「年俸」が短期間に拡大され、引き下げられることを覚悟しなければならないだろう。

 安倍自公政権は個人への過重な消費増税を実施した反面、法人減税を実施して利益を上げている企業にやさしくし、労働者の賃金を上げてくれとお願いしているが、実際に強制力のある「法律」で政府がやっていることは派遣業法の規制撤廃といい「残業ゼロ法」の創設といい、労働者が手にする賃金をカットする方向でしかない。
 それでは個人消費が上向くわけがない。結婚をして子育てをしようと思う若者が増えるわけがない。「恒産なくして恒心なし」というではないか。子育てのような二十年前後も負担を強いられる人生の一大事業を国民に求めるのなら、労働対価の安定した雇用の場を若者に提供する企業環境を作る政策を政府が断行すべきだ。

 安倍自公政権は景気回復とは真反対の政策に邁進しているとしか思えない。安倍自公政権はこの国の未来を潰すつもりなのだろうか。
 表明する必要のない「有志連合」支援を勇ましく宣言して、世界の各地で活躍している法人の生命を危険にさらすのが、そんなに日本政府に差し迫った課題だろうか。米国の始めた中東の騒乱に、日本まで加担する必要はない。あくまでも「日米安保条約」は日本の防衛に関する地域限定的な同盟関係だ。そろそろ国民はマスメディアによる「安倍自公政権万歳」の集団催眠術から目覚めて、本気で怒りを安倍自公政権に向けなければ、1%のために99%の国民が命まで削る社会に改編されようとしていることに気付くべきだ。


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