戦場ジャーナリストだけがジャーナリストか。

 テレビの報道番組を視聴しているとフォトジャーナリストと称する若い女性が出ていた。彼女は「後藤某のような分そぁちに行くジャーナリストがいるから悲惨な現状が日本国民にも解る」と戦場ジャーナリストの役割を高く評価していた。
 彼女もシリア難民の支援を行っているらしく、近くシリアへ行くそうだ。それはそれで自由意思に基づく活動だと思うが、ジャーナリストとして取り立てて崇高な活動とは思えない。

 殺人や略奪により支配地域を広げるテロ集団は許し難いが、それを許しているのは日本国民ではない。イスラム教圏内のイスラム教徒たちではないだろうか。スンニ派とシーア派との争いともいえるが、彼らも武器を持って殺害をしろと宗教指導者に教えられたわけではないだろう。
 「イスラム国」が勢力圏に抑えている地域はシリアの一部でありイラクの一部である。つまり主権を持った国家に対して「イスラム国」という軍事主体のテロ集団が「主権」を主張し領土として支配している。日本国民が考える国家と、世界史に存亡した国家とはまるで異なることを忘れてはならない。

 たとえば中共政府の支配する「中国」は共産党という一軍閥が国民党という軍閥支配国家を簒奪したものだ。「イスラム国」は軍事主体のテロ集団だが、共産党軍が国民党政府に内戦を仕掛けた当時とどれほど異なるというのだろうか。
 現在の中東の幾何学的な国境線は欧米が当時の国際関係の力学から人為的に引いたものだ。それを国境線として戦後国家として存在してきたが、人為的な国境線が部族間戦争の火種であり続けたことはイラク内戦でご承知の通りだ。

 テロは許し難いが「イスラム国」がマトモな国家でないにしろ、欧米が引いた国境線の変更を自分たちの手で書き換えようとしているのかも知れない。イラクのサダムフセインがクウェートに侵攻したのも、我々の常識からいえばクウェートという主権国家をイラクが侵略したとみなしているが、サダムフセインにしてみればイラクとクウェートとの国境線は欧米が勝手に引いたものに過ぎず、クウェートは古来よりイラクの一部だったという主張があったのかも知れない。
 我々の常識は欧米の常識により形作られている。「イララム国」は2004年当時から欧米人や近隣諸国民を誘拐して殺害するという残忍なビデオを投稿することによりシンパを勧誘して来た。その活動が十年以上も続き拡大してきたことは、取りも直さず「イスラム国」を支援する人たちが大勢いるということだ。

 殺害や残虐な映像を配信することは多くのシンパシーを喚起する。戦場ジャーナリストが大きな顔をして国内で講演して『商売』出来るのも、悲惨さに怯えるシンパシーがあるからだ。だが繰り返すようだが、「イスラム国」の問題はイスラム教徒が解決すべきだし、隣接諸国の主権が脅かされているのなら彼らこそ国連に提訴して国連により「多国籍軍」を形成すべきだ。
 悲惨な子供たちはシリアの非難民収容所だけにいるのではない。日本国内にも貧困状態に陥っている子供たちが160万人もいると報道されている。虐待により殺害される子供たちも日本に多数存在する。
 後藤某の殺害により日本の世論が「イスラム国」怪しからん、と沸騰する危険性を指摘しておかなければならない。もちろんテロは容認できないが、中東の問題は基本的に中東が解決すべきだ。それが困難なら国連に提訴すべきだ。「有志連合」が対処するのはイラク進攻の「多国籍軍」の愚を繰り返しかねない。日本はイスラム教とキリスト教の争いに加わるべきではない。


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