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＜熊本県立高校３年の女子生徒（当時１７歳）が２０１３年４月、自宅で首をつって自殺した問題で、学校の調査結果を検証していた第三者機関「県いじめ調査委員会」は１５日、他の生徒の言葉など９件のいじめを認定し、自殺の要因の一つになったとする調査結果を蒲島郁夫知事に答申した。
　いじめの存在を認めながら自殺の要因とは確定できなかった学校の調査報告書を「調査が不足していた」と批判。県教委や学校は記者会見して対応の不十分さを認めた。
　自殺した女子生徒の父親は、いじめが自殺の一因とした調査結果について「全文を見ていないが、それは当初から分かっていたことだ。これを受けて学校や県教委がどう考えるか、今後の対応を見ていきたい」と話した。
　学校の調査委は１３年９月、体育大会のダンスの練習でうまく踊れない女子生徒への言葉をいじめと認めながら「（自殺は）複合的要因が考えられ、ダンスの練習だけが要因であると確定できない」とする調査報告書をまとめた。遺族が納得せず、県教委が蒲島知事に検証を要請した。
　県いじめ調査委の調査報告書（Ａ４判、１００ページ）によると▽ダンスの練習中に他の生徒から「なんで踊れんと」などと強い口調で言われた▽数十回繰り返し練習させられた▽「顔がキモイ、動きがキモイ」などと言われた－－など計９件をいじめと認定した。調査報告書は「いじめによる自尊感情の低下、絶望的な気持ちが積み重なり、死の選択につながったものと思われる」としている＞（以上「毎日新聞」引用）

　ダンスが必修とされているようだが、必修にする理由がなぜなのか判然としない。ダンスといっても日舞やお神楽のようなものではなく、関節技とでもいうべきブレークダンスやピップ・ホップなどといったどこを鑑賞すべきかわけの解らない類のものだ。
　なんでも男性ボーカルグループが盛んに取り入れてパフォーマンスをやっているのが若者に「受け」ているようだが、その流行の源は米国の亡くなった白人化を望んだ黒人歌手のようだ。しかし健全な心身を養う時期の若者にそうした関節や筋肉に奇妙な動きを強いるダンスが必要なのか疑わしい。

　かつてグループサウンズやエレキギターが流行り出した頃、各地の高校などの学園祭で「エレキ禁止令」が出されたものだ。それに反発する生徒たちが教師たちに反抗するという学園ドラマも数多く作られた。
　しかしエレキ禁止令はあったものの、エレキを教育機関が「必修」としたことはない。あくまでもグループサウンズやエレキギターは各自の自由意思で行う「学校外同好会」として広まった。だが器械体操でもなく新体操でもなく、見るからに筋肉や関節を痛めそうな動作を高速で繰り返す「ダンス」を教育機関が生徒に履修させるという必然性が理解できない。

　多様な生徒たちの生き方を不必要に認める「ゆとり教育」が終焉したと思ったら、今度はリズム感があろうが肉体表現が苦手であろうが、すべての生徒にダンスを強要するというのは余りに極端に過ぎはしないだろうか。
　せめては「同好会」として学内活動を認める、程度のモノで良いのではないだろうか。参加するも参加しないも生徒の自由意思であって強要されるものではない、としておけば女子高生は自殺しないで済んだはずだ。「熱さに懲りて膾を吹く」という言葉がある。「ゆとり教育」への反発として「全体教育」だという発想なら、それも行き過ぎで改められるべきものだ。

　私は風俗としてズボンを尻が見えるほど下げたり、汚らしい髭を生やしたり眉を剃って細くしたりする若者が好きではない。そうしたクジャクの雄が雌を引き付けるために飾り立てるような心根が好きになれないのだ。なぜ生き方そのもので人を魅了しようとしないのだろうか。
　人を魅了する生き方のヒントを与えるのが「学校教育」であるはずだ。さまざまな学問にはその学問の先人となった星の数ほどの人たちが存在する。そうした学問の故事来歴でも紐解いた方が、学校教育としてはダンスよりも必要なはずだ。

　風俗は陽炎のように移り変わるものだ。かつては太陽族が狂ったようにモンキーダンスを踊っていたものだ。次には竹下通りで竹の子族が妙な振り付けでラジカセの音楽に合わせて踊っていた。それぞれの時代でそれぞれの「目立つパフォーマンス」が存在した。しかし当然のようにそれらは消え去るものでしかない。
　名取制度や家元制度となって末代まで受け継がれる類のモノでないパフォーマンスを学校教育で必修とするのは間違っていると思うし、それが原因でイジメがあって女子生徒が自殺へ追い込まれたとあっては、教育機関で珍妙なダンスを必修化させたバカな委員の責任を問うべきだろう。