あらゆる批判に耐えられない指導者は虚像に過ぎない。

 フランスの新聞社が軽機関銃で武装したイスラム過激派とみられる三人によって襲撃された。12人が死亡し8人が負傷したという。オルランド首相はテロと断定して、全閣僚を招集し「今こそ国は一体となってテロに警戒すべきだ」との声明を発表した。
 襲撃された新聞社は従来よりイスラム指導者ムハンマド氏を揶揄する風刺画を週刊誌に載せるなどしていたようだ。
��<仏週刊紙シャルリエブド> パリに本社がある風刺専門のフランス週刊紙。イラストが多く、政治や宗教などに関する風刺画を多く載せる。2011年11月2日、イスラム教の預言者ムハンマドに関する記事を風刺画と共に掲載。同日、パリの編集部事務所に火炎瓶が投げ込まれ、全焼する事件が発生。ウェブサイトも海外からサイバー攻撃を受けた。12年9月19日付の紙面でもムハンマドの風刺画を掲載、ウェブサイトが閲覧できなくなった。13年1月にもムハンマドを漫画で描いた特別号「ムハンマドの生涯」を発売した>(<>内「共同通信」引用)

 自分たちが崇める指導者を揶揄されて心地良いはずはない。しかし揶揄された事実を客観的に検証しようとしない崇拝者は「思考停止」状態の「狂信者」だと批判されても仕方ない。
「狂信」は「尊敬」と異なる。信じることに狂っているのであって、言い換えれば狂っているから信じられるともいえる。つまり信じることに狂乱状態にある、ということだ。それは進行とははるかに遠い、一種の錯乱状態にあることを意味する。だから命を賭したテロ行為にも走れるし、殺害する相手の人格や人権を徹底して無視できるのだ。

 一種の集団催眠ともいえなくはない。かつてヒトラーはドイツ国民を言葉巧みに集団催眠に陥れた。そして集団催眠から覚醒させないように殺戮の恐怖とドイツ国民至上主義の恍惚状態を維持した。
 イスラム教の指導者が敵対する国やその国民を殺害するように指導しているとしたら、それは宗教でもなんでもないマキャベリズムに憑りつかれた全体主義者だ。全ての支配する人たちが自分の意思に服従することを強いる。服従しない人は殺害して服従している人たちの忠誠心の滋養にするのだ。

 あらゆる宗教の根本原理は「博愛」と「平和」のはずだ。その宗教の名を騙って戦争が絶えないのは宗教指導者が宗教の根本原理を実践していないからだ。彼らは宗教を自分の飯のタネにしているに過ぎない。
 それは宗教に対するこの上ない冒涜だ。しかし、そのことを指摘する批判者を「狂信者」たちは受け容れることが出来ない。「忠誠ごっこ」を演じなければその集団の仲間に殺害されかねないのだ。その恐怖心が愚かなテロとなって発露されることになる。

 そろそろ世界中の宗教指導者たちは宗教を自分の名誉と飯のタネにすることをやめようではないか。宗教行為だけにうつつを抜かして人々から崇められるというのは不自然だと、宗教指導者たちは自問自答すべきだ。なぜ信仰者と共に汗を流して働き、労働の後に静謐な祈りの時間を信者たちと共に持つようにしないのだろうか。
 宗教指導者は開祖と異なり、信仰を指導し伝える者でしかない。その者が信仰者の上に君臨して支配するとは何事だろうか。いかなる宗教も「神(佛陀)」は全ての人にあまねく平等に恩恵が及ぶと諭した。宗教指導者がノホホンと宗教行為にかまけて宗教儀礼のみに日常の時を過ごすことは宗教の根源的な教えに背くことになる。共に働き共に信仰するのが宗教の本来のあり方のはずだ。

 あらゆる宗教は本来のあり方に回帰すべきだ。宗教指導者が信者の上に君臨して現実生活にかかわりを持たない、信者とともに労働をしないのは偽物の宗教者だ。それは恰も茶道や華道の「家元制度」の家元と何ら変わらない。家元制度とは「文化」に名を借りた「集金組織」に他ならない。
 大工や錺師などが「家元」を名乗って会員から会費を徴収して技術を教えているだろうか。共に働き共に技術を使うことによって「技術」という文化を伝承している。宗教も同じことだ。宗教こそ日常生活の中にあるべきだ。特定の場所や特定の戒律に縛るのは、その宗教を特定のモノとして「差別化」する手法に過ぎない。それはまさしく販売宣伝戦略の世界の話だ。

 宗教の名を騙るテロ行為は開祖を貶めるものでしかない。現在の指導者を週刊誌で揶揄されたからといって軽機関銃で武装して襲撃するとは、いかなる宗教は勧めてはいないはずだ。むしろ宗教の戒律に反する背信行為だ。
 宗教指導者は開祖の教えを現代に伝える「中継局」に過ぎない。その「中継局」が政治的、軍事的執行権を持つとは宗教とは程遠い存在でしかない。日本にもそれに近いまやかしの新興宗教が存在するが、被との殺害までは指示しないはずだ。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。