政府は介護を蔑にしてはいないか。

 政府は介護職の外国人を大増員するという。そのための外国人技能実習制度という制度事業を拡充するというのだ、つまるところ補助予算を増額して、官僚権限を強めようというのだ。
 そうした補助金を出すくらいなら、なぜ日本人の若者が就労している介護職報酬を引き上げないのだろうか。介護事業者が安価な労働力を手に入れて数年で使い捨てられる、という制度は果たして東南アジア諸国と友好関係の礎となるのだろうか。

 介護される老人にしても外国人と意思の疎通が図れるのか、問題ではないだろうか。今後100万人程度の介護職が不足すると試算しているようだが、その試算の前提条件が詳らかにされていない。
 現在の介護職員不足を根拠としているのなら、介護職の資格を持った若者たちが一旦は就労しても報酬額の低さに絶望して離職している現実に、政府はどのように応えるつもりだろうか。このブログで何度も指摘しているが、介護職や保育士に対する報酬を定めた制度事業制度の中の別表たる「報酬表」を廃して「公務員給与に準ずる」とすれば済む話だ。

 それでは報酬として適切ではない、高すぎるとでも思っているのだろうか。政府が国会などで答弁する際には「福祉関係ではコレコレの予算を投じて頑張っているし、保育事業に対しても待機児童解消にコレコレの予算をつけてやっている」などと御託を並べているが、実際に現場で働いて介護や保育を支えているのは介護士や保育士たちだ。
 官僚や公務員は予算付けしてあとは委託事業に丸投げしてノホホンと暮らしているだけだ。そのノホホンとしている連中の方が高額報酬を手にして、現場で人の命を預かり重労働に汗を流している人たちの方が低い報酬に甘んじているというのは納得できない。

 ましてや国民生活を政治に反映させるべき政治家たちが世界比較でも異常なほどの高額報酬を手にしているのには愕然とする。その異常な高額報酬の国会議員に右倣えで、地方議員たちも高額報酬を手にして恥じない。
 欧米では議員たちは「奉仕」だというのが一般的な通念であり常識だ。市町村議員では日当制が当たり前で、専業として「議員職」などという職業は地方に存在しない。働く傍らボランティアとして議員をやっているのが欧米諸国の地方では常識だ。

 それほど清廉なら公務員報酬に対して厳しくなれる。しかし自分たちも「お手盛り」で国民の勤労者平均年収よりも多く頂戴していては、公務員の各種手当どころか本俸の高額な常識外れに対しても切り込むことは出来ない。
 しかし介護士や保育士などに対しては平気で安価な報酬で酷使している。そして日本の若者が就労の場から去らざるを得なくなると「今後介護士が100万人も不足するからサア大変だ。急いで外国人労働者を入れよう」というマヤカシの議論がマスメディアの紙面を賑わすことになる。そうすると国民もナントナク「そうなんだ」と世論操作されてしまうのだ。

 いかなる若者も必ず年老いて介護職員のお世話になる。それは年金制度と同じだ。若者対年寄りの対立に持って行けば批判は官僚や政治家へ向かわない。そうしたロジックに国民は政府広報機関紙のマスメディアによって誘導されている。
 年金問題とは勤労者でも恵まれた正規社員の平均年収409万円よりも多く年金を頂戴している高額年金と、生活保護費以下の年金しか支給していない年金が存在することだ。それを一律に削減することが平等といえるのだろうか。
 この国の社会保障制度や社会福祉はネジレにネジレている。その元凶は既得権益擁護に汲々とする官僚・公務員とお手盛り報酬を恥じない政治家家業の連中だ。彼らタックスイーターたちこそがこの国を誤らせ、それを一切批判しないマスメディアが拍車をかけている。


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