権威・権力とは何だろうか。

 現在の世界経済を我がもの顔に再構築している「投機家」集団の経済原理を批判した著書「21世紀の資本論」の著者がフランス国家の勲章授与を拒否したという。
��格差の構造を分析した「21世紀の資本」が世界的ベストセラーとなったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏(43)が1日、フランス最高勲章レジオン・ドヌールの受章を辞退する意向を示した。
 AFP通信の取材に答えたもので、ピケティ氏は「だれが立派かを決めるのは政府の仕事ではない。政府は経済成長の回復に専念すべきだ」と述べた。同氏に対しては、同勲章5等シュバリエの授与が1日付官報で発表されていた。
 レジオン・ドヌールは1802年にナポレオンが創設した。これまでにも物理学者のキュリー夫妻、作家のジャンポール・サルトル、アルベール・カミュらが受章を辞退した>(以上<>内「読売新聞」引用)

 碌でもないとはいわないが、流行歌の作詞作曲・歌唱者に過ぎない芸能人に勲章を与えて、その芸能人が勲章を「単なるブリキだ」と観衆の前で話のタネにするなどといったオチャラケた行動があったりしたようだ。日本の勲章もその程度の大衆に迎合した治政者の人気取り政策の道具の一つとされているようでは殆ど価値がないといわざるを得ない。
 権威づけ、とは一体なんだろうか。国際会議で名だたる科学者が認知したから「CO2温暖化説」が真実になるのではない。しかしマスメディアは無批判に「地球温暖化」のせいで気候の振れ幅が大きくなっている、などと解説した「珍説」を掲載している。それに乗ってテレビのコメンテータたちも「地球温暖化は、」などと既成事実のように語っている。しかし学会には地球は小氷河期へ突入している、という説を唱える学者もいる。実際に現代は氷河が地球上に存在する「氷河期」にあると知っている人が少数派だったりして驚く。

 歴史も然りだ。権威・権力が認めた歴史が「正史」であって、それがいかに事実であろうと「正史」に反する史実は無視されて闇に葬り去られている。一人前の大人と話をしていた「歴史認識」に及んだ際に、相手が平然と「日本は中国を侵略したのは事実ですよね」と発言して恥じないのには驚愕する。
 それは事実だが、しかし同時にそれは当時の世界列強の常識だった。1930年代の中国に軍隊を派遣していたのは日本だけではない。欧米列強もまた租借地という侵略地の警護のためと称して軍隊を置いて権益拡大に狂奔していた。日清・日露戦争も清国やロシアなどが朝鮮半島を侵略して支配下に置き、日本攻略の足掛かりにしようとしたので、日本は防衛のために朝鮮半島の付け根付近で清国やロシアと国運を賭けて戦ったのだ。当時の朝鮮半島の国家がマトモな独立国家なら、日本はわざわざ日本の戦費と日本国民の命を半島の付け根くんだりで消耗する必要はなかった。あくまでも日本防衛のために戦ったのだ。

 そうした歴史の全体像を知らないで、そして知ろうともしないで「戦前の日本は軍国主義だった」と自虐的に自己批判する大人と面対するとなぜか悲しい気分に陥る。彼らは教師が教えなかった当時の世界史を自分で少しでも知ろうとしなかったのだろうか、と。
 無知は罪悪だ。国家の進路を誤る元は無知以外の何物でもない。1930年代の米国の工業力に日本国民が精通していれば負けると解っている戦争を仕掛けることはなかっただろう。中国東北部の権益をすべて失ってでも、日本は軍を引き揚げただろう。当時の軍人たちや政治家たちは決して愚かではなかった。ただ米国の産業力や製造業や軍事力の全体像を知らなかっただけだ。

 しかし喧嘩両成敗という通り、米国も先の大戦の責任の半分を担うべきだ。先の大戦に関して日本と同じ程度に、米国民は自戒の念を持つべきだ。「原爆は戦争を終わらせるために必要だった」という市民皆殺しのジェノサイドを正当化する発言を決してしてはならない。
 政府の権威は「歴史の審判」に耐えたモノではない。今ある現実への対症療法が殆どで、安倍氏が荒唐無稽に騒ぎ立てていた「暗射のレジュームからの脱却」がいかに噴飯ものか、数年後には日本国民のすべてが知ることになるだろう。彼がやっていることは米国の1%に日本国民の「富」を差し出すことでしかない。彼ほどの反日政治家を私は知らない。

 その政府が人選した「賞」にどれほどの権威があるというのだろうか。日本は散々「反省」を反省サルのようにやらされたが、欧米列強は殆どかつての植民地に対して謝罪も反省の弁も述べてはいない。それが世界の常識だ。
 ガリレオ・ガリレイは中世宗教界の権威に屈服して「地動説」を正式には取り消した。しかし「地球は動いている」という真実は何も変わらなかった。無理を通ればば道理が引っ込む、というのは真実だ。世界に存在するダブルスタンダードをすべて「俯瞰的に」排除すれば、日本の自ら貶めた地位は輝ける太陽のごとく天辺高く輝くだろう。今年こそ、そうした年にすべくブログを書き続けなければならないと「21世紀の資本論」著者の気概に触れて、決意を新たにした。


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