経団連の2030年までの2.5%成長戦略を嗤う。

 経団連は2030年までの2.5%成長戦略と称して、何やかやと御託を並べた挙句、施策として「法人税率の低下」を掲げるとは何事だろうか。法人税率が高ければ経済成長できない、との考えは嘘だということはかつての高度経済成長時代の法人税率が現在より高かったことからも証明されている。
 その代り、当時は研究開発特別控除や生産投資特別控除や、特定生産設備に関して特別減価償却を認めるなど合目的的・個別的・具体的な産業政策を実施していた。それにより各企業は生産設備の効率化や研究開発による技術革新に積極的に取り組んでいた。

 高騰する労働賃金を製品価格に転化しないで吸収するには労働生産性を上げるしかない。高度経済成長が始まった当時の平均的なサラリーマン給与は流行歌にもなった月額13,800円程度だった。大卒の初任給が1万円を超えたのは昭和40年当時のことだった。
 それが瞬く間に大卒初任給が10万円を超え、サラリーマン平均給与が月額20万円を超えた。そうした高騰する労働賃金を製品価格に転化しないで国際競争力を保つかに経営者は腐心して生産性向上と労働生産性を上げるために工場の生産設備へ投資を続けた。それが日本を世界第二位の経済大国に押し上げる原動力になった。

 日本経済が凋落し始めたのは経営陣の安易な「最大利益」実現のために生産拠点を海外展開したからだ。それにより生産設備の効率化は停止し、労働生産性は安価な労働力により蔑にされた。
 易き道を選んだ経営者たちに企業努力があったとは思えない。経団連はまず易きに流れた経営者たちを叱るべきだ。そして自分たちも海外展開支援策を政府に求めた安易な経営姿勢を批判すべきだ。国内の優秀な労働力を排除して、何が日本企業だ。国益を損なう経営姿勢を経営者たちが自己批判しなければ日本経済の成長戦略は何も始まらない。

 企業利益を無駄に溜め込む誘導策に過ぎない法人税率の軽減は断じてすべきではない。米国は未だに40%を超える法人税を課している。法人税率が20%台なのは押し並べて後進国で、外国投資を呼び込むための呼び水にしているような国々だ。日本は何も法人税率を後進国並みに引き下げて外国企業の投資を促す必要はない。
 むしろ日本から海外へ流出している研究者たちを引き留める方が先決だ。技術革新するにせよ、新しい企業展開するにせよ、頭脳がなくては何にもならない。古ぼけた経営者たちの集団にどれほどの頭脳があるというのだろうか。

 経団連が会員企業内に抱えているシンクタンクは御用機関に過ぎず、経団連のありようを批判する「意見」を提起するとは思えない。経済成長するには弛まざる技術革新と生産性向上しかない、という真実に目を背けて、安価な労働力を求めて海外展開するしか能のない経営者たちに2030年までに2.5%の経済成長戦略が見えるはずがない。
 結局、掲げる項目は何度も夢物語のシンクタンクが羅列した将来戦略の後進国へのインフラ投資や産業ロボットや医療機器の生産拡大などによる、とするしかないのだ。しかし現実は後進国への新幹線売込みすら物真似上手な中国がシャシャリ出て、異常に低い入札により奪われている。後進国へのインフラ投資が日本の成長戦略の柱になると考えるのは根拠のない夢物語だ。

 中国に新幹線を輸出した際に、技術も何もかも物真似により奪われると覚悟すべきだった。それは韓国も同じだ。
 ただ、それらは既に半世紀も前の技術に過ぎない。日本が弛まざる技術革新と研究開発を続けていれば、そうした古ぼけたロートル技術に国運を賭けるほどのことでもない。明治人の気骨を経団連は忘れてはならない。「殖産興業」こそが日本の依って立つ処だということを、もう一度確認すべきだ。インフラの海外投資も、日本を追い上げている国々に卓越した先進性があれば何も恐れることはない。そのためにも優秀な日本国民を仲間として雇用し、生産拠点も国内展開すべきだ。高度経済成長は海外展開したから出来たのではない、国内で技術革新を紙研究開発したから出来たのだ。その原動力となったのは現場で働く日本国民の労働力だったことを決して忘れてはならない。


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