No title

 師走に総選挙があるという。景気浮揚策が何も実施されていない段階で解散とは、悪い冗談かと思っていたらそうでもないという。<安倍晋三首相は来週にも衆院を解散し、年内の総選挙に踏み切る調整に入った。消費税率を10%に引き上げるかの判断材料となる7~9月期の国内総生産(GDP)の速報値が17日に発表されるのを受け、最終判断する。第2次安倍改造内閣の発足後、閣僚の「政治とカネ」に関する疑惑追及が続き、政権の求心力を回復するためにも早期解散が望ましいとの判断に傾いた>(以上『毎日新聞』引用)というのだ。

 そもそも自民党が一致団結して「消費増税10%を延期」と決断したのに対して、野党がこぞって「来年10月10%消費税を断行」と主張しているのなら、安倍氏のいう「消費増税10%先送りを決断して、その是非を問う」という解散理由も理解できないでもない。
 しかし自民党内でも「即時増税」派と「増税先送り」派と別れている。それなら安倍氏が「即時増税」派を安倍政権に対する抵抗勢力だと決めつけて除名するのかというとそうでもない。これほど国民不在の大義なき解散風も珍しい。

 対する野党の体たらく振りは目を覆うばかりだ。民主党は「増税先送りはアベノミクス失敗を認めたことだ」と国民にとってどうでもいい論理を展開している。アベノミクスが成功しようが失敗しようが、国民にとって必要なのは景気が良くなり個人所得が増加し、社会が安心して生活できる政治が展開されることだ。
 安倍氏がアベノミクスを何度叫ぼうと、実態は日銀のマネーけーむでしかないことは露呈されている。アベノミクスがどうであろうと何が問題だろうか。国民の生活が第一の政治が実施されていないことが問題であり、安倍政権の二年有余もそうした状態を許してきた民主党の体たらくも同時に批判されるべきだということがお解りでないようだ。

 維新の党などの野党は「増税先送り」派の自民党の分派に過ぎない。国民の生活が第一の政治家なら「消費増税」を元の5%に戻すべきだと主張すべきだ。
 財務官僚が5%に戻しては社会保障費の手当てなどできない、と反論したなら、歳入に見合った予算を編成するのが官僚の役目だ、と叱り飛ばせば良い。自分たちの報酬や年金だけお手盛りにしておいて、国民の社会保障費の財源に増税が必要だとは何事だ。

 そうした骨のある野党が見当たらないのは現在の日本政界の深刻さの表れだ。政治家たちは財務官僚の広報機関のマスメディアに毒されて、増税路線が「常識」だと洗脳され、刷り込まれている。
 消費増税が税収増の途ではなく、むしろ消費増税は歳入全体では税収減をもたらすことを認識すべきだ。健全財政の前に健全国民経済を政治家は問題にすべきで、そのためのデフレ経済脱却の処方箋は財務官僚が「三党合意」を元にし安倍氏をして実施させている増税路線ではない。反対に減税を行い、経済成長をもたらす投資減税と海外展開して空洞化した国内産業基盤整備にすべての政策を総動員させるべきだ。

 チマチマとした特区構想やカジノ構想など何の役に立つというのだろうか。日本経済の裾野は酷く毀損されている。東京で暮らしていては解らないだろうが、地方は疲弊しきっている。それは地方に展開していた企業・工場が閉鎖して海外へ移転した、もしくは安価な海外商品に直撃されて工場閉鎖や倒産したからだ。それにより雇用の場が失われた。
 東京などの大都市圏が新陳代謝をうまく行ってこられたのは地方から若者が大量に流入していたからだ。しかし若者供給力を地方が失ってしまうと、東京も急速に老齢化することを覚悟しなければならない。それが現代日本の姿だという危機感なき政治家たちに日本の未来を語る資格はない。

 そうした日本の未来に関する論争点も何もなく、ただただ安倍氏が閣僚のダブル辞任による求心力の低下を払拭し、自らの政権の長期化を狙って解散するとしたら「大義なき解散」というしかない。安倍氏は自らの政権維持ために600億円以上も掛かる総選挙を打つというのか。
 こうした政権与党の体たらくを許しているのも、体たらくな「自民党になろうとした」野党だ。何が何でも小沢一郎氏の「国民の生活が第一」の旗印の下に、健全野党が結集して財務官僚のためではなく、国民のための政治を実現させなければならない。政治家諸氏の奮起を願うしかない。


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