御用マスメディアを更に犬と飼い馴らすのか。

<自民党がNHKと在京民放テレビ局に対し、選挙報道の公平中立などを求める要望書を20日付で送っていたことが27日分かった。街頭インタビューの集め方など、番組の構成について細かに注意を求める内容は異例。編集権への介入に当たると懸念の声もあがっている>(以上「毎日新聞」引用)
 先日テレビに登場した安倍氏はその報道番組で見せられた街頭インタビューがアベノミクスに対する批判が多かったことに「平等に報道するように」と批判した。それが下地となって、今回の「要望書」となったのだろう。

 しかしマスメディアの世論操作報道の恩恵に浴しているのは官僚政治を推進している自公政権の側だ。国民は一向に改善されない社会保障制度のために消費増税が必要だと思い込まされている。それは明らかに誘導報道の勝利だ。
 消費税は富裕層への減税と法人税減税のために使われた、とする共産党の論評は正しい。決して社会保障費のために使われたのではない。もしも社会保障費のために使うというのなら、歳入の段階で社会保障関係の保険徴収と同様の会計に「消費税」として入金して厳格に分けるべきだった。しかし、実態はそうなってはいない。一部は地方自治体へ、一部は一般会計へ、などと歳入の大海原の中へ紛れ込まされている。

 アベノミクスもマスメディアの援護を受けて「立派な政策」であるかのごとき錯覚を国民に与えている。その錯覚によって安倍政権は「立派な仕事をやっている」という幻想で国民を集団催眠さながらに酔わせている。
 なぜ錯覚なのか。アベノミクスによって国民生活は一層窮乏し、経済はリセッションに陥っているのに、国民は「何となく」安倍政権に「何とかしてくれる」と儚い幻想を見ているからだ。その先に確実にあるのは更なる消費税10%の窮乏生活に過ぎないというのに、国民は「この国の財政再建のために我慢しよう」と悲壮な覚悟を決めさせられているようだ。それもマスメディアの誘導報道の成果だろう。

 消費税を10%にしたところで財政再建は出来ない、というのは自明の理だ。むしろ経済のリセッションにより税収は減額となり、日本は負のスパイラルに陥るだろう。それこそスタグフレーションの悪夢に向かって突き進んでいる現実認識が出来ない状況に国民は置かれている。
 派遣業法の大幅な規制緩和で増えるのは「非正規」だけで、正社員は希少種に成り下がるのは確実だが、勤労者報酬は増加している、と正社員を取り出して比較してみせるという禁じ手を官僚たちが演じ、官僚広報機関に過ぎないマスメディアがそれに追従して国民に「何となく良くなる」との幻想を見せている。

 しかし実態は勤労者への企業収益分配率は年々低下している。正社員と非正規社員とを別々にした労働給与の対前年比較などどれほどの意味があるというのだろうか。正規社員が日本国民であり、非正規社員は他国民だとでもいうのだろうか。すべて日本国民なら、一括りで比較すべきだ。そうすれば勤労所得409万円というのが正社員の平均値であって、非正規社員の200万円にも満たない年収と合計・平均すればいかに国民所得が低いか、国民はこの国の実態に目が覚めるだろう。だから若者の婚姻率が下がり、出生率が下がっているのだ、という因果が理解できるだろう。この国は「弱肉強食」の市場原理主義に完全に毒されている。すべては自己責任、という言葉で政治の介在しない社会こそが「良い」という新自由主義至上主義に国民は毒されている。それらは小泉政権以降10数年に及ぶ官僚広報機関たるマスメディアの勝利だ。

 その忠実な官僚広報機関に対して、安倍・自民党はさらに政権広報機関になれと命令している。もっと忠実な政府広報機関になれ、と命じている。
 マスメディアが事実を報道すれば安倍政権は危機に陥るだろう。400億円投じた福一原発の凍土方式は土木の専門家は最初から成功しないと批判していた。それを官僚たちは無視して、高価にして効果のない凍土方式を採用した。だから未だに放射能汚染水はダラダラと誰流れて海を汚染している。安倍氏がオリンピック招致国際会議の場で「放射能汚染は完全にブロックされコントロールされている」と発言したにも拘らず、事実は全くその逆だ。

 600億円を投じた汚染水から放射能核種を取り除くALPSプラントはついに機能しないままだ。杜撰極まりない官僚仕事を福一原発事故現場でダラダラと三年近く続けている。民間プラント屋では想像できない仕事ぶりだ。
 東北の復興も遅々として進んでいない。一日遅れればそれだけ地元へ帰る人は減少する。国民から徴収した復興税は官僚たちの使い勝手の良い財布として勝手に使われている。そうした実態をなぜマスメディアは国民にもっと詳細に報せないのだろうか。

 健忘症にかかったかのように、今度の選挙の争点から隠された集団的自衛権の国民的な議論を今やらないでいつやるというのだろうか。原発は本当の安価な発電装置なのか、廃炉の経費を長年負担させようとしている議論を、それも「原発の発電原価だ」という当たり前の原価計算すら国民に報せようとしないマスメディアも会計学に疎いバカな人たちの集まりなのだろうか。
 世界の潮流が国家機密であろうとも国民に帰属する、という考え方になっているにも拘らず、特定秘密保護法により最高60年も秘密にする、というのは時代に逆行する国民の知る権利を封じる悪政だということをマスメディアはなぜこの選挙の機会に議論喚起しないのだろうか。国家が国民の上に君臨する悲劇は先の大戦だけでたくさんだ。国民がコントロールできない政府を国民は必要としていない。その国民の知る権利を担保するのが「報道の自由」だ。いかなる理由があろうと、政治権力が報道機関に「要請」するとは言語道断だ。


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