なぜ野党は国内産業基盤の強化を謳わないのか。

 自公政権は小泉政権下の新自由主義を持ち出すまでもなく、国内産業の空洞化に励んでいた。それを言論界も「グローバル化」と囃し立てて推進していたし、経済評論家たちも「企業収益の最大化」を実現するためには生産手段を中国へ移転すべきと煽り立てた。
 その成果として日本全国通津浦々から3万社もの企業が中国へ工場や生産手段を移転させた。国内雇用がボロボロになり、就職氷河期が長く続き、それを背景に竹中一派が派遣業法の大幅緩和を策して派遣の拡大を図って、企業収益の最大化に貢献した。

 経済の裏側「国民の生活」から見れば、その新自由主義が国内に浸透するにつれて労働分配率は低下し、デフレ経済は進行した。それがボディーブロウのように効いてきて、日本経済はかつての活力を失い、若年者の婚姻率は目に見えて低下し、少子化は国家存続の危機を際立たせる事態になっている。
 経済成長策なき経済施策は全て無意味だ。日銀が異次元金融緩和を実施して、円安株高を演出しようと、経済成長策なき金融政策は一時の花火の輝きに過ぎない。その輝きが薄れて忍び寄る闇の深さは花火を打ち上げる前よりも一段と深いことを覚悟しなければならない。

 アベノミクスはマヤカシだった。成長戦略なき金融緩和は悪性インフレを招くだけだ。円安の効果は半年遅れで国民生活に重くのしかかる。年明けとともに、生活物価の高騰に国民は驚くに違いない。
 それでも半年延ばした消費増税を安倍氏は実施するという。愚かな総理大臣を日本国民は戴いたものだ。大統領制でないため、日本国民は直接総理大臣を選べない。安倍氏を総理の椅子から引き摺り下ろすには選挙で自公政権の議席を減らすしかない。

 アベノミクスが失敗政策だということは、たとえ成功しても三年後の4月には消費税を10%にしなければならないことで明らかだ。元々負け勝負を安倍氏は日本国民に約束して大威張りで総理の椅子に座ったのだ。
 アベノミクスを安倍氏が世界で宣伝して歩くことではない。日本国民の生活を守れない総理が世界貢献とは臍が茶を沸かす。日本国民に消費増税を強いて、世界にはそれ以上の「円」を餅撒きよろしくばら撒いて回った。いい加減、国民は怒った方が良い。

 日本国民の幸せと日本の発展を願うなら、国内産業基盤を強化すべきだ。企業にとっては短期的には東南アジアの安価な労働者により賃金を低く抑えて企業利益の最大化に逆行する投資行動だが、そうすることが日本の国家と国民のために必要なのだ。
 明治政府は外国による国内投資を撥ね退けた。日本の産業資本形成こそが必要だとして、官業で産業を興して民間に払い下げることを繰り返した。世界遺産になった富岡製糸場もそうした経緯をたどっている。明治四年に製糸産業への資本投資を持ち掛けた仏国を撥ね付けたのは当時大蔵少輔だった30前の伊藤博文だ。

 さて60才の安倍晋三に郷土の偉人のような気概があるだろうか。いや彼は日本を丸ごと米国の投機家たちに売り渡そうとしている。年金基金の20兆円も株式の博奕相場に投入している。彼がやっているのは日本国の価値を為替相場で大幅に低下させて、株式だけでなく、国内企業の大バーゲンセールをやっているのだ。
 日本の銀行家や経済人に明治人の気骨があれば、国内投資を振興すべく力を併せて海外へ流出した資本を国内に呼び戻しているだろう。国内投資があってこそ、国内雇用が拡大し、安定的な「正規社員」がより多く必要となるだろう。野党はアベノミクスに対抗すべく、国内産業基盤の強靭化を統一公約として打ち出すべきだ。1%のための政治ではなく、99%の「国民の生活が第一」の政治を実現させるために尽力すべきだ。


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