民間経済研究機関が今年の経済成長はマイナス0.4%からマイナス0.9%と予測するも、来年にはプラスに転じると予測する相変わらずの御用ぶり。

 民間の10社を超える経済研究団体が今年の経済成長予測を下方修正して、0.4%から0.9%のマイナスとした。通年でマイナスとなるのは5年ぶりで、安倍氏の主張する「政治は結果だ」というのなら、安倍政治は経済を悪化させたと自己批判すべきだろう。
 しかし流石は御用ばかりの民間経済研究団体は来年の経済予測で「経済対策が功を奏してプラスに転じる」などと相変わらずのヨイショ予測をしている。本当にプラスに転じれば良いが、経済がプラスに転じるような効果的な政策が実施されるとは思えない。

 なぜなら経済特区に投資優遇税制を適用して民間企業の投資を促すとしているが、経済特区の環境や地理的なものが民間企業の立地要件と合致するのか、という危惧がある。官僚・政治家たちが恣意的に企業立地を望む地域が企業の立地需要と必ずしも合致しているとは思えないからだ。
 なぜ全国のどこでも新規企業投資は全て減税する、という全国網羅的な経済促進策を強力に展開しないのだろうか。それも御用の民間経済研究機関が大甘な経済予測を立てているため、官僚や政治家の考えが緩んでいるからなのだろうか。しかし、そうしたユルユルの経済予測の結果が今年のリセッションを招いていることを忘れてはならない。

 既に何度もこのブログでご紹介した経済分析だが、デフレ経済からの脱却のメインエンジンは個人の可処分所得を増やすことにあった。異次元金融緩和策は貨幣をジャブジャブにして貨幣価値を下落させる効果がある。つまりインフレだ。
 しかし経済拡大なきインフレは単なる物価高だ。国民にとって生活を苦しくする悪政そのものだ。だから金融緩和と同時にUターン投資減税すべきと二年半も前にこのブログで提言した。既に中国は経済過熱から様々な社会矛盾が全国的に「暴動」という形で噴出していた。当時で年間数万件、現在では十万件を超える暴動が全土で起こっていて、中共政府は機能不全に陥る寸前だ。一日も早く中国へ移転した企業は投資を引き揚げて国内へ回帰すべきと日本政府は経済界にアナウンスすべきだった。

 当時3万社進出していた日本企業は現在も約2万社が中国で操業している。邦人も13万人も中国国内に滞在しているという。中共政府は自らの居住区「中南海」が危機に陥る前に、暴徒たちの前に邦人を差し出して、中共政府へと向かう憎悪を邦人へと転化させる生贄にするかも知れない。
 そうした危機感なき日本政府の能天気ぶりには驚く。中国四千年の歴史は政権の虐殺と追放の興亡史だ。それを学べば中共政府で私的蓄財に明け暮れた中国共産党幹部たちの運命がどうなるか、明らかではないか。だから20兆円近い蓄財資産と共に2万人もの幹部たちが既に中国から逃亡しているのだ。

 元々日本国内に展開するはずだった企業投資が安価な中国人労働力を求めて中国へと移転した。その分日本国内の雇用の場は失われ、中国製の安い物資が国内に持ち込まれて国内にとどまっていた産業を痛撃した。海外移転を囃し立てた経済評論家やコンサルタントたちは企業の短期的な利益の最大化には貢献したかも知れないが、足元の国内市場を徹底して破壊した。その結果が長年にわたるデフレ経済だった。
 安倍氏は何を勘違いしたのか民主党政権がデフレ経済をもたらした元凶であるかのように国会で「政治は結果だ」と叫び続けた。しかしデフレをもたらしたのは自公政権下での企業の海外展開促進策であったのだ。それにより国内産業は空洞化し、とりわけ地方の製造工場は至る所で閉鎖された。地方は若者を引き付ける雇用の場すらない老人だらけの「限界集落」と化した。

 だから早急に、場所とかに関わらず、Uターン投資減税をすべきと提言したのだ。全国の数ヵ所程度の地域が傷んでいるのではない。全国各地全てが痛んでいる。なにしろ中国だけで3万社が企業移転したのだ。国内産業が空洞化して当たり前ではないだろうか。
 そこへ以てきて派遣業法の野放図な規制緩和だ。派遣業はなぜ規制されたのかという歴史を忘れた、あるいは歴史すら振り返らない新自由主義者や市場原理主義者たちの「弱肉強食」社会を再現させようとする策略だと、国民はなぜ気づかないのだろうか。彼らを使嗾しているのは世界規模で暗躍しているハゲ鷹投機家たちだ。彼らが自由に為替を梃子にして効率的に暗躍し短期投機利益を手にするためには世界各国の市場を米国流と同一にすべきだ。それこそが彼らの眼目だ。そのために新自由主義者たちが民間委員として安倍政権に入り込み、様々な提言を安倍氏に吹き込んでいる。その成果が地域限定の「限定正社員」制度や「残業ゼロ法案」や「派遣業法の完全規制撤廃」だ。そうした国民への労働分配率を低下させる仕組みをこの国に作った上で、経営団体に「賃金を上げて欲しい」とお願いをする安倍氏の姿はパフォーマンス以外の何物でもない。

 異次元金融皮だけやって経済成長策は審議途上でこの二年間大盤振る舞いの公共事業だけというお粗末さに輪をかけて消費増税を実施たのでは流石の日本経済もリセッションするのは当たり前だ。それでも「来年は良くなるよ」とアナウンスする経済研究機関とは一体なんだろうか。総選挙に向けて安倍自公政権への援護射撃のつもりかも知れないが、それでは、彼らは経済分析専門家ではなく、一介の政権の幇間に過ぎない。自らの言辞を鏡に映して、深く深く恥ずべきである。


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