無責任な放言を垂れ流すテレビMCたち。

 昼下がりにテレビ報道番組を見ていたら、変な関西弁を操るMCが消費増税を巡って漫談をやっていた。彼曰く「消費税を10%にしなければ社会保障費の財源が無くなるが、景気は悪化するかもしれない。しかし消費税を10%にしなければ国際的な信認が下がって株価が下がるだろうし、社会保障費の財源を探さなければならなくなる」というのだ。
 彼は一体どれほどの経済指数をみてそうしたコメントを述べているのだろうか。消費税を10%にすれば税収が増えるというのは殆どありえないことだ。景気が悪化すれば所得が減少して直接税は減収となる。個人消費も低調になれば頼みの綱の消費税も税率は上がっても税収は減少するという最悪の事態になれかねない。

 そして一体消費増税は「国際公約」だとか日本の「信認」に関わる、というのは誰の判断なのだろうか。日本は国際的に誰に消費増税を約束し、誰に対して責任を負うと約束したのだろうか。日本の政治家が責任を負うべきは第一義的に日本国民であり、第二義的というよりも派生的に国際関係に及ぶというべきだろう。
 その国際関係にしても米国の財務長官が日本は増税を先送りして景気回復に専念すべきと有り難いお節介発言をする始末だ。それほど8%増税したこの四月以降の経済指標は悪化している。

 社会保障費の財源として消費増税を充当するというのもマヤカシだ。そもそも消費税を創設した段階で竹下氏は「消費税は社会保障の財源とする」と国会で述べていたはずだ。しかし現行の8%消費税のうち、一体どれほどの部分が社会保障費に回されているというのだろうか。
 少なくとも社会保険料と消費税部分を控除した金額が税により補填部分としてマスメディアは広報すべきだ。それを1%は地方部分だとかナニダカンダと屁理屈をつけて、社会保障費の財源が決定的に足らないかのような危機感を国民に宣伝して煽っている。

 マスメディアは財務官僚の発表を垂れ流すのではなく、社会保障費の全額から保険料部分と消費税8%に相当する金額を控除した残額を国民の前に提示すべきだ。そうすれば消費税を創設した当時の約束通り国民は社会保障費の財源として消費税が竹下氏の言葉通りに実施しているとの約束を政治家が果たしている本来の社会保障費の姿を知ることが出来る。
 勝手に消費税を他の使途へ回していて、社会保障の財源が足りないというのは余りに国民をバカにした論理だ。政治家は一体誰の方へ顔を向けて政治をやっているのか、たまには官僚を叱り飛ばしてはどうだろうか。
 それにしても官僚の説明通りに広報するしか能のないマスメディアの犬のようなMCとコメンテータたちではある。


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