安易な外国人労働者受け入れ論は国の将来を危うくする。

<経団連の榊原定征会長は24日、東京都内で講演し、中長期的な重要課題の一つである人口減少問題に関連し「外国の人材の積極的な受け入れは、日本の活力を維持する上で喫緊の課題だ」と述べ、国民的議論を踏まえて海外から人材を受け入れるための制度づくりを急ぐべきだと訴えた。
 具体的には、高度の専門技能を持つ人には永住も含めた長期滞在を認める措置などを提言。日本の労働市場を外国人に魅力あるものとするため、教育や医療といった生活環境の改善などの取り組みが必要だと強調した>(以上『時事通信社』引用)

 失業率は3.5%で依然として雇用が逼迫し、国内の労働力が不足している状況とは思えない。それでも一部業種では人手不足が深刻化しているとはいえ、直ちに外国人労働者を受け容れなければならない状況ではない。
 そもそも失業率にカウントされていない人たち、ニートや引き籠りの約60万人をなぜ雇用すべく努力しようとしないのだろうか。そして本当に人手が不足しているのなら、労働力の売り手市場として正規社員が増えるはずだが、現実は正規社員は減少の一途をたどっている。

 それでも安倍政権は派遣業法を改正して派遣の業種や期間の規制撤廃を行おうとしている。それは派遣業者を利するだけで派遣される個々人の労働者の労働権利確保にはならない。
 むしろ派遣業の規制を厳しくして、かつてのように生産労働者などの単純労働への派遣を禁止にして企業はハローワークに申し込むしかないようにすべきだ。なぜ派遣先を斡旋する派遣業者が専門業種以外で必要なのか理解に苦しむ。単にピンハネ業者に過ぎない派遣会社は必要なのか、本質的な議論こそ必要ではないだろうか。

 そして企業の側もいつでも馘に出来る派遣労働者に類似した外国人労働者を受け入れることはこの国の未来の社会問題化する種を抱え込むことだという危機感のなさに呆れる。外国人労働者受け入れの先進国であるドイツやフランスやスウェーデンが外国人との軋轢による犯罪多発社会になっていることになぜ学ばないのだろうか。
 日本でも外国人による犯罪、特に急増している中国人によるとみられるモノに関して、多くの中国人を抱え込む地域での治安の悪化について問題が顕在化している。それは首都圏でも中国人が多く棲みついている地域での治安を見れば明らかだ。経団連は安易な外国人労働者受け入れ策に賛成の立場を取るべきではない。

 勤労者が定着しない職種に関しては労働者の待遇改善こそ図るべきだろう。ことに介護や保育などの過酷な労働の割に賃金の低さは問題ではないだろうか。制度事業の中で定められている報酬を制度を立案している官僚たちは一体どのように考えているのだろうか。現行の制度上の報酬で良いというのなら、自分たちの報酬を介護士や保育士たちの報酬表を用いて算出した報酬にしたらどうだろうか。
 官僚たちが決めた制度事業に定める報酬で、自分たちは決して働かないにも拘らず、その制度により実施されている介護事業や保育事業などの制度で働く者には低い報酬を支払って、労働者が定着しないから外国人労働者を受け入れるべきだ、という議論にすり替えるのはいかがなものだろうか。

 そして官僚たちの尻馬に乗って経団連会長が公式に発言するとは何というお粗末な会長だろうか。この国の企業人、財界人を代表する人の見解とは到底思えない。
「恒産なくして恒心なし」という箴言を噛みしめて、自分たちが政治家たちに働きかけている労働者に関する政策がいかに恒産とかけ離れたモノなのかを反省すべきだ。この国の未来を危うくする政策を推進するような発言は厳に慎むべきだ。


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