日本は米国の同盟国としてイスラム・スンニ派を敵に回すのか。

 米国による空爆は長期・継続されるようだ。<米中央軍は9、10両日、イラクの過激派「イスラム国」に対し新たな空爆を加えたと発表した。8日に開始してから3日連続の空爆。北部クルド人自治区の中心都市アルビル周辺や、イスラム国が少数派ヤジド派住民を追い詰めた北部シンジャール近くを戦闘機と無人機で攻撃し、イスラム国への圧力を強めた>(以上『共同通信』引用)
 米国に従順でなかったサダム・フセインのイラクを武力により傀儡政権を樹立して「米国のイラク」を建設しようとしたが、所詮はイラクはイスラムのイラクでしかない。北部の一部にクルド族が住んでいるものの、南部のシーア派と外の地域の殆どをスンニ派のイスラム教徒が支配している。

 「イスラム国」は米国にとって認め難い連中なのかもしれない。共同通信によると「イスラム国」とは<イラクとシリアで活動するイスラム教スンニ派の過激派組織で、バグダディ指導者が率いる。シーア派を敵視し、両国にまたがる地域でのイスラム国家樹立が目標。「イラク・シリアのイスラム国」と名乗っていたが、バグダディ氏を世界のイスラム教徒の指導者と主張し「イスラム国」への改称を宣言した。イラクで2004年に日本人旅行者を殺害した国際テロ組織アルカイダ系組織などがつくった「イラク・イスラム国」が母体。内戦下のシリアで台頭し、アルカイダとの関係は14年に断絶された>(以上引用)ということのようだ。

 米国は世界の警察を自任している。しかし本来、警察は法に基づいて警察権を執行するものだが、その行動根拠とすべき法律を明確にしていない。ただ人道主義だとか、テロとの戦いといった曖昧な行動原理を示しているに過ぎない。それかといって第二次大戦後の世界利権を分割してきた国連主義でもない。
 米国の行動原理は理解し難い。モンロー主義といいつつ、ハワイ王国を呑併している。人道主義を掲げつつ原爆を使用して大勢の非戦闘員を虐殺した。それは戦時国際法を無視する蛮行そのものだ。東京などの大空襲も紙と木で出来ている日本家屋を焼き払うために開発した「焼夷弾」を絨毯爆撃投下している。それらの行為のどこに人道主義があるだろうか。第二次世界大戦で「虐殺」の罪を問われるべきは米国大統領だ。

 そして現在、米国は「イスラム国」に空爆を行っている。確かに「イスラム国」は首都バグダッドを支配下に置こうとしていると同時に、クルド人の支配地に大量に埋蔵されている石油資源を奪い取ろうとしている。かつてはアルカイダと手を結んでいたイスラム教徒と米国は相容れないだろう。
 しかしそれは米国の都合でしかない。そのすぐ近くでガザ地区のハマス殲滅作戦を実施しているイスラエルを米国は支持しているが、イスラエルと「イスラム国」と何処が異なるというのだろうか。まさかキリスト教徒が正義でイスラム教徒が邪悪だというのではないだろう。

 日本のマスメディアも米国に「右倣え」でキリスト性善説を採っているようだが、キリスト教徒たちがアジアやアフリカや南米で何をやってきたか、世界史を紐解くまでもないだろう。大虐殺と侵略支配と文化・文明の破壊をキリスト教の名の下に行ってきた。キリスト教の呪文を唱え懺悔すればすべてが許される、という世界支配者にとってまったく都合の良い教えだ。
 幸いにして日本国民の大多数は仏教徒だ。中には現世利益実現を餌に、仏教の一派を騙る「新興宗教」の詐欺教団も存在しているが、概ね日本国民は無欲の善を解く仏陀の弟子たちだ。日本国民には日本国民の世界観がある。キリスト教徒のような自分たちと異なる人たちを対立的な存在とは捉えない。すべてを受け容れる『水』のような世界観を持っている。その日本国民がキリスト教徒の価値観に従ってイスラム・スンニ派を敵に回す途を選ぶのか。

 「イスラム国」を日本のマスメディアは「過激派」と報道しているが、「イスラム国」の立場から見れば米国こそが「過激派」ではないだろうか。一方にだけ正義があるかのような報道を「偏重報道」という。いつになったら日本のマスメディアは敗戦ショックから立ち上がり、日本の立場で報道するようになるのだろうか。


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