繰り返される自然災害は人災だ。

 広島市北部を襲った豪雨により40人を超える死者と行方不明者が出るとは悲劇以外の何ものでもない。しかも15年前にも同様な災害が起こって犠牲者が出ている。
 ハザードマップは作られていたようだが、豪雨などによる災害発生の認識が住民に周知されていたのか。背後の高い山の表土が風化した花崗岩(真砂土)で、豪雨があると表土崩壊を起こしやすく土石流となって山肌を駆け下ることは容易に想像できる。

 市の災害対策本部から避難警報が出されたのは午前5時過ぎで、最初の土石流が麓の民家を呑み込んだのが午前4自前だったことを考えると、現地の全容を市の対策本部が掴んでいなかったことになる。豪雨により15年前も表土崩壊を起こした危険な山が今回の豪雨により災害を起こすことは予見可能だったはずだ。
 市の対策本部だけを責めるのではない。県や国は地方自治体の作成したハザードマップと過去の災害を重ね合せて適切な対策がなされていただろうか。たとえば表土崩壊を一時的に止める『砂防ダム』などの防災施設整備はどうだったのだろうか。

 確かに都市計画で想定している雨量は時間当たり50ミリで、今回は被災場所付近には時間当たり130ミリという想像を絶する豪雨が襲っている。災害は起こるべくして起こったことになるが、表土崩壊を『砂防ダム』などにより防げなかったとしても、避難などしていれば人命を失うことはなかったはずだ。
 地方自治体はアダや飾りでハザードマップを作成しているのではないだろう。県や国もオザナリに地方自治体にハザードマップの作成を促しているのではないだろう。特に都道府県は過去の災害をビッグデータ化すれば何処でどのようにして自然災害が起こっているかメカニズムは十分に解明されているはずだ。そうしたデータは死蔵されて災害防止策に生かされなかったとしたら、今回の災害は人災というしかない。

 集団的自衛権は国家と国民の財産と生命を守るために必要だと説明された。しかし毎年のように起こる自然災害で多くの民間家屋が破壊され、多くの人たちが傷つき尊い人命が奪われ続けている現状を安倍氏はどのように観ているのだろうか。
 戦後69年間、敵国が攻め込んで死亡した日本国民はゼロだが、自然災害による国土や日本国民の財産や命の損失はどれ程に上っているだろうか。現状を見る限りでは、日本にとって最大の敵は中国でもロシアでもなく自然災害だ。自然災害との闘いに勝利するために、日本国民と地方自治体と都道府県と、そして日本政府は何をすべきか、根本的な思考方法を変えなければならない。日本の防衛はまず日本の災害防衛だという認識を持つべきだ。徹底した災害のビッグデータ化と、一度あった人災ヶ所で二度と同様な人災を起こさないという決意を持たなければ、広島市の人たちの悲しみを教訓として政治に生かしたとはいえない。


このブログの人気の投稿

それでも「レジ袋追放」は必要か。

麻生財務相のバカさ加減。

無能・無策の安倍氏よ、退陣すべきではないか。

経団連の親中派は日本を滅ぼす売国奴だ。

福一原発をスーツで訪れた安倍氏の非常識。

全国知事会を欠席した知事は

安倍氏は新型コロナウィルスの何を「隠蔽」しているのか。

自殺した担当者の遺言(破棄したはずの改竄前の公文書)が出て来たゾ。

安倍ヨイショの亡国評論家たち。