米軍は役に立つ用心棒なのか。

 報道テレビ番組を視聴していたら普天間基地の辺野古移転は当然だと雛壇に並んだ保守的論客たちが異口同音に述べていたのに驚いた。その理由が揃いも揃って東シナ海に進出を試みている中国の脅威をあげているのにも驚いた。
 普天間基地に米軍がいなかったから中国が東シナ海に進出を試みるようになったのではない。依然として駐留していたにのもかかわらず、中国は軍事的圧力を強めている。北朝鮮が核開発を実施したのも米軍が極東から手を引いたから可能だったわけではない。世界のどこよりも大量の米軍を配置していながら北朝鮮の核開発を抑止できなかったのだ。それだけではない、北朝鮮による日本国民の拉致という国家テロを許した当時も、日本に大量の米軍は駐留していた。

 フセインのイラクに対しては『大量破壊兵器がある』という可能性だけで多国籍軍の主力部隊として米国は軍事侵攻してフセインを排除してしまった。しかし北朝鮮に対しては『大量破壊兵器』が現実に存在しているにも拘らず、軍事侵攻していない。
 駐留米軍は役に立つ用心棒なのか、それとも相手と通じて日本の富を掠め取るコソ泥に過ぎないのか。中国の習主席が米国のオバマ大統領にカリフォルニア州で会談した際に「太平洋を東西で分け取りしようではないか」と持掛けたが、それでは太平洋全域を実効支配している米国の損だとばかりにオバマ氏は拒否したようだが、中国と米国の支配者たちはその程度の感覚で世界戦略を描いているとしたら危険極まりない。

 米国にとって日本を自陣営に繋ぎ止めておくには日本の近くに日本の存在を脅かす脅威が存在している方が望ましい。だから中国や北朝鮮やロシアなどの近隣諸国が軍事的に日本の脅威である現状は願ってもない状況だろう。
 近代中国にとって最も多く侵略を受けたのは欧米諸国だ。しかし日本に対して敵意を向けている。日本はむしろ中国に進出したことにより中国を蚕食していた欧米諸国軍を蹴散らす役割を果たしたのを忘れてはならないだろう。
 近代国家として独立した後も、中国を最も支援した国は日本だ。中国がいかに厚顔無恥な国家だとしても日本を国家戦略として敵視し続けるのはなぜだろうか。日本の外交戦略の専門家は冷静に分析する必要があるのではないだろうか。

 米国をお人好しのカウボーイの国だと思ったら大間違いだ。冷徹な国家戦略に従って世界征服を果たした軍事大国だという現実を忘れてはならない。そして意に沿わない他国に対して勝手に軍事侵攻したり、他国の主権を侵害してでも勝手に軍事行動を起こす乱暴な国だということも忘れてはならない。
 日本が太平洋戦争へと誘き出されたのも日本を叩く米国の世界戦略に乗せられたからに他ならない。その姿勢は米国議会でマッカーサーが批判していることでお解りだろう。現在の日本国内に展開している米軍も日本を守るために存在していると思ったら大間違いだ。それは米国の防衛のためであり、同時に日本支配のためだと見做すべきだ。

 戦後レジュームからの脱却とは米軍支配からの脱却でなければならない。少なくとも米軍がまず撤退すべきは首都圏に展開している横田や立川や横須賀からの撤退だ。首都圏防衛こそ自衛隊が担うべきだ。
 米国の世界戦略のために日本の基地があるのではない、日本の防衛のための日米安保条約に基づいて米軍が日本の基地に駐留して日本が手厚く経費負担しているのだ。だから日本の防衛に対して役立たない『海兵隊』はさっさとグアムへ撤退しても構わない。辺野古へ移転する必然性がどこにあるというのだろうか。

 米国は用心棒として役立っているのか。日本に対する周辺諸国の軍事的脅威が日本の駐留している米軍の存在により軽減されてきたのか、それとも米軍の駐留にも拘らず増大してきたのか。
 昨日昼間の関西系テレビ報道番組で雛壇に並んでいた大きな顔をした保守派論客たちは揃いも揃って日本の防衛のために米軍は日本に駐留していると思い込んでいる単細胞たちのようだ。米国は誰によって支配されているのか、そしてその米国政府は誰を支配しようとしているのか、その動機は何で、目的は何か、そろそろ日本は世界戦略を描くうえで米国抜きの戦略を描いた上で、米軍の抑止力を組み込む『パッチワーク方式』の戦略を描く必要に迫られているのではないだろうか。


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