「まち・ひと・しごと創生本部」こそが真の成長戦略ではないのか。

 事の重大さがやっと解ってきたようだ。<安倍晋三首相は20日、横浜市で講演し、地方活性化関連法案の第1弾として、中小・ベンチャー企業を支援する法案を秋の臨時国会に提出する考えを表明した。政府は地方の経済活性化や人口減少に対応する「まち・ひと・しごと創生本部」準備室を近く設置し、法案の検討を急ぐ>(以上『毎日新聞』引用)

 しかし重要性の認識までは到ってないようだ。<政府は地方の経済活性化や人口減少に対応する「まち・ひと・しごと創生本部」準備室を近く設置>というのでは大した効果を上げることはできないだろう。
 政治が国家と国民のためにあるのなら「まち・ひと・しごと創生本部」こそ成長戦略の主政策とすべきだ。法人減税や経済特区構想など経済成長にどれほど資するのか効果は疑わしい。しかし「まち・ひと・しごと創生本部」を設置して、本気で全国各地の『やる気』を引き出せるならこの国は再び力強い活力を取り戻せるだろう。

 自民党の政策、とりわけ小泉政権当時の各政策はこの国を基本から痛めつけた。黒田官兵衛ではないが小泉氏の知恵袋とされた竹中平蔵氏は実態不明な『グローバル化』と『構造改革』の掛け声でこの国の基本構造を徹底して破壊した。
 まず派遣業法規制撤廃により『タコ部屋』が21世紀の日本に再出現した。表面は現代的な名を冠している派遣企業だが、やっている中身はかつてのヤクザがやっていた『タコ部屋』と何ら変わらない『口入』と『ピンハネ』以外の何ものでもない。

 グローバル化と規制撤廃により労働市場もタガが外れてしまった。それは減少する労働分配率と経営者の異次元高額年俸に象徴される『家族経営』発想の瓦解だ。労働者は経営者と株主が稼ぐための機械の一部に過ぎなくなった。機械だから劣化したり効率が悪くなれば派遣会社に命じて違う機械と交換すれば良い。
 社内研修や教育などは外国のグローバル会社ではやってないから、日本の企業も社内研修などに手間暇かけずに必要な労働者を外注して入れ替えればよい。それが労働流動化社会であり日本より進歩した社会だと信じ込んだ者が日本に新しい『新自由主義』という宗教を持ち込んだ。

 新しい宗教で企業経営して幸福になるのは株主だけだ。それも極めて短期的な利益を追い求める株主、つまりハゲ鷹たちの利益に合致するだけだ。企業経営の視点は極めて短期的レンジに縮小し、短期的利益実現のためには国内生産よりも安い労働力があればドンドン安い労働力がある海外へ企業を移転させるべきだという論理に躊躇なく結びつく。
 結果として国内産業が空洞化し、国内雇用が減少してしまった。しかし機械とみなす労働者たちから改善や労働現場からの新規提案は何もない。よって生産ラインとそれを動かす手順さえ手に入れれば進出した企業の日本人経営者は必要なくなる。そうした陰謀により彼の国から追い出された経営者が何人いただろうか。しかし日本のマスメディアはなぜかそのような情報を報道しない。それで国際親善だ、とわけのわからない偽善報道だけを垂れ流してきた。

 安倍氏はUターン投資減税を大胆に行うべきだ。そして小泉・竹中タッグチームがブチ壊した日本の派遣業法規制をもう一度構築すべきだ。正社員以外の非正規社員を企業に派遣するのは「ヤクザのピンハネ」類似行為だと厳しく規制し厳罰の対象とすべきだ。
 日本の勤勉な国民性を外国のドライな国民性と一緒にして法を適用するのは日本社会を破壊することに他ならない。日本国民で五時のチャイムが鳴ったらたとえ報告書を欠いている途中であろうと直ちにパソコンの電源を落として席を立つ社員がいるだろうか。商品を展示している途中であろうと、段ボールを放り出してさっさと帰ってしまう販売員がいるだろうか。

 「まち・ひと・しごと創生本部」が単なる掛け声で、これまで各省庁で日の目を見なかった政策のごみ溜めにならないように国民は監視しなければならない。
 愚かな地方自治体の議員や首長が駅前経済の復活に空き店舗などを『しゃれた喫茶店』に格安解放している例を見かけるが、補助金で成り立つ経営に未来はない。なぜ駅前の商店街が衰退したか、根本原因を見ようとしないのだろうか。
 原因は人がいなくなったからだ。地方に雇用の場がなくなり若者が流出したからに他ならない。まず雇用の場を地方に確保すべく、Uターン投資減税を実施すべきだ。地方都市の駅前が衰退したことにより絶好の便利地が格安になっている。その下落する地価を押し止めるバカな役割を地方自治体が『税』で担っているとしたら本末転倒だ。

 1%対99%の戦いは身の回りでも起こっている。駅前商店街の活性化策を提案するとして実態を何も知らない東京のシンクタンクの研究員と称する連中が大きな顔をして地方で講演し行政に助言するなどと滑稽な商売をやっているのは地方の智慧が枯渇しているからに他ならない。
 地方の再活性化は簡単だ。地方に転出していった企業が戻ってくれば良いだけだ。雇用の場があれば地方から流出する若者は格段に減少する。安定した職場があれば若者は結婚し子どもを育てる。「まち・ひと・しごと創生本部」こそが政府が本腰を入れるべき政策だ。


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