主権在民と立憲主義国家に悖る安倍氏の『解釈改憲』

 何とも空疎な言葉の羅列だった。本日午後6時からの集団的自衛権容認を閣議決定したのを受けて実施された安倍氏の記者会見を視聴しての実感だ。
 私の亡父は大正9年生まれで、先の大戦で最も多くの同級生を戦争で失った世代の生き残りだった。旧制中学の同級生の約7割が戦死しているというから壮絶な世代だったというしかない。父親は常々戦争の悲惨さを私たち子供に語っていたが、再び日本が戦渦に巻き込まれるなら、妻や子のために銃刃を手にすることを厭わないとも言っていた。

 戦前の国際政治は弱肉強食の帝国主義真っ盛りだった。その主役は欧米列強で、アフリカ・アジアでまともな独立国家は日本だけであった。しかし米国の謀略に乗せられ、ついに太平洋戦争へ突入するしかなかった。日本外交の失敗といえばいえるだろうが、「やむにやまれぬ大和魂」とうたった吉田松陰の心境だったに違いない。
 翻って、現在の日本に当時の日本のような切迫した危機があるだろうか。確かに尖閣諸島に中国は触手を伸ばしているが、既に中国政府は国内統治を掌握しているとは言い難い状況にある。ウィグル人の独立レジスタンスは中国政府を脅かし、軍部の腐敗はついに習主席が軍のナンバー2を更迭するほどまでに深刻なものになっている。

 都市部の不動産価格は低落傾向が顕著になり、不良債権化から理財商品の紙屑化は避けられそうもない。中国経済の2大エンジンの一つ投資経済は限界を通り越して砕け散ろうとしている。残るエンジンの消費は生活必需品の高騰により劇的に縮小している。海外投資もすでに中国市場から引き上げていて、見るも無残な状況だ。
 習主席は国内統治のために外敵のヒール役を日本に求めていたが、それすらも日本批判のデモを許せばそれが一瞬にして政府批判に激変しないとも限らない危険性から「反日プロパガンダ」を自粛せざるを得ないところまで追い込まれている。尖閣にチョッカイを出しても、本格的に侵攻して日本と事を構える無謀さを彼らは承知している。ハリボテの人民解放軍の実態を中国民の前に晒せば、一日として治安は保てない。そうしたことも習主席は知っているはずだ。

 安倍氏が深刻そうな顔をするほど、日本に確たる軍事的脅威はない。集団的自衛権は極東から撤退予定の米軍の補完軍隊として日本の自衛隊がフィリピンやベトナムなどと協力して中国を東・南シナ海に封じ込める役濠を期待しているから、その期待に応えようと尻尾を振っているだけだ。
 集団的自衛権はアメポチ安倍氏の面目のために、自衛隊員を米軍の盾に使おうというだけのものでしかない。そうでない、と安倍氏が強弁するのなら最低でも首都圏の米軍をすべての基地から撤退させるべきだ。首都圏制圧の布陣に米軍が駐在していて、何が日本国家の独立だろうか。もちろん辺野古沖に普天間移設先の基地を造る必要はない。ただちに撤退計画通りにグアムへ引き揚げて頂くことだ。

 日本の防衛に関して体系的な組織論もなく、現状のままで集団的自衛権を容認することは容認できない。国民にまず本来の独立国家としての在り方と日本の現状と、それを歪なまま放置せしめている世界に非常識な日本国憲法をまず改正すべきと説明すべきだ。
 立憲主義国家を標榜するなら、最低限まずそうした手順を踏んだ上で国民に信を問うべきだ。安倍氏の解釈改憲は主権在民と立憲主義国家に悖る愚行だと批判せざるを得ない。


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