悪質な交通事故には「刑法」を適用せよ。

 またしても痛ましい事故があった。<23日午前10時15分ごろ、愛知県小牧市の県道で大破した自転車と血痕を見つけたと、通行人から110番があった。県警によると、車道の約600メートルにわたって、ばらばらになった遺体が散乱。小牧署は同日夜、トラックがはね、自転車ごと引きずって逃走した疑いが強まったとして、道交法違反容疑で運転していた男の事情聴取を始めた。容疑が固まり次第逮捕する>(以上『時事通信』引用) 被害者は近所に住む80代女性とみられている。

 いかに大型車といえども自転車と人を轢けば、運転者は何らかの異常を感じるものだ。その後も600メートルにわたって引き摺り、手足がバラバラになるほど遺体を激しく破損するとは人のやることとは思えない。
 大型車を運転する者にはそれなりに大型車特有の大きな内輪差なども教習している。その圧倒的パワーから事故を起こせば重大事を招くことは十分に予想しているはずだ。夜間でも許されないことだが、午前10時15分頃の事故ならサイドミラーで確認できるはずだ。

 事故を起こした運転者は被害者緊急救済措置を取らなかったばかりか、衝突で即死していない限り未必の故意による殺人を犯したといえる。通り魔による殺害事件とどこが違うというのだろうか。交通事故による死亡事故などではない、ナイフが車両に変わっただけだ。
 ナイフなどは所持しているだけで銃刀法違反に問われるが、日本国内だけで年間7000以上も殺害している車両については『危険物』認定をしていない。ただ運搬や移動手段として便利な機器だというだけで免許所持を条件に利用を広く認めている。

 人類が文明発展途上で最も多くの人類を殺害し傷つけたのは戦争ではなく車両によるものだ。今後もその数は積み上げられる。しかし永遠に交通事故の悲劇を繰り返してはならない。自動車製造に携わる技術者たちは自分たちが製造する機器が人類を殺害する危険物だという認識を持つべきだ。
 現在の路上を走る自動車は不完全極まりない代物だ。ハンドル操作などにより人類の運動範囲を超えて高速で、人類が獲得している筋力の及ばない圧倒的パワーで爆走する便利だが反人類的な機器だ。そうした意味で自動車は技術的に不完全なものだ。技術とは人類に貢献するモノでなければならないからだ。

 ともあれ、不完全にして危険な車両を運転する者には重大な責任を負っている。それを不当に軽減しすぎているのが『死亡事故』に関してだ。不可抗力に近い『ミス』による事故に関しては道路交通法で裁けば良いだろう。しかし未必の故意と見做されても仕方のない、運転者の被害者救済義務も果たさない場合は道路交通法ではなく、刑法の『殺人罪』を適用すべきだ。
 海水浴帰りの女性3人を殺害し1人に重傷を負わせた運転者は飲酒していた上、被害者救済措置も講じないで近所のコンビニへタバコを買いに行っていたという。言語道断とはこのことだろう。不当に奪われた被害者の命を思えば、未必の故意による殺人罪を適用すべきだ。今回は600メートルも被害者をバラバラになるまで巻き込んだまま引き摺ったという。一体彼は何度被害者を轢き続けた勘定になるのだろうか。悪質極まりない。


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